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第二章 代償と揺らぎ
いつになれば
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あ…………れ………………?
ここ…………は……?
あぁ、いつものあれか。
このままでいいのかな?
学園はもうずっと休んでる。それに、ヘルブラム殿下、心配してるだろうな。
「起きたか、ほらこれでも食っとけ。」
コオロギとミツバチの幼虫か、食べはするけど、不味いし何よりなんの足しにもならない。しかし、食べないよりはましだ。諦めて食べるもやはり不味い。
「おえっ。」
吐き気が止まらない。辛い。僕はいつまでこれを続ければいいんだろう?これも、罰なのかな。だったらどれだけ辛くても、苦しくても逃げ出しちゃいけない。
このまま、ここで生きていくんだろうな。
「逢いたいな……」
ふと、あの人の顔を思い浮かべる。太陽みたいに眩しくて、暖かいあの人を。いつも隣にいてくれて、守ってくれる。僕には勿体ない人。いつの間にか、好きになっていたあの人。大きな背中と、暖かい腕が生きるひとつの理由になったあの人。
もう逢えないのかな。もしもう一度逢えたのなら、その時は言っていいかな。「あなたが好きだ」と。そんな事があればいいのに。
「ほら食い終わったなら行くぞ。連れて行け。」
食べ終わるのと同時にあの部屋に連れていかれる。
いつも通り、そのまま気絶するまでやらされ続ける。それまではご飯も水浴びも、睡眠も許されない。ただただ性欲のはけ口として、回され続ける地獄。もう、疲れた。
すると突然、とある者が言い出した。
「こいつ、僕が買い取りましょう。なかなかにいい器だ。」
その人は今日初めて来た人で、見た事のない人だった。そのまま何故か従順な例の女性を後目に僕は、連れていかれた。久しぶりの外の空気は美味しかった。出て来て初めてそこが、あの忌々しいビオレントを使ったルーシィの生まれたフィンネル伯爵家の領地である事がわかった。今までいた地下室は巧妙に隠されており、そこにあると言われても分からないような場所だった。
そのまま向かった先は、ヴィーナス王国の西南西にあるアトラス王国だった。さっきははっきりと顔は見えなかったけど、この方はおそらく以前会ったアトラス王国の大公家であるカレイド・イブ・アルキオネ様だろう。カレイド閣下は自己紹介もなしに、そのまま何故か既に準備されている部屋に連れていかれ、久々にふわふわのベッドで寝た。
◆◇◆
翌朝になると、カレイド閣下は今、外がどういう状態なのかを教えてくれた、ヴィーナス王国は今は僕の捜索を徹底している。そして、今度国際会議があるらしく、そこで僕のことも話すそう。
アルキオネ大公家は、ヴィーナス王国の公爵家から嫁を取った事から、アトラス王国との架け橋のような働きをしている。
前々から僕のことは知っていて、行方不明になるのと同時期にフィンネル伯爵家の件を噂で聞き、もしやと思い、行ってみたら案の定僕が居たとの事だ。しかし助けてくれたと言うよりは、利益を求めた結果、こちらの方がいいと言う判断でやったそうだ。だから、このまま王宮に返されることも無いそうだ。表向きには孤児を迎え入れたという事になるそう。
◆◇◆
色々経てアルキオネ大公家の養子になり、名前が「アルト・イブ・アルキオネ」になった。流石にリドルと言う名前は使えないらしい。この国で僕と事前にあった事があるのは、カレイド閣下だけなので、バレることはないであろう。
カレイド閣下は独身らしく、ほかの家族は両親だけだそう。その両親も今は領地の館に住んでいるらしく、今まで少し寂しかったと零していた。
その両親とも挨拶を済ましており、息子として快く迎え入れてくれた。その光景はあの時を思わせてくれるようで心が暖かくなった。
アルキオネ大公家はアビスガード家やフレイム家とは宗派が違い、アスタロト派になる。そのためアスタロト派の教えと歴史を学ぶ事になった。その後はアトラス王国の学園に編入した。
学園は暖かくて心地よい所だった。
ヴィーナス王国にいた時とは違い、誰も後ろ指を刺さず、笑顔で話しかけてくれる。ただ一つ、なにかが欠けている気がするけど、それでも居心地の良さは凄かった。それにしっかりと友達もできた。しかしやはりなにかが欠けている気がする。これはなんなんだろう。
◆◇◆
編入からしばらく経って試験がやってきた。少し自信はあるが、やはりしばらく勉強が出来なかったのでかなりボロボロになっている可能性もある。
できるだけ無理をして頭に叩き込み、解答用紙は埋めたが、心配だなと思っていると、後ろから名前を呼ばれた。
「アルト様!そろそろ成績が張り出されますよ!一緒に行きましょう!」
この子はレイズ・ウィル・メルキュール。アトラス王国の侯爵家次男だ。編入してきてから初めて話しかけてくれた子で、とても可愛らしい顔つきがうさぎのようで、ときどき撫でそうになる。
一緒に成績を見ると……なんと一位に僕の名前があった。まさかの結果に空いた口が塞がらずにいると、後ろから抱きしめられる。
「アルト!お前すごいな!どうしてこんな順位取れるんだ?一目見たときからそんな気はしていたけど、あまりにも優秀すぎるだろ。」
「いえいえ、ただのまぐれですのでお気になさらず。それよりも今まで学年首位を独占していたマルク様の方が素晴らしいですよ。」
そうこの抱きついてきた人はアトラス王国第1王子にあたるマルク・サン・アトラス様だ。毎回スキンシップが激しくて、たまに混乱する。マルク様はほんとに聡明な方で、それでいてとても優しい人だ。困った瞬間に助けに来てくれたり、居ないかなと振り向くと本当にいたり、たまに怖いまである。
そんなこんなで、進級の日は思ったより早く来た。
マルク様とレイズ君が同じクラスで安心してる。まぁ、いなくてもヴィーナス王国の時よりかは過ごしやすそうだけどね。
ここ…………は……?
あぁ、いつものあれか。
このままでいいのかな?
学園はもうずっと休んでる。それに、ヘルブラム殿下、心配してるだろうな。
「起きたか、ほらこれでも食っとけ。」
コオロギとミツバチの幼虫か、食べはするけど、不味いし何よりなんの足しにもならない。しかし、食べないよりはましだ。諦めて食べるもやはり不味い。
「おえっ。」
吐き気が止まらない。辛い。僕はいつまでこれを続ければいいんだろう?これも、罰なのかな。だったらどれだけ辛くても、苦しくても逃げ出しちゃいけない。
このまま、ここで生きていくんだろうな。
「逢いたいな……」
ふと、あの人の顔を思い浮かべる。太陽みたいに眩しくて、暖かいあの人を。いつも隣にいてくれて、守ってくれる。僕には勿体ない人。いつの間にか、好きになっていたあの人。大きな背中と、暖かい腕が生きるひとつの理由になったあの人。
もう逢えないのかな。もしもう一度逢えたのなら、その時は言っていいかな。「あなたが好きだ」と。そんな事があればいいのに。
「ほら食い終わったなら行くぞ。連れて行け。」
食べ終わるのと同時にあの部屋に連れていかれる。
いつも通り、そのまま気絶するまでやらされ続ける。それまではご飯も水浴びも、睡眠も許されない。ただただ性欲のはけ口として、回され続ける地獄。もう、疲れた。
すると突然、とある者が言い出した。
「こいつ、僕が買い取りましょう。なかなかにいい器だ。」
その人は今日初めて来た人で、見た事のない人だった。そのまま何故か従順な例の女性を後目に僕は、連れていかれた。久しぶりの外の空気は美味しかった。出て来て初めてそこが、あの忌々しいビオレントを使ったルーシィの生まれたフィンネル伯爵家の領地である事がわかった。今までいた地下室は巧妙に隠されており、そこにあると言われても分からないような場所だった。
そのまま向かった先は、ヴィーナス王国の西南西にあるアトラス王国だった。さっきははっきりと顔は見えなかったけど、この方はおそらく以前会ったアトラス王国の大公家であるカレイド・イブ・アルキオネ様だろう。カレイド閣下は自己紹介もなしに、そのまま何故か既に準備されている部屋に連れていかれ、久々にふわふわのベッドで寝た。
◆◇◆
翌朝になると、カレイド閣下は今、外がどういう状態なのかを教えてくれた、ヴィーナス王国は今は僕の捜索を徹底している。そして、今度国際会議があるらしく、そこで僕のことも話すそう。
アルキオネ大公家は、ヴィーナス王国の公爵家から嫁を取った事から、アトラス王国との架け橋のような働きをしている。
前々から僕のことは知っていて、行方不明になるのと同時期にフィンネル伯爵家の件を噂で聞き、もしやと思い、行ってみたら案の定僕が居たとの事だ。しかし助けてくれたと言うよりは、利益を求めた結果、こちらの方がいいと言う判断でやったそうだ。だから、このまま王宮に返されることも無いそうだ。表向きには孤児を迎え入れたという事になるそう。
◆◇◆
色々経てアルキオネ大公家の養子になり、名前が「アルト・イブ・アルキオネ」になった。流石にリドルと言う名前は使えないらしい。この国で僕と事前にあった事があるのは、カレイド閣下だけなので、バレることはないであろう。
カレイド閣下は独身らしく、ほかの家族は両親だけだそう。その両親も今は領地の館に住んでいるらしく、今まで少し寂しかったと零していた。
その両親とも挨拶を済ましており、息子として快く迎え入れてくれた。その光景はあの時を思わせてくれるようで心が暖かくなった。
アルキオネ大公家はアビスガード家やフレイム家とは宗派が違い、アスタロト派になる。そのためアスタロト派の教えと歴史を学ぶ事になった。その後はアトラス王国の学園に編入した。
学園は暖かくて心地よい所だった。
ヴィーナス王国にいた時とは違い、誰も後ろ指を刺さず、笑顔で話しかけてくれる。ただ一つ、なにかが欠けている気がするけど、それでも居心地の良さは凄かった。それにしっかりと友達もできた。しかしやはりなにかが欠けている気がする。これはなんなんだろう。
◆◇◆
編入からしばらく経って試験がやってきた。少し自信はあるが、やはりしばらく勉強が出来なかったのでかなりボロボロになっている可能性もある。
できるだけ無理をして頭に叩き込み、解答用紙は埋めたが、心配だなと思っていると、後ろから名前を呼ばれた。
「アルト様!そろそろ成績が張り出されますよ!一緒に行きましょう!」
この子はレイズ・ウィル・メルキュール。アトラス王国の侯爵家次男だ。編入してきてから初めて話しかけてくれた子で、とても可愛らしい顔つきがうさぎのようで、ときどき撫でそうになる。
一緒に成績を見ると……なんと一位に僕の名前があった。まさかの結果に空いた口が塞がらずにいると、後ろから抱きしめられる。
「アルト!お前すごいな!どうしてこんな順位取れるんだ?一目見たときからそんな気はしていたけど、あまりにも優秀すぎるだろ。」
「いえいえ、ただのまぐれですのでお気になさらず。それよりも今まで学年首位を独占していたマルク様の方が素晴らしいですよ。」
そうこの抱きついてきた人はアトラス王国第1王子にあたるマルク・サン・アトラス様だ。毎回スキンシップが激しくて、たまに混乱する。マルク様はほんとに聡明な方で、それでいてとても優しい人だ。困った瞬間に助けに来てくれたり、居ないかなと振り向くと本当にいたり、たまに怖いまである。
そんなこんなで、進級の日は思ったより早く来た。
マルク様とレイズ君が同じクラスで安心してる。まぁ、いなくてもヴィーナス王国の時よりかは過ごしやすそうだけどね。
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