俺様系イケメンに挑む地味女子の負け戦!

水戸春季

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下心ありき

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「お、おじゃまします。うわ、本当に散らかってるし汚い…」
「いきなり失礼なヤツだな!お前が急に来るからだろうが」
「だから、私はコレ渡したらすぐ帰るつもりだったのに!そっちがむりやり家に上げたんでしょ!」
「ああ、ソレ何?」

 俺の問いかけに朝田は「あ!」と声を上げ、先程までブンブンと振り回していた紙袋を思い出したかのように中身を確認している。食べ物じゃなければいいけれど。彼女は少し照れた様な顔でこちらをちらりと見て「これ、どうぞ」と差し出した。困惑していると、グイッと強制的に袋を押し付けられた。この扱いはやはり食べ物ではないらしい。何やら軽くて小さいモノ。仕方なく受け取って中身を取り出すと、それは黒くて質感の良い長方形の小箱。

「開けていいの?」

 目も合わさずに頷いたのを認めて箱を開けると、それはボールペンだった。ペンとは言っても俺がいつも使っている様な適当なものでは無くて、持ってみれば掌にひんやりと馴染む、ツルリとした黒地に金色が映える美しいペン。よく見れば名入れまでしてくれている。最初は突然の贈り物に戸惑いと驚きばかりで反応出来なかったけれど、落ち着けばじわじわと嬉しい気持ちが胸の中を支配していく。朝田を見ると、先程よりも更に下を向いてしまって表情がまるで伺えない。我慢出来なくなってその可愛い旋風を指先でグリグリと押した。

「これ、くれるんだよな?」
「…バカなんですか?名前入ってるんだから分かるでしょ」
「そりゃそうか!ありがとうな」

 朝田は相変わらず減らず口ばかりだけれど、プレゼントを貰ったばかりの俺はとても気分が良かったので、素直に感謝の気持ちを伝える事が出来た。

「でもこれ、何のプレゼント?俺、誕生日とかじゃないんだけど」
「プレゼントではなくてお礼です。何度も残業手伝って貰ってるし、いつも美味しいご飯ご馳走して頂いてるので、これくらいじゃ足りないくらいなんですけど…」
「いや、え?!全部俺が勝手にやってることだし、お礼とかマジで気にしなくて良いよ!」

 まさかの理由に驚いて、つい大きな声が出てしまった。彼女は驚いた顔で肩を縮こませている。何せこちらは常に下心ありきで行動していただけなのだ。残業を手伝うことも、食事を奢ることも、全てはその後の肉体関係に移行するための下準備に過ぎなかった。

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