R18沖田総司に求められ、傷つくのに惹かれ合うのをやめられない。土方歳三_新選組、新撰組、三角関係【淫花】

ふるふるん

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もう一つの違和感

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夕暮れの屯所は静かだった。稽古が終わり、隊士たちはそれぞれ部屋へ戻っている。伊織は縁側に腰を下ろし、左肩を押さえていた。さっきの立ち合いで打たれた場所がじんじんと痛む。羽織の下に手を入れて確かめると、熱を持って腫れていた。強い一撃だった。

(しまったな……)

無理に動かしたせいだ。だが、これくらいで弱音は吐けない。伊織が立ち上がろうとしたとき、背後で足音が止まった。

「どうした」

低い声だった。振り向くと、そこに立っていたのは 土方歳三だった。伊織は慌てて背筋を伸ばす。

「副長」

「肩を押さえてたな。稽古でやられたか」

「……少しだけです」

土方はゆっくり近づき、伊織の前に立つ。

「見せろ」

「大丈夫です」

「大丈夫かどうかは俺が決める」

伊織は一瞬迷ったが逃げるわけにもいかない。黙って羽織を少しずらす。土方は袖をめくり、肩に触れた。指が熱い。

「腫れてるな」

「たいしたことありません」

土方は構わず伊織の腕を持ち上げた。肩に痛みが走り、伊織の息が漏れる。

「……っ」

「声を我慢するな」

「平気です」

「嘘つけ」

土方はもう一度確かめるように肩を押した。その瞬間、伊織の身体が小さく震える。土方の目が細くなる。指の下の感触が妙に柔らかい。筋肉のつき方が、男の肩とは違う。

「伊織」

「……はい」

「お前、体が軽すぎるな」

伊織の喉が乾いた。

「そうでしょうか」

「剣を振る男の体じゃねえ」

伊織は視線を逸らす。土方はその顔をじっと見ていた。

「歳はいくつだ」

「二十です」

「若いな」

土方は肩から手を離したが、視線は外さない。

「どこの出だ」

「江戸です」

少しの沈黙のあと、土方は鼻で笑った。

「嘘だな」

伊織の心臓が跳ねる。

「江戸の剣じゃない。それに……」

土方は少し身を屈め、伊織の顔を覗き込む距離で低く言う。

「お前、妙な匂いがする」

伊織の呼吸が止まる。土方はそれ以上追及せず、ふっと体を起こした。

「まあいい。秘密があるのは構わねえ」

そう言って背を向ける。伊織は何も言えなかった。土方は数歩歩いてから止まり、振り返る。

「だがな」

「隠し事が下手だ」

伊織の手がわずかに震える。土方は続けた。

「沖田に気をつけろ」

「……え」

「勘のいい奴だ。お前の違和感、そのうち全部見抜く」

夕闇が濃くなる。伊織は言葉を失ったまま立ち尽くす。土方は最後に伊織を一瞥する。

「それまで、せいぜい隠し通せ」

そう言って屯所の奥へ消えていった。縁側に残された伊織はしばらく動けなかった。さらしの下で心臓が激しく鳴っている。

その頃、廊下の影から庭を見ている人影があった。沖田総司だった。沖田は小さく笑う。

「副長も気づいたか」

月が昇り始める。

「面白くなってきた」

京の夜は、まだ静かに動き始めたばかりだった。
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