咲かない桜

御伽 白

文字の大きさ
174 / 352
3章

Part 173 『目的』

しおりを挟む
 マコトは、自分自身が何と戦っているのかわからなくなってきていた。

 筋肉の塊の様な巨体を持つ妖怪、その力は確かに中々のものだった。けれど、技も駆け引きもないその攻撃は、隙だらけであり、鬼島の中でもトップクラスの実力者であるマコトともなれば、確実に勝てる相手であった。

 しかし、何度、攻撃を仕掛けようともすぐに起き上がり、襲いかかってくる。まるで不死のようである。

 ここまで、攻撃を受けて倒れない存在というのは珍しい。鬼の実力は、妖怪の中でも指折りである。その一撃を受けて平然としているというのは、何かしらの補助を受けている可能性が高い。

 「魔法具か、いや、呪いの道具か・・・・・・」

 襲いかかる肉の塊の攻撃を避けながら体に注目する。明らかに不自然な筋肉のつき方、異常なタフネス、その割には戦い慣れていない事などを考えるとどこかに何かしらの道具を持っていてもおかしくはない。

 そして、マコトは、筋肉に埋め尽くされた何かを発見する。鈍い光を放つ黒い物体は、妖怪の体に深々と刺さっている様だった。

 「あれか。」

 マコトは、妖怪に持っていた棍棒を振り下ろした。骨が砕ける大きな音が響いたがこの程度で止まるならば、もう数十回は、死んでいる。

 「鬼島、鬼島きしましきしきしままあしきしし・・・・・・」

 うわ言の様に呟く妖怪の姿に眉をひそめ、マコトは、無理矢理に筋肉を避け物体を探す。

 すると、筋肉の中から黒い短剣が姿を発見する。短剣は、禍々しい気配を発しており、体を侵食する様に短剣は、触手を伸ばし、まるで木の根の様に男の体に埋まっていた。

 「鬼島ぁぁぁぁぁぁ!! っ!?」

 すでに復活していた妖怪は体を起こして攻撃しようとする。しかし、マコトはすぐに足で妖怪の頭を抑えつける。

 圧倒的な筋肉量のはずの妖怪は、立ち上がることが出来ずに倒れたままの状態で腕を振り回す。しかし、筋肉が可動域を狭め、マコトに対して攻撃を与えることは出来ない。

 そして、あっさりとマコトは、短剣を男の肉ごと引きちぎった。

 その瞬間、筋肉の塊が絶叫する。今までとは明らかに様子の違うその絶叫は、周囲の木々すら震わせた。

 そして、まるで風船が萎むように妖怪の体が小さくなっていく。

 そして、最終的には、人一人分のサイズにまで小さくなった。その姿は、かなりふく太っているが常識的な範囲であった。

 マコトは、すぐに手に持っていた短剣を地面に捨てると金棒を使って叩き折った。

 確かに面倒な敵ではあったが、倒せない敵ではない。最初から自分達が来ることを予見していたのだと言うのなら、この戦力は、考えなしとしか言いようがない。

 他の鬼達の戦いを横目に見て、その疑問はより大きくなる。苦戦してはいても危うさは感じない。

 「こんなもんで、鬼島に襲撃に来るってのは、何が目的だ?」

 マコトがそう呟いた時、マコトに向かって大きな何かがマコトに向かって飛んできた。

 とっさに回避し、飛んできたものを見る。それは、ボロボロに打ちのめされたキズキであった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

【完結】年収三百万円台のアラサー社畜と総資産三億円以上の仮想通貨「億り人」JKが湾岸タワーマンションで同棲したら

瀬々良木 清
ライト文芸
主人公・宮本剛は、都内で働くごく普通の営業系サラリーマン。いわゆる社畜。  タワーマンションの聖地・豊洲にあるオフィスへ通勤しながらも、自分の給料では絶対に買えない高級マンションたちを見上げながら、夢のない毎日を送っていた。  しかしある日、会社の近所で苦しそうにうずくまる女子高生・常磐理瀬と出会う。理瀬は女子高生ながら仮想通貨への投資で『億り人』となった天才少女だった。  剛の何百倍もの資産を持ち、しかし心はまだ未完成な女子高生である理瀬と、日に日に心が枯れてゆくと感じるアラサー社畜剛が織りなす、ちぐはぐなラブコメディ。

視える僕らのシェアハウス

橘しづき
ホラー
 安藤花音は、ごく普通のOLだった。だが25歳の誕生日を境に、急におかしなものが見え始める。    電車に飛び込んでバラバラになる男性、やせ細った子供の姿、どれもこの世のものではない者たち。家の中にまで入ってくるそれらに、花音は仕事にも行けず追い詰められていた。    ある日、駅のホームで電車を待っていると、霊に引き込まれそうになってしまう。そこを、見知らぬ男性が間一髪で救ってくれる。彼は花音の話を聞いて名刺を一枚手渡す。 『月乃庭 管理人 竜崎奏多』      不思議なルームシェアが、始まる。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

ヤクザに医官はおりません

ユーリ(佐伯瑠璃)
ライト文芸
彼は私の知らない組織の人間でした 会社の飲み会の隣の席のグループが怪しい。 シャバだの、残弾なしだの、会話が物騒すぎる。刈り上げ、角刈り、丸刈り、眉毛シャキーン。 無駄にムキムキした体に、堅い言葉遣い。 反社会組織の集まりか! ヤ◯ザに見初められたら逃げられない? 勘違いから始まる異文化交流のお話です。 ※もちろんフィクションです。 小説家になろう、カクヨムに投稿しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

処理中です...