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序章
Prat 3 『名前』
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「あの・・・大丈夫ですか?」
声が聞こえる。先ほどの妖精の声だろう。身体中が痛い。そういえば、さっき木にぶつかって気を失ったんだった。
目を開けると心配そうに俺のことを見ている、自称、桜の妖精がいた。いや、自称じゃないんだっけ・・・?
あれが夢でなければ彼女は、浮いていた事になる。
「ああ、目を覚まされたんですね。良かったぁ・・・このまま、死んでしまうんじゃないかって・・・」
「ありがとう・・・君が介抱してくれたのか・・・」
「ええ、あそこに倒れたままにしとくのは駄目だと思って、運ばせてもらいました。ただ、重くて引きずってですけど・・・」
どうやら、自分は、先ほどまでいた桜の木の近くにあったベンチに横になっていたらしい。体を起こしてみると背中が土まみれになって汚れていた。なるほど・・・まあ、仕方ない。前方不注意で全力疾走していたのは、間違いなく自分のせいだ。
「ありがとうな。君が教えてくれなければ、もっと悲惨な事になってたかもしれない。」
身体中が痛いのは、変わらないが折れているという感じではない。打撲程度だろう。彼女の声を聞いて前を向いていたからギリギリで体勢を変える事ができたのだ。勿論、衝撃を殺しきる事はできずに軽い脳震盪のような状態になってしまったが・・・
「いえ、気にしないでください。あの状況を作ってしまったのは私の責任ですし・・・本当にお体大丈夫ですか?」
「いや、そんな事はないよ。あの辺りは自己責任だよ。体も痛みはあるけど大丈夫。それより、君は本当に桜の妖精なんだね。」
「あ、信じてくれるんですか?」
「まあ、さっき浮いてるのも見ちゃったし・・・俺の常識外にいる存在ってのは分かったよ・・・」
それに悪い子という訳でもないようだ。というか、普通に良い子だと思う。それに彼女の態度から心から心配してくれているのを感じる。
「君のお願いの詳しい話を聞かせてよ。俺でよければ出来る限り力になるからさ。」
「っ! ありがとうございます! 」
彼女は感極まったような声で俺に抱きついてくる。近い近い! そして、何がとは言わないけど当たっている。そして、結構・・・いや、待て待て待て、相手は異種族だ・・・なにをドキドキしてるんだ。しかも相手は樹木だぞ・・・落ち着け俺・・・いや、でも、これは・・・
「わ、分かったから! 離れて! 健全な男子大学生には、刺激が強すぎる・・・」
彼女の肩を掴んで突き放す。すると彼女も自分が何をやったのか理解したようですぐにペコペコと頭を下げた。
「す、すみません! 人間の方とお話しするのは、久しぶりで・・・」
「いや、大丈夫。じゃあ、とりあえず、自己紹介しよう。俺の名前は、峰 日向大学2年で専攻は・・・ってまあ、その辺りはいいか・・・とりあえず、よろしく」
「こちらこそ、よろしくお願いします! 私は、桜の木の妖精です。樹齢は多分100年ぐらいです!」
「規格外すぎた・・・でも、そうだよな・・・これだけ立派な幹だとそれぐらいはあるのか・・・」
「え、そんな・・・照れます。褒めても何も出ませんよ。」
価値観もやはり桜の妖精だけあって違うようだ。照れるように手をバタバタとさせている。見た目は幽霊のようだが、こうしてみると挙動が可愛い。
「え? ていうか、名前はないのか? こう、桜の妖精とか以外に」
「そうですね。私には必要ないものでしたから・・・好きに呼んでいただいて大丈夫ですよ?」
「えっと、それは、俺が名前をつけろって事・・・?」
「はい。ご迷惑でなければ・・・」
そう言われてもという感じではある。「ネーミングセンスがない」と最近、学校のグループワークで言われたばかりなのだ。何か桜にちなんだもの・・・
「桜餅」
「え? なんですか? どうしました?」
だめか・・・どうやら名前としてすら認識されていない・・・さくら・・・桜にさくらって名前をつけるのは、なんというか、犬に「お前今日から犬な!」と言っているようで芸がない。
「さ、さ、佐藤」
「え、あ、はい。分かりました。じゃあ、佐藤で・・・」
「違う! 試しに言ってみただけだ! そんな明らかにテンション下がった反応しないでくれ!」
ダメだ。「さ」から始まる言葉って他に何かあったか・・・?
笹・・・いや、論外だ。桜に笹って犬にライオンってつける奴と同じだ・・・いや、そんなアホはいないか・・・
貞k・・・いや、これ以上は、いけない気がする。なんか、いろんな意味で・・・
サイ・・・違うだろ・・・もう、全部間違ってる・・・
さ、さ、咲く・・・はっ! そうだよ。咲きたいと言っていた彼女にピッタリじゃないか・・・
頭に閃いた名前を彼女に伝えることにする。これで無理なら彼女には悪いが名前を付けるのは彼女自身にお願いしよう。俺のセンスではここが限界だ。
「サクヤ」
「サクヤ・・・サクヤ・・・私の名前・・・はい! ありがとうございます!」
どうやら気に入ってくれたようで、彼女は、かみしめるように何度も呟く。これぐらい喜んでくれるなら悩んだ甲斐があるというものだ。
「じゃあ、早速、本題に入ろうか・・・」
最大限、彼女の力になってあげたいと思う程度にこの段階で既に俺は彼女のことを気に入ってきていた。
声が聞こえる。先ほどの妖精の声だろう。身体中が痛い。そういえば、さっき木にぶつかって気を失ったんだった。
目を開けると心配そうに俺のことを見ている、自称、桜の妖精がいた。いや、自称じゃないんだっけ・・・?
あれが夢でなければ彼女は、浮いていた事になる。
「ああ、目を覚まされたんですね。良かったぁ・・・このまま、死んでしまうんじゃないかって・・・」
「ありがとう・・・君が介抱してくれたのか・・・」
「ええ、あそこに倒れたままにしとくのは駄目だと思って、運ばせてもらいました。ただ、重くて引きずってですけど・・・」
どうやら、自分は、先ほどまでいた桜の木の近くにあったベンチに横になっていたらしい。体を起こしてみると背中が土まみれになって汚れていた。なるほど・・・まあ、仕方ない。前方不注意で全力疾走していたのは、間違いなく自分のせいだ。
「ありがとうな。君が教えてくれなければ、もっと悲惨な事になってたかもしれない。」
身体中が痛いのは、変わらないが折れているという感じではない。打撲程度だろう。彼女の声を聞いて前を向いていたからギリギリで体勢を変える事ができたのだ。勿論、衝撃を殺しきる事はできずに軽い脳震盪のような状態になってしまったが・・・
「いえ、気にしないでください。あの状況を作ってしまったのは私の責任ですし・・・本当にお体大丈夫ですか?」
「いや、そんな事はないよ。あの辺りは自己責任だよ。体も痛みはあるけど大丈夫。それより、君は本当に桜の妖精なんだね。」
「あ、信じてくれるんですか?」
「まあ、さっき浮いてるのも見ちゃったし・・・俺の常識外にいる存在ってのは分かったよ・・・」
それに悪い子という訳でもないようだ。というか、普通に良い子だと思う。それに彼女の態度から心から心配してくれているのを感じる。
「君のお願いの詳しい話を聞かせてよ。俺でよければ出来る限り力になるからさ。」
「っ! ありがとうございます! 」
彼女は感極まったような声で俺に抱きついてくる。近い近い! そして、何がとは言わないけど当たっている。そして、結構・・・いや、待て待て待て、相手は異種族だ・・・なにをドキドキしてるんだ。しかも相手は樹木だぞ・・・落ち着け俺・・・いや、でも、これは・・・
「わ、分かったから! 離れて! 健全な男子大学生には、刺激が強すぎる・・・」
彼女の肩を掴んで突き放す。すると彼女も自分が何をやったのか理解したようですぐにペコペコと頭を下げた。
「す、すみません! 人間の方とお話しするのは、久しぶりで・・・」
「いや、大丈夫。じゃあ、とりあえず、自己紹介しよう。俺の名前は、峰 日向大学2年で専攻は・・・ってまあ、その辺りはいいか・・・とりあえず、よろしく」
「こちらこそ、よろしくお願いします! 私は、桜の木の妖精です。樹齢は多分100年ぐらいです!」
「規格外すぎた・・・でも、そうだよな・・・これだけ立派な幹だとそれぐらいはあるのか・・・」
「え、そんな・・・照れます。褒めても何も出ませんよ。」
価値観もやはり桜の妖精だけあって違うようだ。照れるように手をバタバタとさせている。見た目は幽霊のようだが、こうしてみると挙動が可愛い。
「え? ていうか、名前はないのか? こう、桜の妖精とか以外に」
「そうですね。私には必要ないものでしたから・・・好きに呼んでいただいて大丈夫ですよ?」
「えっと、それは、俺が名前をつけろって事・・・?」
「はい。ご迷惑でなければ・・・」
そう言われてもという感じではある。「ネーミングセンスがない」と最近、学校のグループワークで言われたばかりなのだ。何か桜にちなんだもの・・・
「桜餅」
「え? なんですか? どうしました?」
だめか・・・どうやら名前としてすら認識されていない・・・さくら・・・桜にさくらって名前をつけるのは、なんというか、犬に「お前今日から犬な!」と言っているようで芸がない。
「さ、さ、佐藤」
「え、あ、はい。分かりました。じゃあ、佐藤で・・・」
「違う! 試しに言ってみただけだ! そんな明らかにテンション下がった反応しないでくれ!」
ダメだ。「さ」から始まる言葉って他に何かあったか・・・?
笹・・・いや、論外だ。桜に笹って犬にライオンってつける奴と同じだ・・・いや、そんなアホはいないか・・・
貞k・・・いや、これ以上は、いけない気がする。なんか、いろんな意味で・・・
サイ・・・違うだろ・・・もう、全部間違ってる・・・
さ、さ、咲く・・・はっ! そうだよ。咲きたいと言っていた彼女にピッタリじゃないか・・・
頭に閃いた名前を彼女に伝えることにする。これで無理なら彼女には悪いが名前を付けるのは彼女自身にお願いしよう。俺のセンスではここが限界だ。
「サクヤ」
「サクヤ・・・サクヤ・・・私の名前・・・はい! ありがとうございます!」
どうやら気に入ってくれたようで、彼女は、かみしめるように何度も呟く。これぐらい喜んでくれるなら悩んだ甲斐があるというものだ。
「じゃあ、早速、本題に入ろうか・・・」
最大限、彼女の力になってあげたいと思う程度にこの段階で既に俺は彼女のことを気に入ってきていた。
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