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8章 ダンジョンを守れ ~異種族間同盟~

話とは

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「─────なるほど…………家族が人質に録られていた…………と。ウグイヴの砦の拡大、ポータルを途中で止めたりしたら魔法陣が作動して、家が爆破されると…………そう脅されたんだな? 誰にだ?」


 フウシは険しい表情でそう問うた。


「あ、ああ…………。それが、名前までは分からなくて…………ただ、分かったのは、俺達と同じハイエルフ族だったということだけだ。それ以外は、ほ、本当にそれだけなんだっ。頼む、信じてくれ」


 もう身体中から冷や汗を流しながらそう言った。これは、とても嘘を言っている人の態度には見えない。もし、先程のことが真実なら…………。


「まずは、お前達の家族をどうにかしないとまずい……………」


 そう。魔法陣が仕掛けられているのなら、二人の家族が危ないのだ。どうにかして対処する必要があるだろう。もしも真実なら、であるが……………。


「……………本当なのかしら?」


 ミドクはなおも疑ってかかる。やはり完全には信じきれないようだ。


「ミドクさん。取り敢えず、行ってみてから考えましょう」


 レクスがそう提案した。ここで考えていても埒が明かないし、刻一刻と時間が過ぎていくだけだ。行って確かめた方が早いだろう。


「…………そうね。もしも本当なら、取り返しのつかないことになる。確かめてからでも遅くはないわね。ほら、早く家族の元に案内しなさい」


 二人の男はミドクの言葉にあ、ありがとうございますぅ! ありがとうございますっ!! と頭を地面に強く打ち付けながら下げ続けたのだった。



◇◆◇◆◇


「こ、ここです…………」


 まずはユガンの家から。ユガンの家は、藁葺きにも似たような構造であり、見た目もあまり上品とは言えない。しかし、周辺の家々を見ても、同じようなものなので、これが一般的なものなのだろう。


「まずは魔法陣の確認からね……………どういうものか分からないと、対処しようがないからね」


 ミドクはそう言うと、地面に手をかざし、呪文を唱える。


「chekgonig, reghuret 『golinb魔法陣反映』」


 ミドクがそう唱えると、突如、青色の魔法陣が浮き出し──────三段にも及ぶ魔法陣が構築されていた。


「……………どうやら本当みたいね。ウグイヴの砦の拡大停止、ポータルの動作停止のどちらかを満たした場合、この魔法陣は起動して─────爆発する。しかも、この辺り一帯が吹き飛ぶくらいの威力。これはまずいわ。早く解除しないと…………」


 加えて、二人は今、ウグイヴの砦にいない。ということは、ウグイヴの砦の拡大が少しずつ止まってきているはず。早くしなければ、魔法陣が起動して、爆発してしまう。


「しかも、この魔法陣の感じからして、残り時間が少ないようだし…………。フウシ、ワチも。手伝ってくれる?」


「了解」


「ふっ…………任せろ」


 フウシとワチはそう言うと、魔法陣の分解に取り掛かる。周りの人も、なんだなんだ、と野次馬の如く押し寄せてきているが、気にしない。


「ミドクさん、僕達はもう一つの魔法陣の方へ行ってみます。分解できるか、分かりませんが……………」


 レクスは苦笑しながらそう言った。ここで突っ立っているだけで何もしないというのは一番よくない。というか、嫌なのだ。何か役に立ちたい。


「……………あまり無茶はしないでね。無理だと思ったら、すぐにやめること。魔法陣が余計に複雑になっちゃったら、まずいからね」


 
「うん、分かった。イルミ、行こ」


「う、うん……………」


 レクスはイルミの手を引いて、魔法陣があるというもう一つの家へと向かうのだった。
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