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3章
Part 121『意外な立場』
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街に入るのに何か許可がいるのかと思ったが、そんな事はなく、門をくぐるとすぐに賑やかな妖怪達の声が聞こえる。
まさに百鬼夜行という風で、一つ目の人型の妖怪や髪の毛がいくつもの枝になっている女性、首や手足が二つ存在する妖怪など見渡す限りの魑魅魍魎である。むしろ、まともな人間の姿は全く見つけられない。
人型の存在はいるが耳が生えていたり、尻尾があったり、不自然にパーツが多かったりと少し違う。
街は随分と活気づいているようで、時代を感じる木造の店には、暖かな光を放つ提灯が吊り下げられている。
しかし、一見すれば時代劇を思わせる街であるのに辺りにちらほらと進んだ文明の気配が見え隠れしている。
明らかに電気を使用して使われているであろうテレビやレジのようなものすら店の中で見える。店の中の灯りも明らかに電気を使用するものである。
なんなら、俺達の世界にあったものまで存在しているのがわかる。明らかに見知った企業のメーカーのロゴが入った機器、さらには、路地裏には、明らかにその辺りを走っていそうな日本車が停車してあるほどだ。
「なんというか、やけに技術の進歩しているんだな。」
「まあ、科学に関しては、人間界から調達してきて技術を学んでこの世界にあった形で活かしているので少し不思議な光景かもしれないですね。とはいえ、私も久々にここに来たので、様変わりしていて驚きましたけどね。」
真冬さんも数十年ぶりの帰省ということで様変わりした街の様子に少なからず驚いているようだった。
サクヤはというと辺り一面珍しいもののオンパレードで好奇心の塊である彼女が暴走しない訳がなかった。
「なんですか! この時計! 30時までありますよ!」
「ん? 何言ってるんだ? お嬢さん。30時間の時計なんて珍しくもないでしょう?」
どうやら雑貨屋にある商品が気になってサクヤは声をかけたようだが、店主の方は、なぜ気になっているのかわからずに訝しんでいた。
「こちらの世界の1日は30時間なんですよ。そう言えば説明が忘れていました。今は、ちなみに20時、普通に夕方ですね。」
「え? でも、真っ暗ですけど・・・」
「日照時間も基本的に短いんですよこの世界、まともに太陽が出ているのなんて、5時間ぐらいですかね。そうは言っても薄暗い程度で少し明るいんですけどね。」
なんとも異世界らしい話ではある。常識が全く違うというのは異世界の醍醐味というものだ。しかし、5時間しか日が照らないというのは大変そうだ。洗濯物とかは乾くのだろうか。
「いや、発想が庶民的すぎるな・・・」
「凄いですよ! 峰さん! 見たこともないお魚があります!」
とんでもなく楽しそうな笑顔を浮かべながら俺の腕を引くサクヤにいうのは少し気が引けたが先にやるべきことがある。
「はいはい。俺も気になるけどさ。とりあえず、真冬さんの家に行くぞ。後で見て回る時間ぐらいはあるだろうし」
そういうとサクヤはハッとした表情を浮かべて「それもそうですね。先に真冬さんの用事が先でした。」と冷静さを取り戻す。
「そうですね。とりあえず、荷物を置いてから観光しましょうか。私の家もすぐそこですし・・・」
「そう言えば、真冬さんの家ってどんな感じなんですか?」
「どんな感じ・・・普通の家ですよ。ちょっと、大きいぐらいで・・・」
そう言いながら店が立ち並ぶ通りとは少し離れた道をゆっくりと歩いて行く。そして、数分歩いて真冬さんは、俺達に向かって「着きました。ここが私の家ですよ。」と紹介してくれる。
目の前にあるのは、木製のいかにも頑丈そうな門そして、左右視線の届く先まで続く長く白い壁がそこにはあった。
ちょっと大きいというには随分と大きすぎる。マンションとかを建てて全員分の駐車場まで用意できそうなほどに広い建物にかなり物怖じしてしまう。
しかし、当の本人は、全く不思議に思っていないようで、門の前に立っているおそらく門番に声をかける。
「真冬お嬢様ですか!? お久しぶりです!」
「お久しぶりですね。健康そうでなによりです。」
「いえいえ、真冬お嬢さまこそ、お元気そうで何よりです。」
軽い世間話をしてから、門番は、ゆっくりと門を開き、「どうぞお入りください」と頭を下げた。
「峰さん、今、お嬢様って・・・」
サクヤも流石に驚いたのか、困惑した表情を浮かべて俺に確認してくる。
「ああ、確かに言ったな。お嬢様って・・・もしかして、真冬さんって」
「超が付くぐらいのお嬢さまなんですか・・・?」
まさに百鬼夜行という風で、一つ目の人型の妖怪や髪の毛がいくつもの枝になっている女性、首や手足が二つ存在する妖怪など見渡す限りの魑魅魍魎である。むしろ、まともな人間の姿は全く見つけられない。
人型の存在はいるが耳が生えていたり、尻尾があったり、不自然にパーツが多かったりと少し違う。
街は随分と活気づいているようで、時代を感じる木造の店には、暖かな光を放つ提灯が吊り下げられている。
しかし、一見すれば時代劇を思わせる街であるのに辺りにちらほらと進んだ文明の気配が見え隠れしている。
明らかに電気を使用して使われているであろうテレビやレジのようなものすら店の中で見える。店の中の灯りも明らかに電気を使用するものである。
なんなら、俺達の世界にあったものまで存在しているのがわかる。明らかに見知った企業のメーカーのロゴが入った機器、さらには、路地裏には、明らかにその辺りを走っていそうな日本車が停車してあるほどだ。
「なんというか、やけに技術の進歩しているんだな。」
「まあ、科学に関しては、人間界から調達してきて技術を学んでこの世界にあった形で活かしているので少し不思議な光景かもしれないですね。とはいえ、私も久々にここに来たので、様変わりしていて驚きましたけどね。」
真冬さんも数十年ぶりの帰省ということで様変わりした街の様子に少なからず驚いているようだった。
サクヤはというと辺り一面珍しいもののオンパレードで好奇心の塊である彼女が暴走しない訳がなかった。
「なんですか! この時計! 30時までありますよ!」
「ん? 何言ってるんだ? お嬢さん。30時間の時計なんて珍しくもないでしょう?」
どうやら雑貨屋にある商品が気になってサクヤは声をかけたようだが、店主の方は、なぜ気になっているのかわからずに訝しんでいた。
「こちらの世界の1日は30時間なんですよ。そう言えば説明が忘れていました。今は、ちなみに20時、普通に夕方ですね。」
「え? でも、真っ暗ですけど・・・」
「日照時間も基本的に短いんですよこの世界、まともに太陽が出ているのなんて、5時間ぐらいですかね。そうは言っても薄暗い程度で少し明るいんですけどね。」
なんとも異世界らしい話ではある。常識が全く違うというのは異世界の醍醐味というものだ。しかし、5時間しか日が照らないというのは大変そうだ。洗濯物とかは乾くのだろうか。
「いや、発想が庶民的すぎるな・・・」
「凄いですよ! 峰さん! 見たこともないお魚があります!」
とんでもなく楽しそうな笑顔を浮かべながら俺の腕を引くサクヤにいうのは少し気が引けたが先にやるべきことがある。
「はいはい。俺も気になるけどさ。とりあえず、真冬さんの家に行くぞ。後で見て回る時間ぐらいはあるだろうし」
そういうとサクヤはハッとした表情を浮かべて「それもそうですね。先に真冬さんの用事が先でした。」と冷静さを取り戻す。
「そうですね。とりあえず、荷物を置いてから観光しましょうか。私の家もすぐそこですし・・・」
「そう言えば、真冬さんの家ってどんな感じなんですか?」
「どんな感じ・・・普通の家ですよ。ちょっと、大きいぐらいで・・・」
そう言いながら店が立ち並ぶ通りとは少し離れた道をゆっくりと歩いて行く。そして、数分歩いて真冬さんは、俺達に向かって「着きました。ここが私の家ですよ。」と紹介してくれる。
目の前にあるのは、木製のいかにも頑丈そうな門そして、左右視線の届く先まで続く長く白い壁がそこにはあった。
ちょっと大きいというには随分と大きすぎる。マンションとかを建てて全員分の駐車場まで用意できそうなほどに広い建物にかなり物怖じしてしまう。
しかし、当の本人は、全く不思議に思っていないようで、門の前に立っているおそらく門番に声をかける。
「真冬お嬢様ですか!? お久しぶりです!」
「お久しぶりですね。健康そうでなによりです。」
「いえいえ、真冬お嬢さまこそ、お元気そうで何よりです。」
軽い世間話をしてから、門番は、ゆっくりと門を開き、「どうぞお入りください」と頭を下げた。
「峰さん、今、お嬢様って・・・」
サクヤも流石に驚いたのか、困惑した表情を浮かべて俺に確認してくる。
「ああ、確かに言ったな。お嬢様って・・・もしかして、真冬さんって」
「超が付くぐらいのお嬢さまなんですか・・・?」
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