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2.5章
Part 113『君が忘れるその日まで』
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最初からわかっていた事だ。俺と彼女は違う。もし彼女が普通の妖怪であったならば、立場は逆だったと言うだけのことだったのだ。
記憶、思い出、それは、今の自分自身を形作っているものだ。覚えていなくてもその経験が、今の思考を作り出している。過去の自分自身が今の自分を形作っているのだ。
それを失うと言うのは、ある意味では、自分が自分で無くなる事であり、死と同じだ。
もし、記憶の全てを失うことが一旦の死だと仮定するのであれば、人間よりもはるかに長い時間を生きる妖怪が、人間と死別することは同義である。
覚悟しきれていなかったのだ。自分は・・・
もし仮に彼女が長い時間を生きる妖怪だったとしたら、俺は彼女より先に死ぬ。妖怪によっては一瞬である時を彼女と過ごして終わる。
それによって彼女がどのような悲しみを味わうのか。それについては、俺自身、一切目を向けていなかった。
つまるところ、本気で彼女との未来を覚悟できていなかった。
だから、次こそは、彼女と向き合わないといけないとそう思った。
それに死と違って彼女はそのまま、生き続けるのだ。だとすれば、手段はまだ残されているかもしれない。
一瞬の時間が長い時間よりも大切だという事もある。それは、ウチガネさんから学んだ事だ。
もし、手段が何一つなかったとしても俺はサクヤと一緒に歩きたい。
疲労が溜まっているはずの体を無理矢理に動かして俺は、彼女の桜の木の前までやってきた。
サクヤの姿は見えない。けれど、確実にここにいる。それははっきりと確信していた。
「サクヤ! 聞いて欲しいことがあるんだ!」
俺は、叫ぶようにそう言った。しかし、反応はない。けれど、構わない。
「俺は、サクヤが好きだよ。例え、記憶が消えてしまうとしても。」
上手い言葉を選ぶなんて器用な事は俺には出来ない。自分の気持ちをまっすぐに伝えるぐらいしか、俺には出来ない。
「それでも、俺はサクヤと一緒にいたいよ。」
「良いんですか? 私、来年の春には全部忘れちゃうんですよ?」
背後から声が聞こえる。その声は、怖がっているようだった。怖くないわけがない。拒絶されるのが嫌で拒絶したのだから
「分かってる。だったら、残りの時間、全て使って一生分の経験をしよう。」
「峰さんは分かってるんですか? 私が忘れても峰さんは覚えているんですよ?」
「ああ、百も承知だよ。それは不幸なんかじゃないよ。」
「私、めっちゃ食べますし、色んな事に興味があって動き回りますよ。」
「むしろ、そこも可愛いとこだと・・・ってもう!」
俺は、振り向いて、サクヤの腕を引いてこちらに引き寄せて抱きしめる。
「俺はそんなサクヤと一緒にいたいんだよ。だから、サクヤの残りの時間を俺にくれ、絶対に忘れるのが惜しくなるぐらい幸せにするから」
「・・・・・・そんなのもう十分に惜しくなってますよ・・・」
また、泣き出すサクヤの頭を撫でる。サクヤは、俺の事を顔を赤くしながら見つめる。
「私も・・・峰さんの事が好きです。」
俺とサクヤは、向かい合い気持ちを確かめ合うように唇を重ねた。俺とサクヤは恋人同士になったのだ。
記憶、思い出、それは、今の自分自身を形作っているものだ。覚えていなくてもその経験が、今の思考を作り出している。過去の自分自身が今の自分を形作っているのだ。
それを失うと言うのは、ある意味では、自分が自分で無くなる事であり、死と同じだ。
もし、記憶の全てを失うことが一旦の死だと仮定するのであれば、人間よりもはるかに長い時間を生きる妖怪が、人間と死別することは同義である。
覚悟しきれていなかったのだ。自分は・・・
もし仮に彼女が長い時間を生きる妖怪だったとしたら、俺は彼女より先に死ぬ。妖怪によっては一瞬である時を彼女と過ごして終わる。
それによって彼女がどのような悲しみを味わうのか。それについては、俺自身、一切目を向けていなかった。
つまるところ、本気で彼女との未来を覚悟できていなかった。
だから、次こそは、彼女と向き合わないといけないとそう思った。
それに死と違って彼女はそのまま、生き続けるのだ。だとすれば、手段はまだ残されているかもしれない。
一瞬の時間が長い時間よりも大切だという事もある。それは、ウチガネさんから学んだ事だ。
もし、手段が何一つなかったとしても俺はサクヤと一緒に歩きたい。
疲労が溜まっているはずの体を無理矢理に動かして俺は、彼女の桜の木の前までやってきた。
サクヤの姿は見えない。けれど、確実にここにいる。それははっきりと確信していた。
「サクヤ! 聞いて欲しいことがあるんだ!」
俺は、叫ぶようにそう言った。しかし、反応はない。けれど、構わない。
「俺は、サクヤが好きだよ。例え、記憶が消えてしまうとしても。」
上手い言葉を選ぶなんて器用な事は俺には出来ない。自分の気持ちをまっすぐに伝えるぐらいしか、俺には出来ない。
「それでも、俺はサクヤと一緒にいたいよ。」
「良いんですか? 私、来年の春には全部忘れちゃうんですよ?」
背後から声が聞こえる。その声は、怖がっているようだった。怖くないわけがない。拒絶されるのが嫌で拒絶したのだから
「分かってる。だったら、残りの時間、全て使って一生分の経験をしよう。」
「峰さんは分かってるんですか? 私が忘れても峰さんは覚えているんですよ?」
「ああ、百も承知だよ。それは不幸なんかじゃないよ。」
「私、めっちゃ食べますし、色んな事に興味があって動き回りますよ。」
「むしろ、そこも可愛いとこだと・・・ってもう!」
俺は、振り向いて、サクヤの腕を引いてこちらに引き寄せて抱きしめる。
「俺はそんなサクヤと一緒にいたいんだよ。だから、サクヤの残りの時間を俺にくれ、絶対に忘れるのが惜しくなるぐらい幸せにするから」
「・・・・・・そんなのもう十分に惜しくなってますよ・・・」
また、泣き出すサクヤの頭を撫でる。サクヤは、俺の事を顔を赤くしながら見つめる。
「私も・・・峰さんの事が好きです。」
俺とサクヤは、向かい合い気持ちを確かめ合うように唇を重ねた。俺とサクヤは恋人同士になったのだ。
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