咲かない桜

御伽 白

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4章

Part 271 『実食』

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 慌てて弁解をして、とりあえずは、サクヤの作ってくれた料理を食べる事にする。

 せっかく俺のために頑張って作ってくれた料理だ。すでに準備された料理は、机の上に並んでいる。

 並んでいる料理の数々は、一般的な家庭料理だった。肉じゃがに具が多めのお味噌汁、ほうれん草のおひたしという派手さはないが、どれも丁寧に作られていることが分かった。

 肉じゃがは、前回の少し煮崩れしたものではなく、きちんとジャガイモの形があり、しかしそれでいて、出汁がしみているのがはっきりと分かる。

 味噌汁は、具が食べやすい大きさに綺麗に整えられていて、人参や大根などの野菜が入っていて見た目も華やかだ。

 見るだけでそれらが美味しいことが分かった。見ているだけで口の中に唾液がたまっていく。

 これをつい最近まで包丁を持ったことのないサクヤが作ったのだと思うと努力のほどが伺える。

 しかし、当の本人である。サクヤは、俺の顔色を心配そうに伺っている。さっきまでは、自信があったような雰囲気だった。

 基本的に心配性なのだ。これは、すぐにでも食べて感想を言ってあげなければと思った。

 真冬さんが「それじゃあ、食べましょうか。」という声とともに皆、「いただきます。」と自分達の皿に盛られた食事を食べ始める。

 肉じゃがに箸を伸ばし、程よく柔らかくなったジャガイモを掴んで口へ運ぶ。舌に甘い出汁の風味を感じながらジャガイモを噛む。先ほどまで箸でつかめていたのが不思議なぐらいに柔らかなジャガイモは、すぐに崩れると口の中全体に広がって俺の味覚を喜ばせた。

 そして、すぐにご飯を食べて咀嚼する。食べる前から分かっていた。こんなに出汁が染みていて白ご飯が不味いわけがない。

 口の中で広がる甘い出汁の風味と米のモチっとした食感が合わさっていくらでも食べれそうな気がする。

 前回とは、比較にならないほど上達している。俺は、口の中に広がる余韻を感じながらサクヤに「凄い美味しい。サクヤも頑張ってたんだな。」と言葉を送るとホッとした様な表情を浮かべる。

 味噌汁も優しい香りで、味噌が濃すぎず、薄すぎずの絶妙なバランスを保っている。

 味噌の独特の旨味が肉じゃがの甘みの強い出汁の味を一旦、整えてくれる。

 褒め言葉も忘れて俺は黙々と食事を進めていく。

 「いやぁ、ここ数日、毎日、肉じゃが食べてた甲斐があるっすねぇ」

 「でも、本当に美味しい。」

 コンや凛も食事をしながらサクヤの料理を褒めていた。サクヤは嬉しくなったのか「おかわりはいっぱいあるのでいくらでも言ってくださいね。」と台所の鍋を指差した。

 その指の先にあるのは、かなり背の高い鍋が鎮座していた。明らかに五人分の量を作るときに使う鍋ではない。

 「・・・・・・何日分あるんだ? それ?」

 「え? お昼分ですけど・・・・・・」

 俺の質問にサクヤがあっさりと答えた。え、この子、料理の腕だけじゃなくて食欲も増してない?
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