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3章
Part 184『解放』
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『篠山の妖狐』と言う名前は、少し前に聞いたことがあった。
篠山に封印された狐の妖怪がいると言うこと。つまり、レンジの目的は、その妖狐の封印を解くこと。
けれど、それは、ただいたずらに被害を増やすだけなのではないのだろうか。
篠山の妖狐の話は、言ってしまえば、負け戦にわざわざ挑んで離反した同族を殺す様な戦闘狂だ。
封印されるには理由がある。そして、その封印は、おいそれと解除していいものではない。
「・・・・・・篠山の妖狐は、他の勢力全てが敵に回っても戦った戦狂いだと聞いた。」
「それは、真実じゃない。サツキは、誰よりも優しい妖怪だった。」
俺の言葉を遮ってレンジはそう言った。
「ここの子供達を見ただろ? 妖怪としての種族もバラバラな餓鬼達だ。それは、色んな種族を俺達の種族は受け入れていたからだ。弱者のための勢力、弱い奴を守るための場所、それがサツキの作りたかったものだった。」
そう言われて思い出す。鬼島の家は、鬼達が徒党を組んでできた勢力だった。しかし、この場所にはむしろ、同じ種族の方が少ないと思う程に、沢山の姿をした子供達がいた。
「・・・・・・ここは、昔あった勢力の残りなのか」
「そうだ。俺達のボスをなんとしてでも復活させるために、敗北した後も秘密裏に活動し続けた妖怪達の集まりが、餓狼衆だ。」
「復活させるって言ってもどうやって、俺にはそんな特別な才能はないぞ。」
「人間なら誰でも呪いを解除できるはずだ。清浄石に触れる人間ならな。逆に清浄石に触ることの出来ない妖怪には絶対に解除できない封印だ。」
「・・・・・・人間なら他にもいたんじゃないのか?」
「この世界の人間のほとんどは、妖怪と交わって生まれた混じりものだ。純粋な血の混じってない人間なんてそこらには、ほとんどいないと言っていい。」
人間に限りなく近くても清浄石は、妖怪の血が混じっているだけで毒となるらしい。
そして、ここは妖怪の方が数の多い世界だ。人に近いものと結ばれるのは、むしろ珍しいことではないのかもしれない。
実際、俺も妖精と付き合っている訳で、実際、サクヤと一緒に居やすい世界だ。相手が人間だけと言うのも変な話だ。
「純血の人間は、清浄石の大量に取れる土地に住み着いて出て来る事はない。妖怪には、その土地は毒でしかないからな。人間にとっては安全な場所って訳だ。大戦の時もあいつら勢力は、基本的にその場所で不干渉を貫いていた。」
「だから、俺が適任だった訳か。」
俺がそう言うとレンジは頷いた。実際、彼らにしてみれば、絶好の機会だったはずだ。滅多に出てこない人間、しかも明らかに戦闘能力の低そうな存在。
「・・・・・・正直、現状じゃ、何も返せない。詳しい話を聞かせてくれ。気軽に承諾は出来ない。」
「勿論だ。少し長くなるが・・・・・・」
そう言ってレンジは、語り始めた。サツキという妖狐の話を・・・・・・
篠山に封印された狐の妖怪がいると言うこと。つまり、レンジの目的は、その妖狐の封印を解くこと。
けれど、それは、ただいたずらに被害を増やすだけなのではないのだろうか。
篠山の妖狐の話は、言ってしまえば、負け戦にわざわざ挑んで離反した同族を殺す様な戦闘狂だ。
封印されるには理由がある。そして、その封印は、おいそれと解除していいものではない。
「・・・・・・篠山の妖狐は、他の勢力全てが敵に回っても戦った戦狂いだと聞いた。」
「それは、真実じゃない。サツキは、誰よりも優しい妖怪だった。」
俺の言葉を遮ってレンジはそう言った。
「ここの子供達を見ただろ? 妖怪としての種族もバラバラな餓鬼達だ。それは、色んな種族を俺達の種族は受け入れていたからだ。弱者のための勢力、弱い奴を守るための場所、それがサツキの作りたかったものだった。」
そう言われて思い出す。鬼島の家は、鬼達が徒党を組んでできた勢力だった。しかし、この場所にはむしろ、同じ種族の方が少ないと思う程に、沢山の姿をした子供達がいた。
「・・・・・・ここは、昔あった勢力の残りなのか」
「そうだ。俺達のボスをなんとしてでも復活させるために、敗北した後も秘密裏に活動し続けた妖怪達の集まりが、餓狼衆だ。」
「復活させるって言ってもどうやって、俺にはそんな特別な才能はないぞ。」
「人間なら誰でも呪いを解除できるはずだ。清浄石に触れる人間ならな。逆に清浄石に触ることの出来ない妖怪には絶対に解除できない封印だ。」
「・・・・・・人間なら他にもいたんじゃないのか?」
「この世界の人間のほとんどは、妖怪と交わって生まれた混じりものだ。純粋な血の混じってない人間なんてそこらには、ほとんどいないと言っていい。」
人間に限りなく近くても清浄石は、妖怪の血が混じっているだけで毒となるらしい。
そして、ここは妖怪の方が数の多い世界だ。人に近いものと結ばれるのは、むしろ珍しいことではないのかもしれない。
実際、俺も妖精と付き合っている訳で、実際、サクヤと一緒に居やすい世界だ。相手が人間だけと言うのも変な話だ。
「純血の人間は、清浄石の大量に取れる土地に住み着いて出て来る事はない。妖怪には、その土地は毒でしかないからな。人間にとっては安全な場所って訳だ。大戦の時もあいつら勢力は、基本的にその場所で不干渉を貫いていた。」
「だから、俺が適任だった訳か。」
俺がそう言うとレンジは頷いた。実際、彼らにしてみれば、絶好の機会だったはずだ。滅多に出てこない人間、しかも明らかに戦闘能力の低そうな存在。
「・・・・・・正直、現状じゃ、何も返せない。詳しい話を聞かせてくれ。気軽に承諾は出来ない。」
「勿論だ。少し長くなるが・・・・・・」
そう言ってレンジは、語り始めた。サツキという妖狐の話を・・・・・・
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