2 / 352
序章
Part 2 『妖精(自称)』
しおりを挟む
「私を咲かしてください!」
その言葉に一体どんな意味があるのか、俺には皆目見当がつかなかった。一つ確かなことは彼女が必死に何かをお俺に伝えようとしているということだ。
だから、事の重要性は、なんとなくわかった。彼女にとって「私を咲かせてください」という願いは、彼女にとって重大な意味を持っているに違いないのだ。
「あ、すみません! 突然こんなことを言っても意味わかりませんよね!」
「あ、はい・・・そうですね。出来ればもう少し、噛み砕いて説明してくださると・・・」
「そうですよね。あのですね・・・私、実は、桜の妖精なんです!」
「・・・・・・・・・」
なんだ。桜の妖精かぁ、なるほど、なるほど、そりゃあ、突然、後ろに現れたり、異様に長い髪だったりするわけだぁ・・・へぇ・・・・・・
「そうなんですかぁ・・・じゃあ、頑張ってください。」
「あの・・・私のお願いは・・・」
「俺・・・いえ、私、用事がありまして、申し訳ございません。またの機会にということで・・・」
「そんな明らかに距離を置かないでくださいよぉ! 本当なんです! 本当に桜の妖精なんです!」
「 はいはい。そうだねーあなたの中ではねー」
「私を痛い人みたいに扱わないでください! せっかく勇気を出してお願いしたのに!」
俺の服を掴んで離さない彼女の声は必死だった。何を彼女はこんなになるまで自分を桜の妖精だと言い張っているのだろうか・・・可能性としては・・・
「1. お酒の飲み過ぎで酔っ払っている。 2.厨二病の女の子バージョン 3.友達の罰ゲームで桜の妖精を演じている。」
「本物っていう選択肢がないんですけど!? ていうか、信じてくださいよ! 私、本当に桜の妖精なんですから!」
しまった・・・考えていることが口から漏れていたようだ。考え事をしているとたまに口から漏れてしまうのは悪い癖だ。直さないとな・・・
「分かりました。証拠を見せます! とっておきのです! 私が長い時間をかけて習得した必殺技をお見せします!」
「え? 必殺技・・・」
「いきます! むむむ・・・見えます。あなたは、私のことを痛い厨二病の女性だと思い込んでいますね!」
「え? うん、そうだけど?」
何を今更当然のことを・・・ていうか、それが必殺技? 必殺の意味知ってる?
「どうです!?」
誇らしげに彼女は俺に尋ねてくる。もしかしなくても、今のが必殺技だったらしい・・・
「長年、研究に研究を重ねて編み出した読心術です。どうです? 信じる気になりました?」
「微塵も」
「微塵も!? え、結構、頑張って覚えた技なんですけど!?」
「そんなん、俺でも当てられるわ。」
「え? あなたも妖精なんですか!?」
だめだ・・・本当に痛い子に出会ってしまったらしい。そして、若干、おつむが弱い
「でも! あなたに見捨てられたら私、金輪際、桜として生きていけませんよぉ~」
しかし、まだ続けるのか、この子。そのガッツだけは、認めてあげても良い。
「私が咲いたら良いこといっぱいありますよ!」
「良いことって?」
「桜が見れます!」
「そんなん、どこでも見れるわ!」
「あ、あと!」
「なんだよ・・・」
「・・・・・・・・・ぐすん」
「泣いた!? 」
いやいや、え? プレゼン内容しょぼくない!? 今時、高校生でももうちょっと良いプレゼンするよ?
「良いんですね。私のお願いをきいてくれないなら、私も最後の手段に出なければいけません。」
「な、なんだよ。呪ったりするのか?」
「そういうのは、出来ないので、四六時中、あなたの視界の隅っこで体育座りして睨んでます。」
「地味っ!」
予想以上にしょぼい嫌がらせだった。確かに嫌ではあるが・・・
こうなっては、仕方ない。古来より伝わる言葉に習って行動を起こすしかない。昔の人は言ったそうだ。
「世の中、逃げるが勝ち!」
俺は、急いで彼女から逃げる。流石に男子の全力疾走に勝てる女子もそう多くないだろう。勿論、自分も運動神経が抜群という訳ではないが、平均より少し上だ。女子にも早い人間はいるだろうが追いつけるはずは・・・
「な、なんで逃げるんですかぁ・・・」
追いかけてきていた。ていうか、浮いてませんか、あなた・・・
彼女の体は、地面に触れずにふわふわと浮いていた。まるで本物の幽霊や妖精のように・・・
「なんでもお前、浮いてんの!?」
「そりゃあ、妖精なんですから浮きますよ!」
なぜ、そのアピールを最初にしなかったのか・・・やっぱり、馬鹿・・・
「あ、それより、前! 前向いてください!」
「前・・・前って」
目の前にちょうど木があった。減速を始めても、もう遅い距離、まるで走馬灯のようにゆっくりと視界が進む。
あ、これ、ダメなやつじゃない・・・こんなことなら、もう少しちゃんと話を聞いてやるべきだったなんてことを思う。しかし、思考はゆっくりになっても体は全くの別で動いているかのように、凄まじい勢いで木にぶつかった。
全速力で木に激突した衝撃は、同時に身体中を木刀で殴りつけられたかのようだった。
身体中を走る激痛で立っていられなくなり、そのまま、倒れる。脳が揺れるのを感じる。世界が・・・揺れる・・・気持ち悪っ・・・
脳を直接揺さぶられているかのような、感覚
車酔いのような不快感が波のように何度も襲ってくる。最悪の気分だ。
そして、意識が遠のいていった。
ああ、散々な日だ・・・こんな事なら飲み会で酒を飲み続けて寝てしまった方が良かった。
その言葉に一体どんな意味があるのか、俺には皆目見当がつかなかった。一つ確かなことは彼女が必死に何かをお俺に伝えようとしているということだ。
だから、事の重要性は、なんとなくわかった。彼女にとって「私を咲かせてください」という願いは、彼女にとって重大な意味を持っているに違いないのだ。
「あ、すみません! 突然こんなことを言っても意味わかりませんよね!」
「あ、はい・・・そうですね。出来ればもう少し、噛み砕いて説明してくださると・・・」
「そうですよね。あのですね・・・私、実は、桜の妖精なんです!」
「・・・・・・・・・」
なんだ。桜の妖精かぁ、なるほど、なるほど、そりゃあ、突然、後ろに現れたり、異様に長い髪だったりするわけだぁ・・・へぇ・・・・・・
「そうなんですかぁ・・・じゃあ、頑張ってください。」
「あの・・・私のお願いは・・・」
「俺・・・いえ、私、用事がありまして、申し訳ございません。またの機会にということで・・・」
「そんな明らかに距離を置かないでくださいよぉ! 本当なんです! 本当に桜の妖精なんです!」
「 はいはい。そうだねーあなたの中ではねー」
「私を痛い人みたいに扱わないでください! せっかく勇気を出してお願いしたのに!」
俺の服を掴んで離さない彼女の声は必死だった。何を彼女はこんなになるまで自分を桜の妖精だと言い張っているのだろうか・・・可能性としては・・・
「1. お酒の飲み過ぎで酔っ払っている。 2.厨二病の女の子バージョン 3.友達の罰ゲームで桜の妖精を演じている。」
「本物っていう選択肢がないんですけど!? ていうか、信じてくださいよ! 私、本当に桜の妖精なんですから!」
しまった・・・考えていることが口から漏れていたようだ。考え事をしているとたまに口から漏れてしまうのは悪い癖だ。直さないとな・・・
「分かりました。証拠を見せます! とっておきのです! 私が長い時間をかけて習得した必殺技をお見せします!」
「え? 必殺技・・・」
「いきます! むむむ・・・見えます。あなたは、私のことを痛い厨二病の女性だと思い込んでいますね!」
「え? うん、そうだけど?」
何を今更当然のことを・・・ていうか、それが必殺技? 必殺の意味知ってる?
「どうです!?」
誇らしげに彼女は俺に尋ねてくる。もしかしなくても、今のが必殺技だったらしい・・・
「長年、研究に研究を重ねて編み出した読心術です。どうです? 信じる気になりました?」
「微塵も」
「微塵も!? え、結構、頑張って覚えた技なんですけど!?」
「そんなん、俺でも当てられるわ。」
「え? あなたも妖精なんですか!?」
だめだ・・・本当に痛い子に出会ってしまったらしい。そして、若干、おつむが弱い
「でも! あなたに見捨てられたら私、金輪際、桜として生きていけませんよぉ~」
しかし、まだ続けるのか、この子。そのガッツだけは、認めてあげても良い。
「私が咲いたら良いこといっぱいありますよ!」
「良いことって?」
「桜が見れます!」
「そんなん、どこでも見れるわ!」
「あ、あと!」
「なんだよ・・・」
「・・・・・・・・・ぐすん」
「泣いた!? 」
いやいや、え? プレゼン内容しょぼくない!? 今時、高校生でももうちょっと良いプレゼンするよ?
「良いんですね。私のお願いをきいてくれないなら、私も最後の手段に出なければいけません。」
「な、なんだよ。呪ったりするのか?」
「そういうのは、出来ないので、四六時中、あなたの視界の隅っこで体育座りして睨んでます。」
「地味っ!」
予想以上にしょぼい嫌がらせだった。確かに嫌ではあるが・・・
こうなっては、仕方ない。古来より伝わる言葉に習って行動を起こすしかない。昔の人は言ったそうだ。
「世の中、逃げるが勝ち!」
俺は、急いで彼女から逃げる。流石に男子の全力疾走に勝てる女子もそう多くないだろう。勿論、自分も運動神経が抜群という訳ではないが、平均より少し上だ。女子にも早い人間はいるだろうが追いつけるはずは・・・
「な、なんで逃げるんですかぁ・・・」
追いかけてきていた。ていうか、浮いてませんか、あなた・・・
彼女の体は、地面に触れずにふわふわと浮いていた。まるで本物の幽霊や妖精のように・・・
「なんでもお前、浮いてんの!?」
「そりゃあ、妖精なんですから浮きますよ!」
なぜ、そのアピールを最初にしなかったのか・・・やっぱり、馬鹿・・・
「あ、それより、前! 前向いてください!」
「前・・・前って」
目の前にちょうど木があった。減速を始めても、もう遅い距離、まるで走馬灯のようにゆっくりと視界が進む。
あ、これ、ダメなやつじゃない・・・こんなことなら、もう少しちゃんと話を聞いてやるべきだったなんてことを思う。しかし、思考はゆっくりになっても体は全くの別で動いているかのように、凄まじい勢いで木にぶつかった。
全速力で木に激突した衝撃は、同時に身体中を木刀で殴りつけられたかのようだった。
身体中を走る激痛で立っていられなくなり、そのまま、倒れる。脳が揺れるのを感じる。世界が・・・揺れる・・・気持ち悪っ・・・
脳を直接揺さぶられているかのような、感覚
車酔いのような不快感が波のように何度も襲ってくる。最悪の気分だ。
そして、意識が遠のいていった。
ああ、散々な日だ・・・こんな事なら飲み会で酒を飲み続けて寝てしまった方が良かった。
0
あなたにおすすめの小説
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
【完結】年収三百万円台のアラサー社畜と総資産三億円以上の仮想通貨「億り人」JKが湾岸タワーマンションで同棲したら
瀬々良木 清
ライト文芸
主人公・宮本剛は、都内で働くごく普通の営業系サラリーマン。いわゆる社畜。
タワーマンションの聖地・豊洲にあるオフィスへ通勤しながらも、自分の給料では絶対に買えない高級マンションたちを見上げながら、夢のない毎日を送っていた。
しかしある日、会社の近所で苦しそうにうずくまる女子高生・常磐理瀬と出会う。理瀬は女子高生ながら仮想通貨への投資で『億り人』となった天才少女だった。
剛の何百倍もの資産を持ち、しかし心はまだ未完成な女子高生である理瀬と、日に日に心が枯れてゆくと感じるアラサー社畜剛が織りなす、ちぐはぐなラブコメディ。
視える僕らのシェアハウス
橘しづき
ホラー
安藤花音は、ごく普通のOLだった。だが25歳の誕生日を境に、急におかしなものが見え始める。
電車に飛び込んでバラバラになる男性、やせ細った子供の姿、どれもこの世のものではない者たち。家の中にまで入ってくるそれらに、花音は仕事にも行けず追い詰められていた。
ある日、駅のホームで電車を待っていると、霊に引き込まれそうになってしまう。そこを、見知らぬ男性が間一髪で救ってくれる。彼は花音の話を聞いて名刺を一枚手渡す。
『月乃庭 管理人 竜崎奏多』
不思議なルームシェアが、始まる。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ヤクザに医官はおりません
ユーリ(佐伯瑠璃)
ライト文芸
彼は私の知らない組織の人間でした
会社の飲み会の隣の席のグループが怪しい。
シャバだの、残弾なしだの、会話が物騒すぎる。刈り上げ、角刈り、丸刈り、眉毛シャキーン。
無駄にムキムキした体に、堅い言葉遣い。
反社会組織の集まりか!
ヤ◯ザに見初められたら逃げられない?
勘違いから始まる異文化交流のお話です。
※もちろんフィクションです。
小説家になろう、カクヨムに投稿しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。
カレンと晴人はその後、どうなる?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる