67 / 72
67.残酷な罰に釣り合うほど罪が重い
しおりを挟む
ブラッドリー王家に伝わる処刑方法が用いられる。これは王族を害したり殺した者に適用されてきた。この国の王家が滅びたことへの適用ではなく、王孫グロリアの首を刎ねた原因であったことへの罰よ。
第二王子メレディスはよく言えば真っ直ぐ、一般的にはおバカだった。自尊心だけ高く能力が伴わないタイプで、努力も嫌いだ。そんな彼が、自分より評価される婚約者の私を疎ましく思うのは当然よ。その心を利用して、私を殺すよう焚き付けた。
実の娘である聖女リリアンを利用して……王位簒奪を目論むため。くだらない妄想のせいで、私の名誉が穢され命を奪われたなんて。腹立たしいにも程があるわ。
「処刑の実行を許可する」
ママの冷えた声に、兵士が動き出した。用意されたのは公開処刑用の檻だ。中に彼らは身ひとつで投げ出される。靴も服もすべて剥ぎ取られた。
扉を閉めて鍵をかけ、兵士が四隅に立った。これは民が暴走して、罪人を殺さないようにするため。簡単に死なせてあげないのが、ブラッドリーの処刑なの。まずは誘拐で我が子を奪われた親が壇上に上がり、渡された棒で檻の外から罪人を追い回す。
怒りの形相や憎しみを込めた眼差しに囲まれ、逃げ場はなかった。叩かれて反対へ逃げれば、そちら側から報復を受ける。何度も繰り返される痛みに、やがて頭を抱えて動かなくなった。
槍を手にした女性達の集団と交代する。ここからは血生臭い攻撃が続く。集中する攻撃は、男の象徴で……あっという間にずたずたに裂かれた。それぞれの痛みを、思い知らせるための罰だ。無理やり犯された女性の痛みや苦しみを、槍に込める。
我が子を失った親が最初に棒を振りかざすが、彼らは最後に息の根を止める権利も持っていた。ここにパパとママも乱入するつもりらしい。にぃには悔しいけれど譲ると苦笑いする。
「参加しなくていいの?」
「ああ、メイベルとグロリアを守る方が性に合ってる」
冷めた言葉の割りに、残念そうに処刑を眺めるにぃに。ママが席を外すのは明日になる。明日はにぃにのお膝に座ろうかな。
下半身をズタズタにされた二人は、一時的に止血の処置を施される。簡単に死なれたら意味がないんだ。大量の税で苦しんだ民は、朝まで石を投げる。奪われた財産の分だけ、小石を投げる権利を得たのだ。ちゃんと朝まで息をさせておくことが、兵士の役割だった。
「見守りの人が大変だから、差し入れしてね」
「まぁ、グロリアは本当にいい子だわ。もちろんよ、手配しましょうね」
ママは穏やかに同意する。聞こえる悲鳴や嘆願の声に耳を傾けることはない。それは私達も同じだった。
ママの魔力暴走ですり潰されて死ぬのと、こうして苦しんで死ぬの。どっちがマシなんだろう。そう呟いたら、パパがさらりと答えた。
「アディントンの方が恵まれている。少なくとも死ねば終わりだからな」
あ、そうか。ママが潰したメレディスや王族は、再生するまで百年単位で苦しむんだっけ。すっかり忘れてた。
第二王子メレディスはよく言えば真っ直ぐ、一般的にはおバカだった。自尊心だけ高く能力が伴わないタイプで、努力も嫌いだ。そんな彼が、自分より評価される婚約者の私を疎ましく思うのは当然よ。その心を利用して、私を殺すよう焚き付けた。
実の娘である聖女リリアンを利用して……王位簒奪を目論むため。くだらない妄想のせいで、私の名誉が穢され命を奪われたなんて。腹立たしいにも程があるわ。
「処刑の実行を許可する」
ママの冷えた声に、兵士が動き出した。用意されたのは公開処刑用の檻だ。中に彼らは身ひとつで投げ出される。靴も服もすべて剥ぎ取られた。
扉を閉めて鍵をかけ、兵士が四隅に立った。これは民が暴走して、罪人を殺さないようにするため。簡単に死なせてあげないのが、ブラッドリーの処刑なの。まずは誘拐で我が子を奪われた親が壇上に上がり、渡された棒で檻の外から罪人を追い回す。
怒りの形相や憎しみを込めた眼差しに囲まれ、逃げ場はなかった。叩かれて反対へ逃げれば、そちら側から報復を受ける。何度も繰り返される痛みに、やがて頭を抱えて動かなくなった。
槍を手にした女性達の集団と交代する。ここからは血生臭い攻撃が続く。集中する攻撃は、男の象徴で……あっという間にずたずたに裂かれた。それぞれの痛みを、思い知らせるための罰だ。無理やり犯された女性の痛みや苦しみを、槍に込める。
我が子を失った親が最初に棒を振りかざすが、彼らは最後に息の根を止める権利も持っていた。ここにパパとママも乱入するつもりらしい。にぃには悔しいけれど譲ると苦笑いする。
「参加しなくていいの?」
「ああ、メイベルとグロリアを守る方が性に合ってる」
冷めた言葉の割りに、残念そうに処刑を眺めるにぃに。ママが席を外すのは明日になる。明日はにぃにのお膝に座ろうかな。
下半身をズタズタにされた二人は、一時的に止血の処置を施される。簡単に死なれたら意味がないんだ。大量の税で苦しんだ民は、朝まで石を投げる。奪われた財産の分だけ、小石を投げる権利を得たのだ。ちゃんと朝まで息をさせておくことが、兵士の役割だった。
「見守りの人が大変だから、差し入れしてね」
「まぁ、グロリアは本当にいい子だわ。もちろんよ、手配しましょうね」
ママは穏やかに同意する。聞こえる悲鳴や嘆願の声に耳を傾けることはない。それは私達も同じだった。
ママの魔力暴走ですり潰されて死ぬのと、こうして苦しんで死ぬの。どっちがマシなんだろう。そう呟いたら、パパがさらりと答えた。
「アディントンの方が恵まれている。少なくとも死ねば終わりだからな」
あ、そうか。ママが潰したメレディスや王族は、再生するまで百年単位で苦しむんだっけ。すっかり忘れてた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
578
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる