オタクな俺がポンコツ美少女JKを助けたら、お互いの家を行き来するような仲になりました

木嶋隆太

文字の大きさ
20 / 21

第20話

しおりを挟む


 少し歩けば、咲に注目する人たちで溢れていた。先ほどのように露骨に聞こえるような声はなかったが、それでもこそこそと咲を見る人は多い。
 自然、咲から治へと滑るように視線が集まる。

「飛野はいつもこんなに目立っているのか?」

 想像以上の視線に、治はぼやくように口にしてしまった。

「……そ、そうですね。なんていうか、だいたいどこに行ってもこんな感じですね」
「……大変なんだな」
「……え? そう……思いますか?」
「俺は少なくとも……こういうのは慣れないな。飛野は違うのか?」

 咲の人気の少しを体験した今、治が思うことはただただ疲れるということだった。

「……私も、そうですね。でも、私がそういうと周りの人は注目されて羨ましいっていうんですよ?」
「……そういう感性の人もいるんだな。それはそれで、凄いとは思うな」
「凄い、ですかね? 私は……一度立場を変わってあげたいと思います。どこ行っても注目されるのって休まらなくて大変なんですからね」

 ぷんすか怒っていた咲に、苦笑を返した。

「でも、『人気者で羨ましい』っていう人たちとは一度真剣に話してみたいな」
「どうしてですか?」
「小説を書いている身だと自分とかけ離れた人がどんなことを考えて生活しているのかとかは気になるんだ。小説っていろいろな人の生き方を見るものでもあるだろうしな」
「……確かにそうですね。そういう風に考えたことはありませんでしたね」
「飛野はどちらかというと俺に近い考えだったみたいで安心したな」
「安心ですか?」
「ああ……あんまり派手なのは苦手だからな」

 治がそういって笑うと、咲がくすりと笑った。

「感性が近いようでよかったです。それじゃあ、早速服を見に行きましょうか」
「……そういえば、メッセージでも言っていたけど飛野に任せて良かったのか?」
「はい、任せてください。私、服とか好きなんです」

 とん、と咲が胸を張る。そして治は彼女の部屋を思い出していた。

「……服、好きなのか?」
「……え? ど、どうしてそこに疑問を抱いたのですか?」
「いや、わりと服とか結構適当に放置されていたというか……それに男性と女性でまた別だと思うし……」

 咲の部屋を思い浮かべながら言うと、咲は顔を真っ赤にして声をあげる。

「わ、私の部屋を思い浮かべながら話すのはやめてください! ふ、普段は綺麗なんですよ?」
「……本当にそうなのか?」
「ど、どうしてそう思うんですか……!」
「いや……俺もあんまり人のことを言えるような部屋じゃないからな。……面倒くさがりな人っていうのはみんな同じだと思ってな」
「……なんだ島崎さんの部屋も汚いんですね」
「部屋も、ってことはやっぱりあれが普通なんだな?」

 治が問いかけると、咲ははっと目を見開いた。
 それから、頬を膨らませた。

「わ、罠に嵌めましたね!」

 咲が腕を組んでそっぽを向く。治は謝罪の意を示すように片手を向けながら、笑った。

「ごめんごめん。罠ってほどじゃないと思うが……まあ、お互い気をつけよう。Gとか出ない程度にな」
「ふふん、その点に関して私は心配ありませんよ?」

 咲はドヤ顔を浮かべる。

「なに?」
「私はあのマンションでは一度も見たことありませんからね。十階にもなると出ないのでしょう。……まあ、綺麗にするということには同意ですね。これから気をつけます」
「俺も幸いにもGは見たことないな」
「そうなんですね。できれば……二度と見たくはありませんね」
「見たことはあるのか?」
「……はい、一人暮らしする前に一度。母が握りつぶして仕留めていましたけど……私にアレは無理です。島崎さんはどうですか?」

 咲は顔を青ざめながらそう言った。

「俺も処理はできるが、できれば対面はしたくないな」
「ですよね……っ。あっ、このお店ですね」

 咲はスマホを取り出し、ちらちらと見合わせていた。

「……わざわざ調べてくれたのか?」
「えーと、まあそうですね。……私に任せてくだされば、完璧な服をご用意しましょう」

 咲はそういって胸を張った。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

クラスでバカにされてるオタクなぼくが、気づいたら不良たちから崇拝されててガクブル

諏訪錦
青春
アルファポリスから書籍版が発売中です。皆様よろしくお願いいたします! 6月中旬予定で、『クラスでバカにされてるオタクなぼくが、気づいたら不良たちから崇拝されててガクブル』のタイトルで文庫化いたします。よろしくお願いいたします! 間久辺比佐志(まくべひさし)。自他共に認めるオタク。ひょんなことから不良たちに目をつけられた主人公は、オタクが高じて身に付いた絵のスキルを用いて、グラフィティライターとして不良界に関わりを持つようになる。 グラフィティとは、街中にスプレーインクなどで描かれた落書きのことを指し、不良文化の一つとしての認識が強いグラフィティに最初は戸惑いながらも、主人公はその魅力にとりつかれていく。 グラフィティを通じてアンダーグラウンドな世界に身を投じることになる主人公は、やがて夜の街の代名詞とまで言われる存在になっていく。主人公の身に、果たしてこの先なにが待ち構えているのだろうか。 書籍化に伴い設定をいくつか変更しております。 一例 チーム『スペクター』       ↓    チーム『マサムネ』 ※イラスト頂きました。夕凪様より。 http://15452.mitemin.net/i192768/

陰キャの俺が学園のアイドルがびしょびしょに濡れているのを見てしまった件

暁ノ鳥
キャラ文芸
陰キャの俺は見てしまった。雨の日、校舎裏で制服を濡らし恍惚とする学園アイドルの姿を。「見ちゃったのね」――その日から俺は彼女の“秘密の共犯者”に!? 特殊な性癖を持つ彼女の無茶な「実験」に振り回され、身も心も支配される日々の始まり。二人の禁断の関係の行方は?。二人の禁断の関係が今、始まる!

クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について

沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。 かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。 しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。 現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。 その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。 「今日から私、あなたのメイドになります!」 なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!? 謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける! カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!

クラスメイトの王子様系女子をナンパから助けたら。

桜庭かなめ
恋愛
 高校2年生の白石洋平のクラスには、藤原千弦という女子生徒がいる。千弦は美人でスタイルが良く、凛々しく落ち着いた雰囲気もあるため「王子様」と言われて人気が高い。千弦とは教室で挨拶したり、バイト先で接客したりする程度の関わりだった。  とある日の放課後。バイトから帰る洋平は、駅前で男2人にナンパされている千弦を見つける。普段は落ち着いている千弦が脚を震わせていることに気付き、洋平は千弦をナンパから助けた。そのときに洋平に見せた笑顔は普段みんなに見せる美しいものではなく、とても可愛らしいものだった。  ナンパから助けたことをきっかけに、洋平は千弦との関わりが増えていく。  お礼にと放課後にアイスを食べたり、昼休みに一緒にお昼ご飯を食べたり、お互いの家に遊びに行ったり。クラスメイトの王子様系女子との温かくて甘い青春ラブコメディ!  ※特別編3が完結しました!(2025.12.18)  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、いいね、感想などお待ちしております。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

『俺アレルギー』の抗体は、俺のことが好きな人にしか現れない?学園のアイドルから、幼馴染までノーマスク。その意味を俺は知らない

七星点灯
青春
 雨宮優(あまみや ゆう)は、世界でたった一つしかない奇病、『俺アレルギー』の根源となってしまった。  彼の周りにいる人間は、花粉症の様な症状に見舞われ、マスク無しではまともに会話できない。  しかし、マスクをつけずに彼とラクラク会話ができる女の子達がいる。幼馴染、クラスメイトのギャル、先輩などなど……。 彼女達はそう、彼のことが好きすぎて、身体が勝手に『俺アレルギー』の抗体を作ってしまったのだ!

SSS級の絶世の超絶美少女達がやたらと俺にだけ見え見えな好意を寄せてくる件について。〜絶対に俺を攻略したいSSS級の美少女たちの攻防戦〜

沢田美
恋愛
「ごめんね、八杉くん」 中学三年の夏祭り。一途な初恋は、花火と共に儚く散った。 それ以来、八杉裕一(やすぎ・ゆういち)は誓った。「高校では恋愛なんて面倒なものとは無縁の、平穏なオタク生活を送る」と。  だが、入学した紫水高校には《楽園の世代》と呼ばれる四人のSSS級美少女――通称《四皇》が君臨していた。  • 距離感バグり気味の金髪幼馴染・神行胱。  • 圧倒的カリスマで「恋の沼」に突き落とす銀髪美少女・銀咲明日香。  • 無自覚に男たちの初恋を奪う、おっとりした「女神」・足立模。  • オタクにも優しい一万年に一人の最高ギャル・川瀬優里。  恋愛から距離を置きたい裕一の願いも虚しく、彼女たちはなぜか彼にだけ、見え見えな好意を寄せ始める。 教室での「あーん」に、放課後のアニメイトでの遭遇、さらには女神からの「一緒にホラー漫画を買いに行かない?」というお誘いまで。  「俺の身にもなれ! 荷が重すぎるんだよ!」  鋼の意志でスルーしようとする裕一だが、彼女たちの純粋で猛烈なアプローチは止まらない。 恋愛拒否気味な少年と、彼を絶対に攻略したい最強美少女たちの、ちょっと面倒で、でも最高に心地よい「激推し」ラブコメ、開幕!

処理中です...