122 / 352
3章
Part 122 『残念ながら育成を間違えてしまいました。』
しおりを挟む
この世界は、500年ほど前は、戦乱の時代だったのだという。弱肉強食の時代であり、弱いものは、淘汰されるか、より強いものに支配されるそんな時代である。
その世界が落ち着いた時には、大きく6つの勢力が存在していた。彼らは互いに同盟を結び国を作り出した。そして、それぞれの勢力が、街に関係する重要な役割を持ち、200年が過ぎた今でも大きな権力を有している。
その内の1つが主に街の治安維持などに携わる鬼達の総本山『鬼島』こそが、真冬さんの家である。
つまりは、真冬さんの苗字は鬼島 真冬というらしい。
というような説明を真冬さんの古くからの付き合いであるという同じく鬼の男性であるマコトさんから教えられた。
マコトさんは、見るからに筋肉質という風ではあるが太いというよりも引き締まった身体つきをしている。しかし、やはり、がっしりとした体格は、俺の腕なら軽々と握り潰せそうなほどに逞しく感じる。
野性味のある顔をしており、鋭い目つきは、怖がられそうである。というよりも俺も怖い。
とはいえ、性格は、荒っぽい言い方をしてはいるが意外にも面倒見が良い。こうして、わざわざ、説明をしてくれているのが何よりの証拠である。
「ていうか、めちゃくちゃの名家じゃないですか!? 真冬さん!」
案内された畳の敷かれた和室に荷物を下ろして俺は真冬さんに向かって少し大きな声で叫んだ。
門の中に入ってみれば、まるで武家屋敷かと思うほどの格式のある建物が存在していた。いや、実際に治安維持などを担当しているのだからその感覚は間違いではないのかもしれない。
建物は1つだけではなく、いくつかの木造の建築物が存在していた。他にも綺麗に整備された池や大きくて頑丈そうな蔵、馬小屋など一般家庭にはまず置いていないようなものが当たり前のようにそこにあった。これが名家でないなら何が名家なのだ。
「はぁ、なるほど、うちってそんな名家だったんですね・・・」
「ですねって・・・」
完全に他人事のように真冬さんは答える。そんな事があるのだろうか。
「真冬姉さんは、この手のことに関しては完全に興味ないからな。」
どうやら、マコトさんは、真冬さんを姉として慕っているようである。
「基本的に家から出る事もあまりなかったですからね。基本的に家で家事全般をこなしていましたし」
考えるように上を見上げながら真冬さんは、そんな事をいう。どうやら、ここでの暮らしと人間界での暮らしはほとんど変わっていないようである。
「まあ、そんな些細な事は置いておいて、街に行きましょうか! 粉雪はいますか? 出来れば街の案内をお願いしたいんですけど、だいぶ様子も変わっていますし・・・」
真冬さんはマコトさんに向かってそう言うと、あからさまにばつが悪そうな表情を浮かべる。
「いるにはいるけど、あれを連れて行くのか・・・? まあ、良いけど・・・」
そう言ってマコトさんは、1人では迷子になりそうなほど広い屋敷の中を進んで行くのに俺たちも続いた。
「これは凛が来たら遭難するかもしれないな・・・」
「ですね。凛さんならありえます・・・」
俺とサクヤは、そんな事を話しながら続いた。
「そういえば、粉雪って真冬さんの妹さんですか?」
「ええ、そうですよ。良い子なんですよ。興味を持った事にも熱心で、小さい頃は、私の真似ばかりしていた可愛い妹です。」
そして、マコトさんが襖の立ち止まると荒々しく「入るぞ」と襖を開けて入った。
「ぎゃー! 乙女の部屋に勝手に入るとかデリカシーなんもないですね! 相変わらず! 二回死ね!」
襖の向こうにいたのは、長い銀色の髪を後ろに纏めた女性であった。その頭の右側にだけ真冬さんと同じように角が生えており、容姿はとても似ていると思った。間違いなく美女である。
しかし、その服装は明らかに異質なものだった。
「お前、またそんな訳の分からない女の服着てるのか・・・燃やせよ。そんなもん」
「な! 私の嫁になんて事いうんですか! マコトだってもしお嫁さんが出来て燃やされたら怒るでしょ! 燃やして良いのは燃やされる覚悟があるやつだけですよ!」
粉雪という真冬さんによく似た女性は、世に言う美少女アニメの服を身に纏いショートパンツを履いていた。
部屋の中をちらりと見ると、綺麗に整頓されているが明らかに大量のアニメグッズやゲームのカセットケースが置かれており、本人に確認するまでもない。間違いなくヲタクと呼ばれる存在である。
「お前、嫁嫁、言ってたの前、別の見た目だったぞ・・・」
「二次元は重婚オッケーなんですー!」
真冬さんの方を見ると記憶の中にいる粉雪さんとのギャップで言葉を失って固まっていた。無理もない・・・
その世界が落ち着いた時には、大きく6つの勢力が存在していた。彼らは互いに同盟を結び国を作り出した。そして、それぞれの勢力が、街に関係する重要な役割を持ち、200年が過ぎた今でも大きな権力を有している。
その内の1つが主に街の治安維持などに携わる鬼達の総本山『鬼島』こそが、真冬さんの家である。
つまりは、真冬さんの苗字は鬼島 真冬というらしい。
というような説明を真冬さんの古くからの付き合いであるという同じく鬼の男性であるマコトさんから教えられた。
マコトさんは、見るからに筋肉質という風ではあるが太いというよりも引き締まった身体つきをしている。しかし、やはり、がっしりとした体格は、俺の腕なら軽々と握り潰せそうなほどに逞しく感じる。
野性味のある顔をしており、鋭い目つきは、怖がられそうである。というよりも俺も怖い。
とはいえ、性格は、荒っぽい言い方をしてはいるが意外にも面倒見が良い。こうして、わざわざ、説明をしてくれているのが何よりの証拠である。
「ていうか、めちゃくちゃの名家じゃないですか!? 真冬さん!」
案内された畳の敷かれた和室に荷物を下ろして俺は真冬さんに向かって少し大きな声で叫んだ。
門の中に入ってみれば、まるで武家屋敷かと思うほどの格式のある建物が存在していた。いや、実際に治安維持などを担当しているのだからその感覚は間違いではないのかもしれない。
建物は1つだけではなく、いくつかの木造の建築物が存在していた。他にも綺麗に整備された池や大きくて頑丈そうな蔵、馬小屋など一般家庭にはまず置いていないようなものが当たり前のようにそこにあった。これが名家でないなら何が名家なのだ。
「はぁ、なるほど、うちってそんな名家だったんですね・・・」
「ですねって・・・」
完全に他人事のように真冬さんは答える。そんな事があるのだろうか。
「真冬姉さんは、この手のことに関しては完全に興味ないからな。」
どうやら、マコトさんは、真冬さんを姉として慕っているようである。
「基本的に家から出る事もあまりなかったですからね。基本的に家で家事全般をこなしていましたし」
考えるように上を見上げながら真冬さんは、そんな事をいう。どうやら、ここでの暮らしと人間界での暮らしはほとんど変わっていないようである。
「まあ、そんな些細な事は置いておいて、街に行きましょうか! 粉雪はいますか? 出来れば街の案内をお願いしたいんですけど、だいぶ様子も変わっていますし・・・」
真冬さんはマコトさんに向かってそう言うと、あからさまにばつが悪そうな表情を浮かべる。
「いるにはいるけど、あれを連れて行くのか・・・? まあ、良いけど・・・」
そう言ってマコトさんは、1人では迷子になりそうなほど広い屋敷の中を進んで行くのに俺たちも続いた。
「これは凛が来たら遭難するかもしれないな・・・」
「ですね。凛さんならありえます・・・」
俺とサクヤは、そんな事を話しながら続いた。
「そういえば、粉雪って真冬さんの妹さんですか?」
「ええ、そうですよ。良い子なんですよ。興味を持った事にも熱心で、小さい頃は、私の真似ばかりしていた可愛い妹です。」
そして、マコトさんが襖の立ち止まると荒々しく「入るぞ」と襖を開けて入った。
「ぎゃー! 乙女の部屋に勝手に入るとかデリカシーなんもないですね! 相変わらず! 二回死ね!」
襖の向こうにいたのは、長い銀色の髪を後ろに纏めた女性であった。その頭の右側にだけ真冬さんと同じように角が生えており、容姿はとても似ていると思った。間違いなく美女である。
しかし、その服装は明らかに異質なものだった。
「お前、またそんな訳の分からない女の服着てるのか・・・燃やせよ。そんなもん」
「な! 私の嫁になんて事いうんですか! マコトだってもしお嫁さんが出来て燃やされたら怒るでしょ! 燃やして良いのは燃やされる覚悟があるやつだけですよ!」
粉雪という真冬さんによく似た女性は、世に言う美少女アニメの服を身に纏いショートパンツを履いていた。
部屋の中をちらりと見ると、綺麗に整頓されているが明らかに大量のアニメグッズやゲームのカセットケースが置かれており、本人に確認するまでもない。間違いなくヲタクと呼ばれる存在である。
「お前、嫁嫁、言ってたの前、別の見た目だったぞ・・・」
「二次元は重婚オッケーなんですー!」
真冬さんの方を見ると記憶の中にいる粉雪さんとのギャップで言葉を失って固まっていた。無理もない・・・
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
62
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる