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4章
Part 327『可能性の先』
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時間はあっさりと訪れた。
妖怪を切り裂く武器も回避に専念した醜穢を切り裂くには至らず、時間だけを浪費した。
このまま睡魔が来てしまえば、自分の身体能力を強化する呪術が解け動く事すらままならなくなる。
もう一手あれば、現実は変わっていたかもしれない。
自分は終わるのだろうか。何も成すことが出来ないままに。サクヤを一人にして。
許せる訳がなかった。
自分の頭をフルに回転させ、打開策を考えてきた。その際に一度、危険性の高い方法が頭に浮かんだ。
現状の実力で倒せていないのならば、一生努力しても醜穢に勝てない。
しかし、今の自分がさらに鍛えたならば?
それは賭けだった。肉体や精神に影響が出る可能性のある方法。しかし、自分にとって確実な方法がなかった。
妖刀 花咲
刺した対象がたどり着く可能性を引き出す妖刀。
それが二回発動しないとは誰も言っていない。もう一度突き刺すことで現状から更に将来の可能性を引き出せるのではないか。
才能の限界突破。
危険性はある。しかし、この状況を打開する方法が自分にはなかった。
妖刀を再度突き刺す。そして、自分の意識は変化する。
思考が明らかに自分のものとはかけ離れた概念は、激しい痛みを伴いながらも頭に刻み込まれていく。
あらゆる分野において発展された知識や技術が自分自身を塗り替えた。
先ほどまでの焦りは一切ない。悟りとはまた違う。圧倒的な余裕が自分自身を支配していた。
俺は妖刀を引き抜くことはしなかった。
「ああ、なるほど、これが正しい使い方だったのか。」
俺はそう呟いた。
妖刀 花咲。その本来の使い方は刺し続けること。
引き抜いた後に代償は訪れるが、引き抜かなければ常に未来の自分でいられる。
醜穢に目を向ける。先ほどまでは理解出来ない存在だった化物が今では何の脅威も感じない。
俺は指を動かして呪術を起動する。呪字などという効率の悪い手法よりも完成された即効性の呪術
呪字は神にその意図を汲み取らせることが出来るならば、なんでも構わない。
文字であれ、歌であれ、踊りであれ、最悪、意味さえあれば、指の動きでも呪術は成立する。
他者に与えるものならば時間がかかるが、自分自身にかけるのであれば、数秒で呪術を行使できる。
「代償 1時間、効果、右手、1秒」
枝を握り抜刀術の構えを作る。手に持っているのは所詮は枝だが、それでも大丈夫だ。
寿命の1時間を代償に1秒間だけ自身の腕を強化する。
そして、醜穢に向けて枝を振るった。それは生き物に知覚できる速度の攻撃ではなかった。
1時間を1秒に凝縮した単純計算で3600倍の威力と速度の一振りは、衝撃波を生み出し周囲の木々を大きく揺らした。
おおよそ人間が振ることが出来るはずもない一撃は、確実に醜穢の体を切り裂いた。
切り離された胴体は、まるで別々の生き物のように蠢く。そして、二手に分かれて逃走する。
「トカゲの尻尾切りか。代償1時間、効果、両足10秒」
爆発するように加速した体は、逃げる醜穢に追いついた。瞬間移動などさせる暇を与えてやるほど自分は優しくない。
切れ味を高めた枝で体を切りつける。
やるならば徹底的に行うべきだ。
醜穢に死の呪術を刻む。
そして、すぐに反対に逃げた醜穢の方に移動し、同様の呪術をかけた。
効率化され一振りで完成される呪術は明らかに戦闘を意識して作られたものだった。
妖怪と渡り合うために二つ分の自制を犠牲にたどり着いた境地。
しかし、自分ではこの先、たどり着く事の出来ない域の技術だった。
「・・・・・・とりあえずは、討伐完了だな。」
妖怪を切り裂く武器も回避に専念した醜穢を切り裂くには至らず、時間だけを浪費した。
このまま睡魔が来てしまえば、自分の身体能力を強化する呪術が解け動く事すらままならなくなる。
もう一手あれば、現実は変わっていたかもしれない。
自分は終わるのだろうか。何も成すことが出来ないままに。サクヤを一人にして。
許せる訳がなかった。
自分の頭をフルに回転させ、打開策を考えてきた。その際に一度、危険性の高い方法が頭に浮かんだ。
現状の実力で倒せていないのならば、一生努力しても醜穢に勝てない。
しかし、今の自分がさらに鍛えたならば?
それは賭けだった。肉体や精神に影響が出る可能性のある方法。しかし、自分にとって確実な方法がなかった。
妖刀 花咲
刺した対象がたどり着く可能性を引き出す妖刀。
それが二回発動しないとは誰も言っていない。もう一度突き刺すことで現状から更に将来の可能性を引き出せるのではないか。
才能の限界突破。
危険性はある。しかし、この状況を打開する方法が自分にはなかった。
妖刀を再度突き刺す。そして、自分の意識は変化する。
思考が明らかに自分のものとはかけ離れた概念は、激しい痛みを伴いながらも頭に刻み込まれていく。
あらゆる分野において発展された知識や技術が自分自身を塗り替えた。
先ほどまでの焦りは一切ない。悟りとはまた違う。圧倒的な余裕が自分自身を支配していた。
俺は妖刀を引き抜くことはしなかった。
「ああ、なるほど、これが正しい使い方だったのか。」
俺はそう呟いた。
妖刀 花咲。その本来の使い方は刺し続けること。
引き抜いた後に代償は訪れるが、引き抜かなければ常に未来の自分でいられる。
醜穢に目を向ける。先ほどまでは理解出来ない存在だった化物が今では何の脅威も感じない。
俺は指を動かして呪術を起動する。呪字などという効率の悪い手法よりも完成された即効性の呪術
呪字は神にその意図を汲み取らせることが出来るならば、なんでも構わない。
文字であれ、歌であれ、踊りであれ、最悪、意味さえあれば、指の動きでも呪術は成立する。
他者に与えるものならば時間がかかるが、自分自身にかけるのであれば、数秒で呪術を行使できる。
「代償 1時間、効果、右手、1秒」
枝を握り抜刀術の構えを作る。手に持っているのは所詮は枝だが、それでも大丈夫だ。
寿命の1時間を代償に1秒間だけ自身の腕を強化する。
そして、醜穢に向けて枝を振るった。それは生き物に知覚できる速度の攻撃ではなかった。
1時間を1秒に凝縮した単純計算で3600倍の威力と速度の一振りは、衝撃波を生み出し周囲の木々を大きく揺らした。
おおよそ人間が振ることが出来るはずもない一撃は、確実に醜穢の体を切り裂いた。
切り離された胴体は、まるで別々の生き物のように蠢く。そして、二手に分かれて逃走する。
「トカゲの尻尾切りか。代償1時間、効果、両足10秒」
爆発するように加速した体は、逃げる醜穢に追いついた。瞬間移動などさせる暇を与えてやるほど自分は優しくない。
切れ味を高めた枝で体を切りつける。
やるならば徹底的に行うべきだ。
醜穢に死の呪術を刻む。
そして、すぐに反対に逃げた醜穢の方に移動し、同様の呪術をかけた。
効率化され一振りで完成される呪術は明らかに戦闘を意識して作られたものだった。
妖怪と渡り合うために二つ分の自制を犠牲にたどり着いた境地。
しかし、自分ではこの先、たどり着く事の出来ない域の技術だった。
「・・・・・・とりあえずは、討伐完了だな。」
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