咲かない桜

御伽 白

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2章

Part 57 『告白』

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 「なんで、急に?」

 柏木さんが訳がわからないという表情を浮かべる。当然だと思う。俺は、彼女に何も説明していない。醜穢の事も俺が妖怪が見える事も何一つ伝えていないのだ。

 伝えるべきだろうか・・・そんな事が脳裏をよぎる。しかし、信じてもらえるかもわからない。やっぱりやめようかと思ったがきっと、表面上だけ説得しても彼女は、別の日に一人で街を散策しに来るだろう。

 喉に何かが引っかかっているかのように声が出ない。言った後の不安を考えると言わないほうがいいのではとすら思う。

 「さっきのことを気にしてるの? あれは、ただの事故だって、気をつければ別に・・・」

 柏木さんがそう言うのに咄嗟に「あれはただの事故じゃない!」と叫ぶように否定した。その後、馬鹿な自分を殴ってやりたい衝動にかられる。

 事情を説明しないのに今の発言は、悪手以外のなにものでもない。

 「どう言うこと? 何か知ってるの?」

 「えっと・・・」

 ここまで、来たら引き返せない。俺は一度、唾を飲み込んで意を決して話を始める。

 「もし、俺が幽霊とか妖怪とか見えるって言ったらどうします?」

 「見えるの?」

 「・・・えっと・・・・・・はい。」

 「そうなんだ。じゃあ、事故じゃないって言うのは、妖怪のしわさとかって事?」

 「妖怪というか、厳密には違うんですけど・・・。信じてくれるんですか?」

 「うん。分かった。信じる。」

 拍子抜けするほどあっさりと柏木さんは、俺の言葉を信じると言ってくる。表面上だけ信用している振りをしているんじゃないかとゲスな勘ぐりをしてしまう。

 「そんなあっさり・・・」

 「峰はそういう変な冗談言うタイプじゃないと思うし、峰、たまに独り言言ってるし」

 それに関しては、ただの癖の場合が多いんだけど・・・と思ったが今は言わないでおこうと思った。

 「それに峰が真剣なのは分かるから、それに魔女を探してるのに信じないのおかしいでしょ?」

 「それはそうですけど・・・」

 俺が不安になっていたのはなんだったのかと肩透かしを食らってしまった。

 でも、実際に考えてみれば、魔女を本気で探している人間が妖怪や幽霊の存在を信じないのは道理がおかしい。しかし、そうは言っても矛盾した思考を抱いてしまうのが人間というものだと思う。

 だけれど、そこまで信用してくれるのが嬉しくもあった。これで、柏木さんも身を引いてくれるそう思ったのだが、柏木さんは、俺にこう言った。

 「だけど、峰、私は、魔女を探すのは辞めないよ。」
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