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4章
Part 241『相談』
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その日は、とりあえず帰らせてもらった。後日改めて来ると言うと篝さんも特に何も言わなかった。
けれど、すぐにでも話をつけようと思って俺は、サクヤの居る山へ家にも寄らずに向かった。
いつも通り通い慣れた道を歩いていく。もうすでに随分と暗くなっていて、帰る頃には真っ暗になって居るだろうなと考えながら歩いていく。
もう、随分と暖かくなって来た。前は夜になるとかなり寒かったと言うのに、今は、半袖で生活できるほどだ。
あれだけ、桜の花びらでピンクに染まっていた桜も葉をつけ緑色に染まっている。
サクヤの木も花は咲かせられないが、葉は付けるようで大きな木には、びっしりと緑の葉が生えていた。
その木の側で一人立つサクヤを見つけ、声をかける。
俺の声に気づくと花が咲いたような笑顔でこちらを見てくる。サクヤの周りには、小さな蛍のような光が浮いている。簡易精霊というリューが異世界に行くために用意したサクヤの代わりだ。この精霊のおかげでサクヤが桜の木から一日以上離れる事が出来る様になった。
「峰さん。来てくださったんですね!」
「ああ、簡易精霊は、まだ残ってたんだな。」
「みたいですね。核の部分に魔石があるみたいで当分は、ずっとあるみたいです。」
サクヤは指で簡易精霊をつつくと指に反応して、少し跳ねる様に飛び上がったりして見ていても面白い。
ただ、本題を話さなければいけない。
「サクヤ、少し相談があるんだ。」
「相談ですか?」
「実は、今日、清浄石の職人のところに行ってきたんだ。それでーーー」
俺は、サクヤに職人が、すぐには作業に取りかかれない事と俺が代わりに作らないかと言われたという事、そして、結局、自分で清浄石の呪術を勉強するか、別の業者に委託するのかの選択をする事になった。という事を説明する。
サクヤは、その話を聞いて考える間も無くすぐに俺にこう言った。
「日向さんが作るのが良いです。」
何のためらいもなくそう言ったサクヤに俺は少なからず驚いていた。
「え、良いのか? ほら、俺が作る訳で間に合わないかもしれないのはどっちも一緒で・・・・・・」
「はい。保留にしてきたという事は、日向さんもそっちに意識が向いてるんですよね。作ってみたいって。」
「・・・・・・」
完全に図星を突かれて固まってしまった。そう、俺はそちらの方に気持ちが傾いて居るのは間違いない。
「けど、確実な手段を選んでも良いんだぞ? 実際、他に頼む方が確実で、俺がやってもダメかもーーーー」
そう言いかけてサクヤは、俺の口を指で塞いだ。
「別に気を使って言ってる訳じゃないですよ。むしろ、大変な事を言ってます。だけど、自分のために頑張ってくれるなんて幸せじゃないですか。だから、大丈夫です。ダメかもなんて最初から言わないでください。」
「サクヤ・・・・・・」
「日向さんなら、出来ますよ。大丈夫です。」
そう言われて俺は、目頭が熱くなるのを感じた。信頼されている。この事がこんなにも嬉しいなんて思ってもみなかった。
俺は、上を向いてしばらく空を見上げた。空に輝く星は、いつもより輝いていた。
「必ず、完成させる。約束する。」
「はい。お願いしますね。日向さん」
心は決まった。後は、どれだけ自分で没頭できるかだ。
けれど、すぐにでも話をつけようと思って俺は、サクヤの居る山へ家にも寄らずに向かった。
いつも通り通い慣れた道を歩いていく。もうすでに随分と暗くなっていて、帰る頃には真っ暗になって居るだろうなと考えながら歩いていく。
もう、随分と暖かくなって来た。前は夜になるとかなり寒かったと言うのに、今は、半袖で生活できるほどだ。
あれだけ、桜の花びらでピンクに染まっていた桜も葉をつけ緑色に染まっている。
サクヤの木も花は咲かせられないが、葉は付けるようで大きな木には、びっしりと緑の葉が生えていた。
その木の側で一人立つサクヤを見つけ、声をかける。
俺の声に気づくと花が咲いたような笑顔でこちらを見てくる。サクヤの周りには、小さな蛍のような光が浮いている。簡易精霊というリューが異世界に行くために用意したサクヤの代わりだ。この精霊のおかげでサクヤが桜の木から一日以上離れる事が出来る様になった。
「峰さん。来てくださったんですね!」
「ああ、簡易精霊は、まだ残ってたんだな。」
「みたいですね。核の部分に魔石があるみたいで当分は、ずっとあるみたいです。」
サクヤは指で簡易精霊をつつくと指に反応して、少し跳ねる様に飛び上がったりして見ていても面白い。
ただ、本題を話さなければいけない。
「サクヤ、少し相談があるんだ。」
「相談ですか?」
「実は、今日、清浄石の職人のところに行ってきたんだ。それでーーー」
俺は、サクヤに職人が、すぐには作業に取りかかれない事と俺が代わりに作らないかと言われたという事、そして、結局、自分で清浄石の呪術を勉強するか、別の業者に委託するのかの選択をする事になった。という事を説明する。
サクヤは、その話を聞いて考える間も無くすぐに俺にこう言った。
「日向さんが作るのが良いです。」
何のためらいもなくそう言ったサクヤに俺は少なからず驚いていた。
「え、良いのか? ほら、俺が作る訳で間に合わないかもしれないのはどっちも一緒で・・・・・・」
「はい。保留にしてきたという事は、日向さんもそっちに意識が向いてるんですよね。作ってみたいって。」
「・・・・・・」
完全に図星を突かれて固まってしまった。そう、俺はそちらの方に気持ちが傾いて居るのは間違いない。
「けど、確実な手段を選んでも良いんだぞ? 実際、他に頼む方が確実で、俺がやってもダメかもーーーー」
そう言いかけてサクヤは、俺の口を指で塞いだ。
「別に気を使って言ってる訳じゃないですよ。むしろ、大変な事を言ってます。だけど、自分のために頑張ってくれるなんて幸せじゃないですか。だから、大丈夫です。ダメかもなんて最初から言わないでください。」
「サクヤ・・・・・・」
「日向さんなら、出来ますよ。大丈夫です。」
そう言われて俺は、目頭が熱くなるのを感じた。信頼されている。この事がこんなにも嬉しいなんて思ってもみなかった。
俺は、上を向いてしばらく空を見上げた。空に輝く星は、いつもより輝いていた。
「必ず、完成させる。約束する。」
「はい。お願いしますね。日向さん」
心は決まった。後は、どれだけ自分で没頭できるかだ。
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