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3章
part 183『妖怪の目的』
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肩には大きなエメラルドの様な結晶が生えており、右腕を薄く覆う様に水晶が付いていた。他にも体の一部から、様々な色の宝石の生えた女性は、ダイヤの様な光沢を放つ瞳で俺を見つめた。
存在そのものが芸術品で作られたかの様な女性は、部屋を照らす、廊下よりも少し明るい照明に照らされ、キラキラと輝いていた。
「初めまして、人間さん。私は水仙というの。仲良くしてくれたら嬉しいの。」
彼女はそう言うと俺に向かって軽く頭を下げた。
「はじめまして、俺は、峰 日向です。」
俺も彼女に自己紹介を返して頭を下げる。するとレンジは、「そういえば、名前、聞いてなかったな・・・・・・」なんて今更な事を呟いている。
「とりあえず、水仙、飯をたべるぞ。」
「準備ぐらい手伝うの。レンジ、料理はほっといたら勝手にできるもんじゃないの」
水仙は、呆れた様に厨房に引き返し、レンジは、水仙の言葉に渋々と言った様子ではあるが付いて行き、準備を手伝う。
俺も手伝おうかと思っているとレンジは「おい! 日向! お前も手伝え! じゃねぇと水仙が怒るだろ!」と厨房から顔を出して俺に向かってそう言った。
「怒らないわ。お客さんだもの」と否定する声が聞こえるが俺も何もしないのも気が引けるので手伝う事にする。
そうして、テーブルには、シチューとパン、そして、サラダが用意された。
シチューは、柔らかい白さのスープに人参やお肉などが少し多めに入ったクリームシチューだった。
ゴミ箱のところに明らかに日本製のクリームシチューのルーのパッケージが捨てられていたので間違いない。
実際、日本の商品はこちらにもかなり入って来ている様で、店を回った時も日本の製品をいくつも見かける事があった。
食品の多くもこちらに流入しているのだろう。
「いただきます。」
俺達は、椅子に座り食事を始める。狼ベースの妖怪であってもタマネギなどは大丈夫な様でフードファイターの様な速度で食事をしていた。
レンジの横には、明らかにお代わり用の大鍋が置いてあり、凄い勢いでお代わりしている。
クリームシチューは、ほんのりとタマネギの甘みがあってとても美味しかった。肉や野菜がゴロゴロと入っているおかげでそれだけでかなりボリュームがあって美味しい。
「そういえば、さっきの人形って」
俺がそう言うと水仙は、「あの子は私の能力で動いているの」と答えてくれた。
「私が寝ている間だけ私が自分の結晶を埋め込んだものに意思を持たせることが出来るの。」
「意思を持たせるっていうのは、どういう・・・・・・」
「私と記憶は共有されているのだけど、私は意思の持った彼女達には干渉できないの。夢を見ている感覚に近いの」
「要するに、あのぬいぐるみと水仙さんは、別人って事なんですか?」
「そうなの。記憶を共有している別人格なの。種族的なものだから魔法とは少し違うの」
実際、自分の意思で操作出来ないのであれば、あまり使い所のない様な気がする。
「まあ、あのクマは、普通に性格が悪いから気をつけろ。正論を武器に攻撃してくる奴だからな。」
「そんな事、言ってるからあの子はレンジに厳しいの。ほんとはいい子なの」
「そうかねぇ、あいつは、俺に関してはやたらと目の敵にしてる様な気がするがね。まあいい。それよりも本題を話そうか。日向。俺は、一緒に飯も食って、お前の人となりもある程度分かったつもりだ。」
レンジは、食事を食べ終えたようで、すでに横にあった鍋も空になっていた。
「食事だけで?」
「いや、食事だけじゃねぇけどな。ちゃんと、飯に挨拶を言える奴は、礼儀がちゃんとしてる。後、子供とちゃんと話してただろ。それにな、命を救うってきいてノコノコ付いてくる様なお人好しだ。」
「ひどい言い分だな。」
「いや、褒めてるんだぜ? そう言う奴は、信用できる。自分の利益に他人の幸福を入れれる奴は、誠意を向ければ必ず返してくる。そういうもんだ。」
無茶苦茶な理論だとは思ったが、しかし、完全に否定出来ない。
俺は、聖人ではない。けれど、悪人ではいたいとは思っていない。実際、単純な話だが、こうして食事をして俺は、レンジを敵かどうか判断しかねていた。
この妖怪は、噂に聞く悪人なのか? その答えは出ないままだ。
「だからこそ、俺は、お前に頼みがある。」
真剣な表情を浮かべレンジは、俺に深く頭を下げた。
「サツキの封印を解くのに協力してほしい。」
「・・・・・・サツキ?」
「・・・・・・あの、聞いたことのない名前なんだけど、それって誰なんだ?」
俺がそう言うとレンジは、「そりゃあ、知らねぇよな。話を焦りすぎた。」と頭を掻いた。そして、一度、思案してから俺にこう言った。
「篠山の妖狐って名前なら聞いたことあるか?」
存在そのものが芸術品で作られたかの様な女性は、部屋を照らす、廊下よりも少し明るい照明に照らされ、キラキラと輝いていた。
「初めまして、人間さん。私は水仙というの。仲良くしてくれたら嬉しいの。」
彼女はそう言うと俺に向かって軽く頭を下げた。
「はじめまして、俺は、峰 日向です。」
俺も彼女に自己紹介を返して頭を下げる。するとレンジは、「そういえば、名前、聞いてなかったな・・・・・・」なんて今更な事を呟いている。
「とりあえず、水仙、飯をたべるぞ。」
「準備ぐらい手伝うの。レンジ、料理はほっといたら勝手にできるもんじゃないの」
水仙は、呆れた様に厨房に引き返し、レンジは、水仙の言葉に渋々と言った様子ではあるが付いて行き、準備を手伝う。
俺も手伝おうかと思っているとレンジは「おい! 日向! お前も手伝え! じゃねぇと水仙が怒るだろ!」と厨房から顔を出して俺に向かってそう言った。
「怒らないわ。お客さんだもの」と否定する声が聞こえるが俺も何もしないのも気が引けるので手伝う事にする。
そうして、テーブルには、シチューとパン、そして、サラダが用意された。
シチューは、柔らかい白さのスープに人参やお肉などが少し多めに入ったクリームシチューだった。
ゴミ箱のところに明らかに日本製のクリームシチューのルーのパッケージが捨てられていたので間違いない。
実際、日本の商品はこちらにもかなり入って来ている様で、店を回った時も日本の製品をいくつも見かける事があった。
食品の多くもこちらに流入しているのだろう。
「いただきます。」
俺達は、椅子に座り食事を始める。狼ベースの妖怪であってもタマネギなどは大丈夫な様でフードファイターの様な速度で食事をしていた。
レンジの横には、明らかにお代わり用の大鍋が置いてあり、凄い勢いでお代わりしている。
クリームシチューは、ほんのりとタマネギの甘みがあってとても美味しかった。肉や野菜がゴロゴロと入っているおかげでそれだけでかなりボリュームがあって美味しい。
「そういえば、さっきの人形って」
俺がそう言うと水仙は、「あの子は私の能力で動いているの」と答えてくれた。
「私が寝ている間だけ私が自分の結晶を埋め込んだものに意思を持たせることが出来るの。」
「意思を持たせるっていうのは、どういう・・・・・・」
「私と記憶は共有されているのだけど、私は意思の持った彼女達には干渉できないの。夢を見ている感覚に近いの」
「要するに、あのぬいぐるみと水仙さんは、別人って事なんですか?」
「そうなの。記憶を共有している別人格なの。種族的なものだから魔法とは少し違うの」
実際、自分の意思で操作出来ないのであれば、あまり使い所のない様な気がする。
「まあ、あのクマは、普通に性格が悪いから気をつけろ。正論を武器に攻撃してくる奴だからな。」
「そんな事、言ってるからあの子はレンジに厳しいの。ほんとはいい子なの」
「そうかねぇ、あいつは、俺に関してはやたらと目の敵にしてる様な気がするがね。まあいい。それよりも本題を話そうか。日向。俺は、一緒に飯も食って、お前の人となりもある程度分かったつもりだ。」
レンジは、食事を食べ終えたようで、すでに横にあった鍋も空になっていた。
「食事だけで?」
「いや、食事だけじゃねぇけどな。ちゃんと、飯に挨拶を言える奴は、礼儀がちゃんとしてる。後、子供とちゃんと話してただろ。それにな、命を救うってきいてノコノコ付いてくる様なお人好しだ。」
「ひどい言い分だな。」
「いや、褒めてるんだぜ? そう言う奴は、信用できる。自分の利益に他人の幸福を入れれる奴は、誠意を向ければ必ず返してくる。そういうもんだ。」
無茶苦茶な理論だとは思ったが、しかし、完全に否定出来ない。
俺は、聖人ではない。けれど、悪人ではいたいとは思っていない。実際、単純な話だが、こうして食事をして俺は、レンジを敵かどうか判断しかねていた。
この妖怪は、噂に聞く悪人なのか? その答えは出ないままだ。
「だからこそ、俺は、お前に頼みがある。」
真剣な表情を浮かべレンジは、俺に深く頭を下げた。
「サツキの封印を解くのに協力してほしい。」
「・・・・・・サツキ?」
「・・・・・・あの、聞いたことのない名前なんだけど、それって誰なんだ?」
俺がそう言うとレンジは、「そりゃあ、知らねぇよな。話を焦りすぎた。」と頭を掻いた。そして、一度、思案してから俺にこう言った。
「篠山の妖狐って名前なら聞いたことあるか?」
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