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王宮の華やかな廊下をフィオナがルーカスを探して歩いている。
「ルーカス様、ごきげんよう。」
広間にいたルーカスを見つけフィオナは彼に微笑みかけ、その優雅な佇まいは宮殿の雰囲気に映えている。
「やあフィオナ。今日はどうしたんだい?」
フィオナに気づいたルーカスが、歓迎した様子で迎え入れる。
「ここではちょっと話しにくいのです。ルーカス様のお部屋にいきませんか?」
フィオナはルーカスの手を握りながら言う。
フィオナの言葉と行動に慌てたルーカスは周りにいた騎士団の表情を見た。
団員達は何も見ていないと、顔色ひとつ変えずに警備の仕事を全うしている。
「少し外すよ。部屋でフィオナと話をしてくる」
部下達は「かしこまりました」と敬礼だけして、後をついてくる者はいない。
ルーカスは自分の部屋に着くと、部屋の前にいる団員にも少し外すように告げた。
「あまり目立った行動をしないでほしいんだけど。掟は知ってるだろ?」
ルーカスは深いため息をつきながらフィオナに言う。
「【三家の均衡を崩さない】ですか?」と彼女が問うと、ルーカスは首を縦に振り頷いた。
「分かってるじゃないか」
アルカディア王国を築き上げたアルカディア王家、聖女であるブレイズ家、エターニア家はそれぞれ独立し均衡を保つことが掟として定められている。
その掟を定めたのは“誰”で”いつの事”かは誰も知らないが、代々そう受け継がれているのだ。
「そんなに掟が大事なのに、私に手を出したなんてルーカス様はイケナイ王子様ですね」
「おいやめろ!」
ルーカスは慌ててフィオナの口を塞いだ。彼女は微笑みを浮かべ、続けました。
「ねえルーカス様?そもそも三家のバランスなんてもう崩れてるでしょ」
「ああ、暗殺事件のことか。確かにブレイズ家の権威は下がっていると思うが。」
ルーカスはブレイズ家の当主である、ヘンドリックが支援者の貴族と共に殺された事件を思い出した。
「それだけじゃないわ。そもそもあの女に聖女の力が本当にあるの?酔っ払いとか、騎士団の訓練相手してるところしか見た事ないんだけれど」
「俺も言い伝えでしか知らないけど、代々そう伝わっているし・・・」
「私は結界の維持のためにお祈りをして聖女の役目を果たしているのに、あの女は何もしてないの不公平よ」
「フィオナは頑張ってくれてるよ。でも、ブレイズ家もこの国を作った一族だからね」
文句を言うフィオナの頭を撫で慰めるようにルーカスが言う。
「それって昔の話ですよね。今のブレイズ家に女神の加護は聖女の力は既にないんじゃなくて?
当主も簡単に暗殺されて、数少ない支援者の貴族もいなくなった。ねえ、私思うんだけど、あの女もういらなくないかしら?」
フィオナが綺麗な髪をくるくると指先で触りながら淡々と話す。
ルーカスは聖女の力も疑わしく、更に当主まで亡くしたブレイズ家はフィオナの言うとおり、もうダメだろうと思い始めた。
「もしかしてだけとさ、例の暗殺事件って」
「何の話かしら?それはお父様達が調べてるんでしょ?」
フィオナがルーカスの話を遮るよう、首に手を回しながら話す。
「あの女に聖女の力がないとしたら、この国は王家とエターニア家が中心よね。この二家が手を取り合ってひとつになるのは国民にとっては嬉しいことではなくて?」
「それって最高な話だ」
ルーカスはフィオナを抱き上げベッドに運ぶ。二人は王宮の優雅な雰囲気の中で自らの感情に身を任せた。
「ルーカス様、ごきげんよう。」
広間にいたルーカスを見つけフィオナは彼に微笑みかけ、その優雅な佇まいは宮殿の雰囲気に映えている。
「やあフィオナ。今日はどうしたんだい?」
フィオナに気づいたルーカスが、歓迎した様子で迎え入れる。
「ここではちょっと話しにくいのです。ルーカス様のお部屋にいきませんか?」
フィオナはルーカスの手を握りながら言う。
フィオナの言葉と行動に慌てたルーカスは周りにいた騎士団の表情を見た。
団員達は何も見ていないと、顔色ひとつ変えずに警備の仕事を全うしている。
「少し外すよ。部屋でフィオナと話をしてくる」
部下達は「かしこまりました」と敬礼だけして、後をついてくる者はいない。
ルーカスは自分の部屋に着くと、部屋の前にいる団員にも少し外すように告げた。
「あまり目立った行動をしないでほしいんだけど。掟は知ってるだろ?」
ルーカスは深いため息をつきながらフィオナに言う。
「【三家の均衡を崩さない】ですか?」と彼女が問うと、ルーカスは首を縦に振り頷いた。
「分かってるじゃないか」
アルカディア王国を築き上げたアルカディア王家、聖女であるブレイズ家、エターニア家はそれぞれ独立し均衡を保つことが掟として定められている。
その掟を定めたのは“誰”で”いつの事”かは誰も知らないが、代々そう受け継がれているのだ。
「そんなに掟が大事なのに、私に手を出したなんてルーカス様はイケナイ王子様ですね」
「おいやめろ!」
ルーカスは慌ててフィオナの口を塞いだ。彼女は微笑みを浮かべ、続けました。
「ねえルーカス様?そもそも三家のバランスなんてもう崩れてるでしょ」
「ああ、暗殺事件のことか。確かにブレイズ家の権威は下がっていると思うが。」
ルーカスはブレイズ家の当主である、ヘンドリックが支援者の貴族と共に殺された事件を思い出した。
「それだけじゃないわ。そもそもあの女に聖女の力が本当にあるの?酔っ払いとか、騎士団の訓練相手してるところしか見た事ないんだけれど」
「俺も言い伝えでしか知らないけど、代々そう伝わっているし・・・」
「私は結界の維持のためにお祈りをして聖女の役目を果たしているのに、あの女は何もしてないの不公平よ」
「フィオナは頑張ってくれてるよ。でも、ブレイズ家もこの国を作った一族だからね」
文句を言うフィオナの頭を撫で慰めるようにルーカスが言う。
「それって昔の話ですよね。今のブレイズ家に女神の加護は聖女の力は既にないんじゃなくて?
当主も簡単に暗殺されて、数少ない支援者の貴族もいなくなった。ねえ、私思うんだけど、あの女もういらなくないかしら?」
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ルーカスは聖女の力も疑わしく、更に当主まで亡くしたブレイズ家はフィオナの言うとおり、もうダメだろうと思い始めた。
「もしかしてだけとさ、例の暗殺事件って」
「何の話かしら?それはお父様達が調べてるんでしょ?」
フィオナがルーカスの話を遮るよう、首に手を回しながら話す。
「あの女に聖女の力がないとしたら、この国は王家とエターニア家が中心よね。この二家が手を取り合ってひとつになるのは国民にとっては嬉しいことではなくて?」
「それって最高な話だ」
ルーカスはフィオナを抱き上げベッドに運ぶ。二人は王宮の優雅な雰囲気の中で自らの感情に身を任せた。
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