オタクな俺がポンコツ美少女JKを助けたら、お互いの家を行き来するような仲になりました

木嶋隆太

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第7話

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「……まあ、そうだなネットで活動しているときに拾ってもらったんだ。あんまり売れてはいないんだけどな」

 尊敬のまなざしで見られるのが恥ずかしく、治はそう否定した。しかし、咲の微笑は今も続いていた。

「……そ、それでも凄いですね。夢を叶えているじゃないですか」
「まだまだ、だ。……もっと俺より上の人はたくさんいるからな」

 初めの目標は本になることだった。だが、今ではもっと多くの人に見てもらいたいと思うようになっていた。
 人間の欲望というのは果てしないものなのだと、ここ最近よく思うようになった。

 はっきりとそういった治は咲と目が合う。

「ど、どうした!?」

 ぼーっと見つめてくる咲に首を傾げると、慌てた様子で彼女は視線をそらした。

「い、いえ……凄いなって思って。きちんと夢を持っていて、まっすぐにそれを目指していて……かっこいいな……と思いまして」
「……そ、そうか?」
「では、その……どうして、作家になりたいと思ったのですか?」
「それは――」

 治はそこで言葉を区切った。
 夢を目指す理由があまりにも具体的で、子ども的で、恥ずかしかったからだ。
 しかし、本気で悩んでいる様子の咲の力になれれば、そしてもう次に会うことはないだろうという思いから、治はぶっちゃけた。

「……小学校の時、いじめられていたんだ。俺……結構人見知りでさ」
「……でも、今は普通にお話しできていますよね? 私もどちらかというと人見知りですけど、島崎さんがそうとは見えませんよ?」
「それはまあ……少しでも関わったことがある人なら話せるんだ。だから、今は大丈夫だ」

 治には姉がいて、姉に連れまわされて遊ぶことが多かった。
 姉の関係で女友達ともかかわることがあり、それで少しずつ慣れていった。
 とはいえ、女ばかりと遊んでいる、という理由で小学校の頃にはいじめられることもあったのだが。

「あー、確かにちょっとわかるかもしれませんね。私も、人見知りですけど一度慣れた人であれば積極的に話しかけられますね」
「俺もそうだ。……それで話を戻すと……いじめられていた俺の遊び場といえば図書室で本を読むくらいでな。……それでまあ、元気をもらったんだ。だから、俺も誰かに元気をあげたいって思ってな。その時読んだのが小説だったんだ」
「……そうだったんですね。……立派な、夢ですね。私は全然思いつきません……」

 咲はがくり、と肩を落とした。
 そんな彼女を元気づけるように、治は訊ねた。

「将来の夢、とか大きなこと言わなくてもいいんじゃないか? やりたいこと、やってみたいこと、誰かにしてみたいこと……なんでも一つ当てはまるものがあれば、それでいいんじゃないか?」
「……当てはまるもの、ですか」
「ああ、どうして勉強してきたんだ?」
「………………笑いませんか?」
「もちろんだ」

 咲は治の話も笑わずに

「お、お小遣い、たくさんもらえるようになるからです……っ」

 恥ずかしそうにそういった彼女がちら、っと治を見てきた。
 治は驚いて目を見開いた、それからぷっと噴き出してしまった。

「わ、笑わないと言いましたよね!」
「わ、悪い……そ、そんな子どもっぽい理由だとは思わなくて……な」
「こ、子どもっぽい!?」
「……す、すまない」

 咲は頬を膨らまし、顔を真っ赤に治を睨みつけていた。
 治は自分を叱りつけるようにして、表情を持ち直した。
 まだ咲は拗ねてしまっていて、治はもう一度頭を下げた。

「悪かった……」
「……いえ、いいんです。子どもっぽい理由なのは自覚していますから……。でも、そんな理由なんですよ。だから、私は将来の夢が思いつかなかったんです」

 落ち込んだ様子で首を振る咲に、治は諭すように言った。

「でも、焦る必要はないだろ? 大学に入ってからでも決められるんだ。今は、将来の幅が狭まらないように勉強を頑張ればいいんじゃないか?」
「……そう、ですかね」

 ふう、と軽く息を吐いて咲はこくこくと納得するように頷いた。
 それから、咲はじっと治を見た。

「ネットで活動していると言っていましたが、小説などをネットに投稿しているんですか?」
「……え? あ、ああ」
「良ければでいいのですが、見せてもらってもいいですか?」
「……まあ、別にいいけど」

 興味津々といった様子の彼女に、治は多少迷いながらも結局小説名を教えた。
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