181 / 352
3章
Part 180 『拉致』
しおりを挟む
突然の事だった。俺が隠れて鬼達の戦いを眺めていると別方向から妖怪が現れた。その妖怪は蛇に似ていて、まるで俺の姿が見えているようだった。
自分の体を確認しても明らかに透明になっている。そこで気づいた。蛇には、熱を見るピット器官というものがあるらしい。つまるところ、姿は見えなくとも存在は知覚できるのだ。
そして、俺は声を上げる間もなく蛇の妖怪に捕まり頭から噛み付かれた。牙の刺さるような鋭い痛みが走るが、死にそうなほどではない。このまま、丸呑みされてしまうのではないかという恐怖が訪れるよりも早く意識が朦朧としてきて気を失ってしまった。
そして、気がつけば俺はどこかの牢屋に入れられていた。鉄製の格子は、人間では明らかに破壊する事は出来ない。手には手錠ではなく、紙で作られた輪が俺の両手首を包んでいた。
しかし、破ろうと思うのだがどうしてか破る事ができない。とても硬いとかそういう訳ではないのだが、その紙を破る事が俺には出来なかった。
「つまり、俺は拉致されてここに閉じ込められてるって事だよな。」
噛まれた首の付け根が少しヒリヒリとする。もしかしたら、何かしらの毒で眠らされていたのかもしれない。
鉄格子の奥をのぞいて見ると他にもいくつか鉄格子のつけられた部屋はあるが、そのどれも空で自分のいる場所に誰もいないのだと分かった。
部屋の端には、木でできた扉があり奥へと通じているようだ。
こういう場所には看守の様なものがいるものだと思っていたがどうやら、そういう人物も不在である。
「・・・・・・戦力にならないどころか足手まといでしかなかったな。」
自分の境遇を再認識してため息をこぼす。今ぐらい独り言を言ってもいいだろう。
思考を巡らせて現状を打開する方法を思案する。自分の力ではこの場所からの脱出は無理だ。
つまり、俺がするべき事は助けが来るまで生き延びる事だ。
幸運な事に荷物の類は盗まれていない。最悪の場合は、リューからもらった緊急脱出装置を使うしかないだろうが、まだ使うのは早いと思う。
殺されそうなら使う事にためらう必要はないが、こうして生かされているのだ。何かしらの理由があるはずあだ。
おそらく、あの蛇の妖怪と襲撃してきた奴らは仲間のはずだ。タイミングよくあの場に妖怪が通りがかるわけがない。そして、わざわざ、鬼と敵対して俺を拉致するという事は、俺にそれだけの価値が何故かあるという事だ。
「俺に出来る事をしよう。」
力がないなら考えるしかない。自分の目的を達成させる最善の策を
自分の体を確認しても明らかに透明になっている。そこで気づいた。蛇には、熱を見るピット器官というものがあるらしい。つまるところ、姿は見えなくとも存在は知覚できるのだ。
そして、俺は声を上げる間もなく蛇の妖怪に捕まり頭から噛み付かれた。牙の刺さるような鋭い痛みが走るが、死にそうなほどではない。このまま、丸呑みされてしまうのではないかという恐怖が訪れるよりも早く意識が朦朧としてきて気を失ってしまった。
そして、気がつけば俺はどこかの牢屋に入れられていた。鉄製の格子は、人間では明らかに破壊する事は出来ない。手には手錠ではなく、紙で作られた輪が俺の両手首を包んでいた。
しかし、破ろうと思うのだがどうしてか破る事ができない。とても硬いとかそういう訳ではないのだが、その紙を破る事が俺には出来なかった。
「つまり、俺は拉致されてここに閉じ込められてるって事だよな。」
噛まれた首の付け根が少しヒリヒリとする。もしかしたら、何かしらの毒で眠らされていたのかもしれない。
鉄格子の奥をのぞいて見ると他にもいくつか鉄格子のつけられた部屋はあるが、そのどれも空で自分のいる場所に誰もいないのだと分かった。
部屋の端には、木でできた扉があり奥へと通じているようだ。
こういう場所には看守の様なものがいるものだと思っていたがどうやら、そういう人物も不在である。
「・・・・・・戦力にならないどころか足手まといでしかなかったな。」
自分の境遇を再認識してため息をこぼす。今ぐらい独り言を言ってもいいだろう。
思考を巡らせて現状を打開する方法を思案する。自分の力ではこの場所からの脱出は無理だ。
つまり、俺がするべき事は助けが来るまで生き延びる事だ。
幸運な事に荷物の類は盗まれていない。最悪の場合は、リューからもらった緊急脱出装置を使うしかないだろうが、まだ使うのは早いと思う。
殺されそうなら使う事にためらう必要はないが、こうして生かされているのだ。何かしらの理由があるはずあだ。
おそらく、あの蛇の妖怪と襲撃してきた奴らは仲間のはずだ。タイミングよくあの場に妖怪が通りがかるわけがない。そして、わざわざ、鬼と敵対して俺を拉致するという事は、俺にそれだけの価値が何故かあるという事だ。
「俺に出来る事をしよう。」
力がないなら考えるしかない。自分の目的を達成させる最善の策を
0
あなたにおすすめの小説
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
【完結】年収三百万円台のアラサー社畜と総資産三億円以上の仮想通貨「億り人」JKが湾岸タワーマンションで同棲したら
瀬々良木 清
ライト文芸
主人公・宮本剛は、都内で働くごく普通の営業系サラリーマン。いわゆる社畜。
タワーマンションの聖地・豊洲にあるオフィスへ通勤しながらも、自分の給料では絶対に買えない高級マンションたちを見上げながら、夢のない毎日を送っていた。
しかしある日、会社の近所で苦しそうにうずくまる女子高生・常磐理瀬と出会う。理瀬は女子高生ながら仮想通貨への投資で『億り人』となった天才少女だった。
剛の何百倍もの資産を持ち、しかし心はまだ未完成な女子高生である理瀬と、日に日に心が枯れてゆくと感じるアラサー社畜剛が織りなす、ちぐはぐなラブコメディ。
視える僕らのシェアハウス
橘しづき
ホラー
安藤花音は、ごく普通のOLだった。だが25歳の誕生日を境に、急におかしなものが見え始める。
電車に飛び込んでバラバラになる男性、やせ細った子供の姿、どれもこの世のものではない者たち。家の中にまで入ってくるそれらに、花音は仕事にも行けず追い詰められていた。
ある日、駅のホームで電車を待っていると、霊に引き込まれそうになってしまう。そこを、見知らぬ男性が間一髪で救ってくれる。彼は花音の話を聞いて名刺を一枚手渡す。
『月乃庭 管理人 竜崎奏多』
不思議なルームシェアが、始まる。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ヤクザに医官はおりません
ユーリ(佐伯瑠璃)
ライト文芸
彼は私の知らない組織の人間でした
会社の飲み会の隣の席のグループが怪しい。
シャバだの、残弾なしだの、会話が物騒すぎる。刈り上げ、角刈り、丸刈り、眉毛シャキーン。
無駄にムキムキした体に、堅い言葉遣い。
反社会組織の集まりか!
ヤ◯ザに見初められたら逃げられない?
勘違いから始まる異文化交流のお話です。
※もちろんフィクションです。
小説家になろう、カクヨムに投稿しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる