愛について歌うきみと

輪道響輝

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第二章 代償と揺らぎ

ここに……

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 気づいたら医務室にいた。あれは過去にあった出来事?まさか時属性の魔法?本当に不思議な属性だな。
 ……あれ?体が動かない。目は動くけどほかのものは何も動かない。おかしいな………
 あ、そっか時属性の魔法は魔力の消費が激しいんだ。
 ところであれはなんだったんだ?何を話してた?もし内容が分かれば、ライが何をしようとしたのか、なぜここまで優しくしてくれたのかわかるはずだ。あれをもう一度見れば………

「リドル君、調子はどうだい?」

「ヘルブラム殿下!心配をおかけしてすみません。体調は良好です!」

 ヘルブラム殿下が来てくれて、思わずにやけてしまい、爆笑された。
 まぁそれは置いておいて、魔法が発動した事とそれが本来なら時属性の固有魔法である事を話すと、やけに険しい顔をした。

「それは……本当なのかい?だとしたら……ちょっと待ってて!」

 そういうとヘルブラム殿下は医務室から出ていってしまった。

 ◆◇◆

 しばらくして、ヘルブラム殿下が戻って来ると、隣にはフリーナ陛下と義父上、それからアルバ兄様がいた。
 どういうことかと首を傾げていると、陛下が口を開いた。

「もう一度属性の測定をすることを命ずる。」

 え?なんでそんなに急に?
 そんな感じで首を傾げているとアルバ兄様が説明してくれた。他属性の固有魔法が使えるのは異例中の異例であり、なぜなのか分からないそのためもう一度属性を測定し、時属性やその他の属性である可能性を探すとの事だ。

 うん、よく分からないけどやってみる価値ならありそうだ。ずっと不思議だったから、もう一度調べて、ちゃんと分かったらそれで安心もできるし……

「承知しました」

「それではすぐに準備をしよう、急いで馬車の手配を」

「母上、お待ちください。」

 フリーナ陛下が言い終わる前にヘルブラム殿下が遮った。今すぐはさすがに無理だからね、ヘルブラム殿下ナイスすぎます。
 指摘を受けたフリーナ陛下も顔を真っ赤にしてあたふたしていて、それまでの凛とした雰囲気が完全に壊れていた。この2人、やはり親子である。あたふたしている時の顔が全く一緒である。
 もしや王配殿下も同じ感じなのかもしれないな。

 ◆◇◆

 そんなこんなで1週間たってやっと動けるようになった。そして今日が属性測定日だ。教会につくと、フリーナ陛下とヘルブラム殿下がいて、言われるがまま動いていると、測定が始まった。
 教祖様が呪文を唱え、魔法石が光り出す、少しづつ体から魔力が抜けていき、やがて形を変えた。

 それはすごく透明に近く、中心にうっすらと球体があり、光を放つリングが薄く2つある。
 全員が初めて見る魔法石の形状に驚きながら、教祖様が口を開いた。

「これは……に似た形をしていますね。私も初めて見る形です。」

 聖なる泉の原石………確か、キルア派の歴史においてかつて降臨した神が、魔力の循環を良くするために生み出した泉の奥底に埋められたというもの。

 まあ1000年以上前の話だ。あやふやな事だらけだし、そもそも宗派の歴史とかも授業でやらないしあんまり分からない。でもなにかへんな感じがする。
 本当に誰も居なかったのだろうか……キルア派以外の宗派の貴族は王族との関係も悪いからあまり分からない。

 と言うより他の宗派からキルア派が嫌われていると言う方が正しいかもしれない。特に、ブエル派からは凄く嫌われている。
 宗派の対立で内戦や戦争になることもあったくらいだ。

 でも確かに国の資料の中には、キルア派の物が多い。となると他の宗派の中から僕みたいな属性を持った人がいても、隠されていたかもしれない。

「リドル君!それだ!!!」

 急に叫び出したフリーナ陛下にびっくりしながら、口に出ていたことに気づき、少し恥ずかしくて顔を手で覆うと、ヘルブラム殿下に笑われた。
  
 やめてってば!

 するとフリーナ陛下と義父上が何やら話をしており、ヘルブラム殿下にいい場所があると教会を回ることになった。

 教会の中は聖堂だけでなく、孤児院や教徒達の寮などがある。
 そして庭は王宮やアビスガード邸とはまた違った特徴があり、季節によって見える景色が全く違うらしい。今は春なので、花が沢山咲いていて彩に溢れている。すごく綺麗だ。

 孤児院では子供達がおもてなしをしてくれた。
 礼儀もよく、自分たちで助け合いながら最高のおもてなしをしてくれた。手作りだというマフィンはとても美味しかった。
 とても優秀な子も何人かいて、勉強を下の子に教えていたりして和やかな雰囲気で包まれていた。親はいないし、血の繋がりもないが誰が見ても家族と言えるその暖かい光景に、ふとあの日々を思い出す。

 一緒に家事をしていた訳では無いし、一緒にいる時間も多いわけではなかったが暖かった。
 もちろん今も寂しい思いをしている訳では無いが、それでもなんだか心にぽっかりと穴が空いた感じは拭えない。

 ライがいなくても義父上も義母上も我が子と言ってくれるし、フリーナ陛下にも優しくしてもらっている。身に余る優しさに、時折疎外感を感じる事もあるがとても暖かい。

 そう暖かいのだ。それを再認識できて良かった。それから、ライの歌が今も胸に響いていたことにも気づいた。後で聞いたが、あれは僕といる時にしか歌わない、僕の為の歌だ。
 ならば今度は僕がそのバトンを回したい。ライの歌をこれからも紡いでいきたい。
 そう思い、ふと口ずさむ。

「ー♪♪♩•*¨*•.¸¸♬•*¨*•.¸¸♪」

 ライのように上手くは歌えないけどそれでも子供達やヘルブラム殿下には響いたようだ。
 歌い終わる頃にはみんながキラキラとした目でこちらを見ていた。子供達が一緒に歌いたいと言うので、ヘルブラム殿下も交えてみんなで歌う。
 すると自然に流れ出る音と言葉に想いが重なり、みんなと歌うそのうたは『ライの歌』から『愛のうた』になった。

 ◆◇◆

 そうして教会を後にすると、フリーナ陛下と義父上が待っていて、その場で義父上とわかれ、3人で馬車に乗りながら、今日のことを話す。
 教会を回ったこと、孤児院の子供達と仲良くなったこと、一緒に歌ったこと。
 フリーナ陛下からは、キルア派以外の宗派からの情報収集をより強化する事と、聖なる泉の原石について、調べることを教えてくださった。

 王宮に着く頃には、暗くなりご飯を食べてそのまま湯浴みをせずに寝た。
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