R18沖田総司に求められ、傷つくのに惹かれ合うのをやめられない。土方歳三_新選組、新撰組、三角関係【淫花】

ふるふるん

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違和感

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昼の稽古場は、汗と土の匂いで満ちていた。
木刀のぶつかる音が絶え間なく響く。

「そこ甘い!」

「踏み込み!」

誰かの怒鳴り声が飛ぶ。

その端で、伊織は息を整えていた。

さっきの立ち合いで腕が痺れている。
相手は古参隊士だった。手加減されたのに、それでも追いつかない。

悔しさを押し殺し、木刀を握り直す。
そのとき背後から声がした。

「伊織さん」

振り向くと、笑っている顔がある。
沖田総司だ。

「ちょっといい?」

「は、はい」

稽古場の隅に移動する。

「さっきの立ち合い、見てた」

伊織の胸がぎくりとした。

「だめでしたか」

「うーん」

沖田は顎に指を当てる。

「だめっていうより」

少し首を傾げる。

「変」

「……え?」

伊織は固まった。
沖田は木刀を取る。

「構えて」

言われるまま構えると、沖田は軽く踏み込んだ。

カン、と木刀が触れる。

その瞬間、何かを読み取るように沖田の目が細くなった。

そして――

伊織の剣は、他の男の剣と違う。

もう一度打ち合うと、今度は沖田が少し強く打つ。

伊織の身体がよろける。

「あっ…」
 
沖田が腕を伸ばし、伊織の腰を掴んで支える。

「危ないよ」

一瞬。
ほんの一瞬。

伊織の身体が、沖田の胸に触れた。

柔らかさに沖田の手が止まり、伊織は慌てて離れる。

「すみません!」

沖田は黙って伊織を見た。

細く肩も華奢。
声もどこか柔らかい。

最初はただ若いだけだと思っていた。
沖田は目を細める。

「伊織さん」

「はい」

「君」

少し間を置く。

「身体、弱い?」

伊織は一瞬言葉を失った。

「え?」

「いや、なんかさ。折れそう」

軽い言い方。
でも目は笑っていない。
伊織の背中に冷たい汗が流れる。

「そんなことありません」

少し強く言い返す。
沖田の視線に耐えきれず、伊織は視線を逸らした。

さらしが苦しくて、息が浅くなる。
しばらくして、沖田がふっと笑った。

「まあいいや」

あっさり言う。

「でもさ」

一歩近づき、伊織の顔を覗き込む。

「無理すると死ぬよ」

その言葉は軽いのに、妙に真剣だった。

「ここ、そういう場所だから」

伊織は小さく頷いた。
沖田は少しだけ目を細めてぽつりと言う。

「不思議だな伊織くんって。……男のくせに」

ほんの少し首を傾げる。

「たまに、女みたいな顔する」

伊織の心臓が止まりかけた。
時間が長く感じる。

「何言ってるんですか」

沖田は、ふっと肩をすくめる。

「冗談。気にしないで」

くるりと背を向け歩き出すが、数歩進んだところで、止まり、振り返らないまま言った。

「でもさ」

沖田の声は、少し楽しそうだった。

「もし君が女だったら……隊士全員、困るだろうね」

伊織の胸が跳ねた。
沖田はその、顔を見て満足気にくすっと笑う。

「じゃ、稽古がんばって」

そう言って去っていった。
稽古場に残された伊織は、しばらく動けなかった。

手のひらが汗で濡れている。

心臓がうるさい。

(気づいた……?)

いや。きっと、ただの冗談だ。

そう思うのに。
沖田の最後の声が頭から離れない。

――もし君が女だったら。

伊織は木刀を握りしめた。

その日、伊織は一度も沖田の方を見られなかった。

でも。
沖田は、何度も伊織の方を見ていた。

まるで、確かめるように。

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