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私はやるせなくなって、彼の厚い胸板をドンと叩いた。びくともしない、ちくしょう。
「本当に命知らずの大馬鹿ですね、貴方は」
「うん」
「もし死んだらお墓に、馬鹿ここに眠るって書いて盛大に酒盛りして、罵詈雑言を撒き散らしますからね。わかってますよね?」
「うん、わかってる」
たまらなくなって抱きつくと、エイダンも抱きしめ返してくれる。土埃の匂いと、エイダン自身の濃い匂いがした。
そして僅かに混じる血の匂い。ハッと顔を上げて、キッと睨みつけた。
「やっぱり怪我しているんでしょう。本当に馬鹿ですか貴方は」
「かすり傷だよ。気になるならセルジュが確かめてみて」
リビングに移動する背中を、慌てて追いかけた。
一体どこに怪我を……恐ろしくて震える指先を叱咤して、立ち止まってくれた彼の服を、苦労して脱がす。
怪我をしていたのは足首の外側だった。彼の言う通り、表面をちょっと切っただけのかすり傷だった。ホッと胸を撫で下ろす。
それと同時に、彼の服についた汚れが気になってしまった。私の服にも土汚れが移ってしまっている。
早く脱いで洗濯しないと。上着を脱ぐと、エイダンが期待に目を輝かせた。
「セルジュも一緒にお風呂入る?」
「貴方の後にします。風呂場でよからぬことをする気でしょう」
「あ、バレた?」
「バレるに決まってます、何年一緒にいると思ってるんですか。最後におねしょをした年や、迷子になって三日帰ってこなかったことも、全部覚えてますから」
「敵わないなあ、セルジュには。じゃあ、先にお風呂借りるね」
のほほんとした笑みを浮かべながら、エイダンは風呂場に向かった。まったくもう、人の気も知らないで。
幼いエイダンが迷子になって、帰ってこなかったあの日の途方もない不安感を、大人になった今でも感じている。
どうかどうか、お願いだから生きていてほしい。生きていることを間近で触れて、感じさせてほしい。
今回も、大丈夫だった。けれど次回は……? はあ、早くエイダンに、何も考えられなくしてほしい。
「本当に命知らずの大馬鹿ですね、貴方は」
「うん」
「もし死んだらお墓に、馬鹿ここに眠るって書いて盛大に酒盛りして、罵詈雑言を撒き散らしますからね。わかってますよね?」
「うん、わかってる」
たまらなくなって抱きつくと、エイダンも抱きしめ返してくれる。土埃の匂いと、エイダン自身の濃い匂いがした。
そして僅かに混じる血の匂い。ハッと顔を上げて、キッと睨みつけた。
「やっぱり怪我しているんでしょう。本当に馬鹿ですか貴方は」
「かすり傷だよ。気になるならセルジュが確かめてみて」
リビングに移動する背中を、慌てて追いかけた。
一体どこに怪我を……恐ろしくて震える指先を叱咤して、立ち止まってくれた彼の服を、苦労して脱がす。
怪我をしていたのは足首の外側だった。彼の言う通り、表面をちょっと切っただけのかすり傷だった。ホッと胸を撫で下ろす。
それと同時に、彼の服についた汚れが気になってしまった。私の服にも土汚れが移ってしまっている。
早く脱いで洗濯しないと。上着を脱ぐと、エイダンが期待に目を輝かせた。
「セルジュも一緒にお風呂入る?」
「貴方の後にします。風呂場でよからぬことをする気でしょう」
「あ、バレた?」
「バレるに決まってます、何年一緒にいると思ってるんですか。最後におねしょをした年や、迷子になって三日帰ってこなかったことも、全部覚えてますから」
「敵わないなあ、セルジュには。じゃあ、先にお風呂借りるね」
のほほんとした笑みを浮かべながら、エイダンは風呂場に向かった。まったくもう、人の気も知らないで。
幼いエイダンが迷子になって、帰ってこなかったあの日の途方もない不安感を、大人になった今でも感じている。
どうかどうか、お願いだから生きていてほしい。生きていることを間近で触れて、感じさせてほしい。
今回も、大丈夫だった。けれど次回は……? はあ、早くエイダンに、何も考えられなくしてほしい。
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