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ここはやっぱり有名なアレだよね
しおりを挟む新しい朝が来た。希望の朝だ。
インベントリにはたくさんの食糧と生活用品、それに旅に必要な数々のグッズ。
ナインに適当に見繕ってもらったものだけど、アイツの事だから不備はないと思う。
ていうかあいつは少しくらい心配してくれても良いんじゃないだろうか。
一応、女の子の一人旅なんだし。しかも初めての。
いやまぁ、私が怪我する事なんて無さそうだけどね。
徒歩で三日ほど南に下ったところにある、人間の街。
そこはこの街とはまた違う光景があるのだろう。
もちろん私はこの街が好きだけど、それでもやっぱり足りないモノはある。
無論、BLだ。
男の数が少なすぎんだよマジで。
てなわけで、私は新天地を求めて旅に出るのだ。
とは言っても、ただ遊びに行くだけなんだけどね。
「んじゃ、行ってきまーす」
「本当に護衛はいらないのか?」
「大丈夫ですよ。私、逃げ足は速いので」
「そうか……そこまで言うのであれば、私はリリィを信頼しよう。かならず戻ってきてくれ」
「はい、約束します」
知り合いで唯一まともに心配してくれたのはエルンハルトさんだけだ。
話をした時から今日に至るまでずっと心配させてしまった。
いっそのこと私のステータスをばらした方が良いんじゃないかとまで考えたけど、絶対面倒ごとになるので何とか我慢した次第だ。
けどまぁ、最後に納得してくれたみたいで良かった。
「お姉さま、お土産話をたくさん持って帰って欲しいですの」
「はいよ。色々と見て回るわ」
「本当は一緒に行きたかっですの。でも今回は諦めますの」
「えらいぞー。その調子でちゃんと仕事しような」
「はいですの!」
エリーゼの方は意外にというか、案外すんなりと旅立ちを認めてくれた。
様子から見るに全く心配はしていないようだ。
それはそれで複雑な心境だけど、無理やり着いて来られるよりはマシなので言及しないことにした。
エリーゼと二人旅とか違う意味で危険すぎるし。
「しっかしまぁ、自分の趣味の為に危険を冒すなんて大胆っすね」
「趣味じゃない、信仰よ」
「何かってに神聖化してるんすか。お偉いさんに怒られ……はしないっすね」
「うん、たぶん誰も怒りはしないと思う」
「本当に滅茶苦茶っすよね。それも含めて面白かったんで、また店に顔を出してください」
白髪老人ロボ姿のナインの言い草につい笑ってしまう。
確かに滅茶苦茶な自覚はあるし。
こっちに来てから普通って言葉はかなり縁遠い存在だからな。
でもそれも含めて、良い出会いばかりだった。
「お前は怪我じゃなくて病気に気を付けろ。無駄に頑丈そうだが病気はまた別の話だ」
「ん。風邪とか引かないように気を付けるわ」
「まだ朝晩は寒さが残るからな。腹出して寝るなよ?」
「アンタからもらったコートがあるから大丈夫よ」
このコートには様々な防御魔法がかけられているのはアテナの密告で知っている。
全く持って素直じゃない奴だ。
けどなんだかんだ、こいつが一番話しやすかったな。
戻ってきたらまたオセロ勝負をしてやろう。
ぜってぇ負けないけど。
「んじゃ、行ってきます」
手を振り、街門を出る。
そこには来た時と同じ光景が広がっており、遠くには私が転移した森の入り口が見えた。
この街道をまっすぐ行けば人間の街がある。
そしてそこには、もしかしたら私の追い求めていたものがあるかもしれない。
ここはの異世界なんだし、まだ見ぬカップリングがあるかもしれない。
そう考えるだけで心が躍るようだ。
三つ子の魂、百までも。
死んで尚、変わらないもの。
私のBL好きはどうやら筋金入りのようだ。
はやく成分を摂取しないと大変なことになりそうだ。
じゃあ、まぁ。
ここは例の言葉で締めるとしましょうかね。
街に背を向けたままおもむろに街道を駆け出す。
前世では考えられなかったほどに速く走りながら、
「私たちの冒険はこれからだ!」
こうやって、私は人間の街へと旅立ったのであった。
~打ち切りエンド~
という訳でごめんなさい。
ネタが尽きたので今作は一旦完結させていただきます。
また何か構想が浮かんだら再会するかもしれません。
それまでの間、他作品を読んでお待ちください。
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