咲かない桜

御伽 白

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2章

Part 51 『フードの少女と逃走劇』

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 柏木さんと夜の8時に駅前で待ち合わせをした。講義が終わって帰る途中、右側にある小さな公園の方からあの嫌な異臭がした。

 最悪だ。と思いながらまだ気づかれていないだろうと姿勢を低くして足音を立てないように気をつける。

 すぐにでも逃げた方がいいのだが、なんとなく悪臭の元へ視線を向ける。そこには、醜穢とフードを被った少女が座り込んでいた。

 「え・・・?」

 フードを被った少女は、化物におびえた様子で後ずさっている。腰が抜けているのか立ち上がらずにいた。

 「もしかして・・・見えてるのか!?」
 
 明らかに見えていなければ出来ない反応に俺は慌てる。思考するよりも早く体は後先考えずに動いていた。あの化物の動きは全体的にぎこちないので今からなら間に合う。と後付けで理由をつけて少女の元へ駆け寄ると少女を抱き上げて走る。お姫様抱っこという奴だ。

 しかし、基本的に筋トレなどもしていない柔な体に少女を抱きかかえて走る筋力など望めない。けれど、無理矢理に体を動かして走る。減速した俺でも化物は追いつくことが出来ない。

 そのまま、俺は家とは反対方向へと走った。このまま、家に帰るわけにはいかない。あの化物をうちへと近寄らせるのは明らかに危険だ。

 それだけ分かっていたら十分と他には何も考えずに無我夢中で全力で俺は走った。 



 しばらく、走って醜穢が見えなくなるのを確認すると俺は、抱き上げていた少女を見る。

 少女を地面に立たせると力尽きる様に体の力が抜ける。荒くなる呼吸が一向に収まる気配がないし、春先なのに身体中が汗だくで気持ち悪くなるほど疲れた。

 心臓がこのまま早くなりすぎて死んでしまうのではないかと思うほどにドクドクとうるさいぐらい脈打っている。

 大学に入ってからこんなに疲れる事はそうはないだろう。駅伝でも走り終えたんじゃないかと思うほどに疲れている。勿論、走った距離なんかは駅伝の比じゃないのだが・・・

 「・・・・・・お兄さん・・・見えるの?」

 倒れ込んで息を切らす俺に連れてきた少女は声をかける。

 俺は、少女をこの時やっとハッキリと少女の姿を見たのだ。

 透き通った白に限りなく近い銀色の髪に対照的なほど真っ赤な瞳が俺の目に飛び込んでくる。

 外国人かと思ったけれど、かなり流暢に日本語を話すので日本人だろうか・・・

 「・・・・・・ああ、つい最近、見える様になったんだ・・・」

 俺がそう答えると少女は、「私以外にもいたんだ・・・」とどこかホッとした様に呟くのだった。
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