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第2章 現実と仮想現実
第94話 待ち時間
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「これ、結構大変だね……」
「か、代わりましょうか?」
「いや、大丈夫。もう少しだろうし……」
ごりごりと音を立てて、ルコの実をすり鉢で潰していく。
クルミよりも小さいけれど、硬さはまさしくクルミみたいな硬さで、殻をつぶすと中から柔らかい実が出てくる。
おばちゃんが言うには、中の実と外の殻の両方を混ぜるように潰してから水に漬ける必要があるみたいで、殻だけでも実だけでもダメみたい。
だからこうして力を入れて頑張ってるんだけど……、いかんせん殻が硬い……。
「あー……、もう大丈夫かなー……」
「ある程度潰れてますので、ひとまずこちらで試してみますか?」
「そうだね。まだ潰す目安もわかんないし、とりあえずこれで試してみよっか」
力を入れて潰してた反動か、重くなったように感じる腕を、振るように解しながら椅子に座る。
そんな僕を見てか、シルフは少し苦笑しながらそばに置いてあった布を手にとって、すり鉢の中のルコの実へ手を伸ばした。
潰して混ぜたルコの実を、布で包んで中身が出ないように紐で縛る。
その後に、鍋に溜めた水の中に落とせば大丈夫……らしい。
温めずに常温の水の状態で成分を出さないとダメみたいで、こればっかりは出るまで待つしかない。
「んー……、この間にすることがないね……」
「そう、ですね。なにか調べものとかをされたりとか……?」
「調べものっていえば……、これだけど……」
言いながら、インベントリを操作して、おばちゃんからもらった本を取り出す。
軽くページを捲れば、そこには見たことのある素材の絵が描いてある。
詳しく読めば、なんとなく使い方がわかる……ような、わからないような……。
「採取するときには何がどれとかわかるし、なんとなくのイメージは掴めるから良いんだけど……」
「それ以上の情報が欲しいと……ちょっと物足りないかもしれませんね……」
「そうなんだよねぇ……。この街だと本を売ってるお店もないみたいだし」
以前、なにか参考になる本を探そうと街を見て回ったんだけど、本を売っているところが全然見つからなくて……。
それで、おばちゃんに聞いてみたら、この街では行商でしか本は手に入らないよ、って言われたんだよね……。
でも、隣の町には本を複製してる人がいるみたいで、本屋さんはあるみたい。
だから、隣の町に行ってみたいと思いつつ、まだ行けてないんだよねぇ……。
「折角だし、この依頼が終わったら行ってみようかな……」
「……どこへです?」
「あぁ、えっと、隣の町にね。本のお店がそっちにはあるみたいだし」
首を傾げたシルフに、笑いながら答える。
思念が読めると言っても、ただ茫然と考えてただけのことだと上手いこと読めないみたいだ。
「なるほど……。アキ様と私だけだと不安ですし、どなたか一緒に来ていただけたら安心ですね」
「狼はいないと思うけど行ったことのないエリアだし、何か出てきても困るしね」
「どなたか……、あっ、そういえば、トーマ様のご用事は落ち着いたのでしょうか……?」
「あー……、どうなんだろ」
森から帰ってきた後、用事があるからってことでジェルビンさんのところに行くのを後日にしたんだけど……。
その予定も立てないとだけど、まだ連絡もないし……。
「そういえば、あと1週間ちょっとでイベントもあるんだっけ……」
「森からの帰り道で、皆様がお話されてた件ですよね?」
「そうそれそれ。開催時期も近いし、そろそろ詳細が発表されてたりしないかな?」
と言っても、ゲームの中からネットとかに繋ぐことはできないんだけど。
あ、でも、トーマ君達が確か……、街中に告知が張られてるって言ってたような……。
横目で鍋の中を見てみても、まだ色も全然変わってないし……、今のうちに見に行ってこようかな。
「よっし、ちょっと離れる準備して見に行ってみよっか!」
「あ、はい!」
風で鍋が動いたりしないように、窓を閉めたり、鍋を作業台の真ん中に移動させたり……。
うん、これなら問題ないはず!
そんなに時間もかからないだろうし、おばちゃんにも一言伝えていけば大丈夫、だよね?
「それじゃ、行こうか!」
待ってくれていたシルフに声をかけつつ、手を取って椅子から立たせてあげる。
飛ぶように椅子から降りたシルフを受け止めつつ、僕は外へと足を向けた。
「か、代わりましょうか?」
「いや、大丈夫。もう少しだろうし……」
ごりごりと音を立てて、ルコの実をすり鉢で潰していく。
クルミよりも小さいけれど、硬さはまさしくクルミみたいな硬さで、殻をつぶすと中から柔らかい実が出てくる。
おばちゃんが言うには、中の実と外の殻の両方を混ぜるように潰してから水に漬ける必要があるみたいで、殻だけでも実だけでもダメみたい。
だからこうして力を入れて頑張ってるんだけど……、いかんせん殻が硬い……。
「あー……、もう大丈夫かなー……」
「ある程度潰れてますので、ひとまずこちらで試してみますか?」
「そうだね。まだ潰す目安もわかんないし、とりあえずこれで試してみよっか」
力を入れて潰してた反動か、重くなったように感じる腕を、振るように解しながら椅子に座る。
そんな僕を見てか、シルフは少し苦笑しながらそばに置いてあった布を手にとって、すり鉢の中のルコの実へ手を伸ばした。
潰して混ぜたルコの実を、布で包んで中身が出ないように紐で縛る。
その後に、鍋に溜めた水の中に落とせば大丈夫……らしい。
温めずに常温の水の状態で成分を出さないとダメみたいで、こればっかりは出るまで待つしかない。
「んー……、この間にすることがないね……」
「そう、ですね。なにか調べものとかをされたりとか……?」
「調べものっていえば……、これだけど……」
言いながら、インベントリを操作して、おばちゃんからもらった本を取り出す。
軽くページを捲れば、そこには見たことのある素材の絵が描いてある。
詳しく読めば、なんとなく使い方がわかる……ような、わからないような……。
「採取するときには何がどれとかわかるし、なんとなくのイメージは掴めるから良いんだけど……」
「それ以上の情報が欲しいと……ちょっと物足りないかもしれませんね……」
「そうなんだよねぇ……。この街だと本を売ってるお店もないみたいだし」
以前、なにか参考になる本を探そうと街を見て回ったんだけど、本を売っているところが全然見つからなくて……。
それで、おばちゃんに聞いてみたら、この街では行商でしか本は手に入らないよ、って言われたんだよね……。
でも、隣の町には本を複製してる人がいるみたいで、本屋さんはあるみたい。
だから、隣の町に行ってみたいと思いつつ、まだ行けてないんだよねぇ……。
「折角だし、この依頼が終わったら行ってみようかな……」
「……どこへです?」
「あぁ、えっと、隣の町にね。本のお店がそっちにはあるみたいだし」
首を傾げたシルフに、笑いながら答える。
思念が読めると言っても、ただ茫然と考えてただけのことだと上手いこと読めないみたいだ。
「なるほど……。アキ様と私だけだと不安ですし、どなたか一緒に来ていただけたら安心ですね」
「狼はいないと思うけど行ったことのないエリアだし、何か出てきても困るしね」
「どなたか……、あっ、そういえば、トーマ様のご用事は落ち着いたのでしょうか……?」
「あー……、どうなんだろ」
森から帰ってきた後、用事があるからってことでジェルビンさんのところに行くのを後日にしたんだけど……。
その予定も立てないとだけど、まだ連絡もないし……。
「そういえば、あと1週間ちょっとでイベントもあるんだっけ……」
「森からの帰り道で、皆様がお話されてた件ですよね?」
「そうそれそれ。開催時期も近いし、そろそろ詳細が発表されてたりしないかな?」
と言っても、ゲームの中からネットとかに繋ぐことはできないんだけど。
あ、でも、トーマ君達が確か……、街中に告知が張られてるって言ってたような……。
横目で鍋の中を見てみても、まだ色も全然変わってないし……、今のうちに見に行ってこようかな。
「よっし、ちょっと離れる準備して見に行ってみよっか!」
「あ、はい!」
風で鍋が動いたりしないように、窓を閉めたり、鍋を作業台の真ん中に移動させたり……。
うん、これなら問題ないはず!
そんなに時間もかからないだろうし、おばちゃんにも一言伝えていけば大丈夫、だよね?
「それじゃ、行こうか!」
待ってくれていたシルフに声をかけつつ、手を取って椅子から立たせてあげる。
飛ぶように椅子から降りたシルフを受け止めつつ、僕は外へと足を向けた。
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