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第21話
しおりを挟む咲に案内されるままに店へと入り、咲は服を見ていく。
その後を追いかけるように治がついていく。
しばらく咲は服を見ていく。治もまた、同じように視線を向ける。
おしゃれな服装の店員はもちろん、他にも学生と思われる人もいた。
治と咲とは違った高校であり、ほっと胸を撫でおろしていると、
「……とりあえず、これらを試着してみてもらっていいですか?」
咲が服を手渡してきた。
受け取った治はそれをじっと見た。
緑に近いシャツとインナー用のロング白ティーシャツ、そして黒のスキニーズボンだった。
「分かった」
咲に手渡されたズボンとシャツを受け取る。
そして、試着室へと向かっていると、咲はふふんとドヤ顔で言った。
「知っていますか、島崎さん。そのズボン、別の呼び方があるんですよ?」
「パンツとかか?」
「……し、知っているんですね」
衝撃を受けたような顔であった。
そこまで知識がないと思われていたことに、治は苦笑するしかなかった。
「一応知識だけはそれなりには持ってるな。……小説に出てくるキャラクターのイラストとかを指定するために勉強したんだ」
「なるほど……そうです、ぱ、パンツといいます」
咲はとても恥ずかしそうな様子で言葉を絞り出した。その反応の理由が分からず、治は首を傾げる。
「……発音が変じゃないか? それだと下着の方に聞こえるが……」
「そ、そうでしょうか? 少し発音の仕方が悪かったかもしれませんが、たまたまです、たまたま」
ぶんぶん、と咲は少し赤くなった顔をぶんぶんと横に首を振った。
苦笑しながら試着室に入り、治は服を身に着けていく。
「どうだ?」
「……」
ぼけーっと咲は治のほうを見ていた。
治が心配になって首を傾げると、咲ははっとした様子で反応した。
「か、かっこいい……」
「そ、そうか?」
「うぇ!? あっ、そ、その……すみません。見とれてしまって。そうですね……中々に似合っていますね。ただ、他の色の服も試してみましょうか。最後には、その人に合うものにするべきといわれましたからね」
「言われました?」
「……というのが、持論です」
こほん、と咳ばらいをしピンっと背筋を伸ばした咲が次のシャツを探しに行く。
「パンツはそのままにしておきましょう。黒のスキニーパンツは色々と組み合わせやすいそうですからね」
咲が自信たっぷりにそう言って、治は脳内でメモを行っていく。
「……なるほど、参考になるな」
「ふふん、どんどん聞いてくださいね」
「わかった、色々と勉強させてくれ」
「た、ただし! 返答にはお時間を頂く場合がございますので、ご了承ください」
「……あ、ああ。分かった」
かしこまった返答に治はこくこくと頷きながら、彼女とともに服を選んでいく。
「島崎さん……身長あるからわりとなんでも着こなせますね」
「……そう、か?」
「はい、とてもお似合いですよ」
「……そ、そうか」
咲の場合、何を着ても褒めるため治としては本当にアテにしていいのかと心配になってきていた。
それから、色々な服を着ていき、最終的に上下合わせて五着ほどとなり、値段としては一万五千円でお釣りがある程度だった。
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