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幕間1
跡目への失望
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「おい、本当にこっちなんだな、アルド!」
ギルドでの狂騒から一夜明け、アルドたちは父ゼノスが招集したベテラン調査部隊の先導として、再びあの森へと足を踏み入れていた。背後にはCランクの手練れたちが並び、その視線がアルドの背中に突き刺さる。
「ああ、間違いない。入り口のすぐそばで、あの怪物が現れたんだ」
アルドは冷や汗を拭いながら歩を進める。だが、昨日まで感じていた奇妙な静寂は消えていた。 カイルという無自覚な魔物除けを失った彼らの周りには、あちこちで魔物の遠吠えが響いている。
ようやく辿り着いた遺跡は、確かに無残に崩壊していた。 だが、現場を検分したベテラン冒険者たちの顔は、みるみるうちに険しくなっていった。
「おかしい。ビーストグリズリー級が暴れたなら、特有の腐臭や魔力の残滓が残るはずだ。だがここにあるのは、ただの物理的な崩落の跡だけだぞ」 「森の主の痕跡が見当たらない」
調査部隊のリーダーが、アルドを冷たく見据えた。 「隊長!森の気配が異様です。魔物も活性化しています。このまま時間を食うのは危険だ。撤退しましょう」
「待ってくれ! 嘘じゃない、本当にいたんだ! もっと奥に逃げたに違いない!」
ここでビーストグリズリーに出会えなければ、昨日の賞賛はすべて消える。焦ったアルドは制止を振り切り、森の深部へと突き進んだ。ベテランたちは舌打ちしながらも、ギルドマスターの息子を見捨てるわけにいかず、渋々後を追う。
だが、彼らを待っていたのは主ではなく、飢えた群れだった。
「グガアアアアッ!」
森の奥から、ランクCの魔物『フォレスト・ラプター』の群れが、なだれを打って押し寄せてきた。 「くそっ、囲まれた! 総員、応戦!」
個体で見れば討伐可能な相手だ。だが、カイルの手入れ受けていない鎧を着たガラムは動きが鈍い。ルカの放つ魔法も、カイルが補充していたはずの触媒が足りず、威力が半減していた。
「アルド、助けて! 囲まれてるわ!」 「うるさい、こっちだって手一杯だ!」
カイルという囮も補給もいない彼らの連携は、驚くほど脆かった。結局、ベテランたちが殿(しんがり)を務める形で、彼らはプライドも装備もボロボロにしながら、命からがら森を逃げ出した。
――ギルドに戻ったアルドたちを待っていたのは、怒号に満ちた叱責だった。
「報告にあったビーストグリズリーの痕跡は、何一つ確認できなかった」
調査報告を受けたギルドマスター・ゼノスの拳が、執務机を激しく叩きつけた。
「アルド! レベル0がどうなったかはどうでもいい。だが、お前たちは言い訳のために、ビーストグリズリーと遭遇したという大嘘をついたのか!」
「父さん、違うんだ! あれは本当に――」
「黙れ! その嘘のせいで、どれだけの予算と人員が無駄に動いたと思っている! ギルドに迷惑をかけると分からなかったのか!」
これもすべてあいつのせいだ。あの魔物除けのせいで、ビーストグリズリーの痕跡が残らなかったに違いない。死んだ後もこの俺様に迷惑をかけると言うのか。
ゼノスの部屋から追い出された3人は行き場のない怒りをぶつけるしかなかった。
ギルドでの狂騒から一夜明け、アルドたちは父ゼノスが招集したベテラン調査部隊の先導として、再びあの森へと足を踏み入れていた。背後にはCランクの手練れたちが並び、その視線がアルドの背中に突き刺さる。
「ああ、間違いない。入り口のすぐそばで、あの怪物が現れたんだ」
アルドは冷や汗を拭いながら歩を進める。だが、昨日まで感じていた奇妙な静寂は消えていた。 カイルという無自覚な魔物除けを失った彼らの周りには、あちこちで魔物の遠吠えが響いている。
ようやく辿り着いた遺跡は、確かに無残に崩壊していた。 だが、現場を検分したベテラン冒険者たちの顔は、みるみるうちに険しくなっていった。
「おかしい。ビーストグリズリー級が暴れたなら、特有の腐臭や魔力の残滓が残るはずだ。だがここにあるのは、ただの物理的な崩落の跡だけだぞ」 「森の主の痕跡が見当たらない」
調査部隊のリーダーが、アルドを冷たく見据えた。 「隊長!森の気配が異様です。魔物も活性化しています。このまま時間を食うのは危険だ。撤退しましょう」
「待ってくれ! 嘘じゃない、本当にいたんだ! もっと奥に逃げたに違いない!」
ここでビーストグリズリーに出会えなければ、昨日の賞賛はすべて消える。焦ったアルドは制止を振り切り、森の深部へと突き進んだ。ベテランたちは舌打ちしながらも、ギルドマスターの息子を見捨てるわけにいかず、渋々後を追う。
だが、彼らを待っていたのは主ではなく、飢えた群れだった。
「グガアアアアッ!」
森の奥から、ランクCの魔物『フォレスト・ラプター』の群れが、なだれを打って押し寄せてきた。 「くそっ、囲まれた! 総員、応戦!」
個体で見れば討伐可能な相手だ。だが、カイルの手入れ受けていない鎧を着たガラムは動きが鈍い。ルカの放つ魔法も、カイルが補充していたはずの触媒が足りず、威力が半減していた。
「アルド、助けて! 囲まれてるわ!」 「うるさい、こっちだって手一杯だ!」
カイルという囮も補給もいない彼らの連携は、驚くほど脆かった。結局、ベテランたちが殿(しんがり)を務める形で、彼らはプライドも装備もボロボロにしながら、命からがら森を逃げ出した。
――ギルドに戻ったアルドたちを待っていたのは、怒号に満ちた叱責だった。
「報告にあったビーストグリズリーの痕跡は、何一つ確認できなかった」
調査報告を受けたギルドマスター・ゼノスの拳が、執務机を激しく叩きつけた。
「アルド! レベル0がどうなったかはどうでもいい。だが、お前たちは言い訳のために、ビーストグリズリーと遭遇したという大嘘をついたのか!」
「父さん、違うんだ! あれは本当に――」
「黙れ! その嘘のせいで、どれだけの予算と人員が無駄に動いたと思っている! ギルドに迷惑をかけると分からなかったのか!」
これもすべてあいつのせいだ。あの魔物除けのせいで、ビーストグリズリーの痕跡が残らなかったに違いない。死んだ後もこの俺様に迷惑をかけると言うのか。
ゼノスの部屋から追い出された3人は行き場のない怒りをぶつけるしかなかった。
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