僕の番が怖すぎる。

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三章 遂に禍の神にまで昇華される

Noël のお祝いをあいつにする。

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 ご覧頂きありがとうございます。
 マリーの心の声が今回からより百合に近くなっています。
 ───────────



 上品な貴婦人が白の混じった金髪をきれいに結い上げ、仕立ての良いドレスシャツにきちんとプレスの効いたパンツ、踵の高めのパンプスで隙なく装う。

 歳を重ねても履いた靴のヒールの高さは相変わらずで、少しばかり心配になるが、彼女曰く『これはわたくしが強くある為に必要なのです。』とお洒落に興味がなさすぎる僕にお説教した時のことが蘇る。

 両手を広げ、子どもたちを迎え入れ、抱きしめ頬にキスをする。

「ランディ、コリン、いらっしゃい。…マリーもおかえりなさい。」
「お祖母様お久しぶりです。」「ツェツィーリエさん、お世話になります。」

 息子たちが彼女に挨拶する。
 ランディもこちらでは粗野な言葉遣いはしないのでそのへんは安心できる。

 彼らを抱きしめたままこちらを見つめる彼女に会釈して、挨拶をする。

「……ただいま戻りました。お母様。」

 前世の父たちの様に厳しく煩い彼女が、僕は以前苦手であった。


 15時間以上のフライトに車で数時間かけて帰宅した、マリーの実家。
 ここら一体は僕の家の様に昔は貴族であり、ワインを作っていた者たちの末が多数住んでいる。

 小高い場所に建った家は、所謂『城』であり、家から見えるぶどう畑などが僕の庭だった。

 昔は外に出ることもなく、もっとお姫様のように育てられた僕にとって、今の生の環境は悪くなかった。

 
 ◇◇◇


 実家に滞在して数日…

 Noëlクリスマスの日、家の中にある聖母像の前で祈りを捧げる。

 母はいつも僕の花…lis百合を捧げている。

『神』など好きではないし、こちらのそれを信じてなどいないが、これは小さな頃からの刷り込みや習慣などでずっとしていることだった。

 手を組み目を瞑り祈るこの時も、雑念が入りあいつを思い出す。

 (今日はあいつの誕生日だ。後でお祝いをしてやろう。
 届くか分からないけど、【交心テレパス】であいつに乾杯してやろう。)


                               ◇


 ───それが終わり、家族たちでダイニングに集まり、食事の時間になった。

 子どもたちはサーブする側にまわり、可愛がってくれる大叔父や祖父母、使用人たちにキスを受けている。

 私はワインを飲みつつ、彼らの様子を見る。

「お祖母様、僕もこれを頂いてよろしいですか?」
「えぇ、良いわよランディ。コリンもどうぞ。」
「ありがとうございます、ツェツィーリエさん。」

 レバーパテの乗ったバゲットを「あーん」してもらい食べている。

 (あ!ランディ、それは僕の好物だから食べ過ぎちゃ食べちゃ駄目だぞ!!)

 僕の視線に気づきこちらを見た息子は 『やれやれお袋は仕方ねーな』というようなそんな顔をしている。

「コリンはいかが?」
「僕、それ嫌い!」
「お前は何でも嫌いだからそれはよろしく無い。」

 いつぞやの誰かのセリフに似たことを我が子は番に言っている。

 彼らはいつも一緒で本当に仲が良い。

 いつの間にか番ってしまったが、これも『運命』なら仕方がないのだろうか?

 ルビー色のワインの入ったグラスを軽く揺らし、ボーッとしていると叔父が話しかけてきた。

「おやまぁ、マリーなんだか元気がないね?シュテンのことを思い出したのかい?」

 父の弟のこの叔父は、こちらの世界での僕の最初の理解者で、初めてあちらの話をした相手だ。

「前世とか本当に信じているのか?エティエンヌ。」
「ガヴ、この子の言うことは本当だよ?」
「はぁ…お前の頭がおかしくなったのかと僕は心配したんだけどな。」

 叔父のエティエンヌとガヴこと、ガヴリエルは恋人だ。
 イタリアで神学校に通っているときに叔父は運命の出会いをして、当時画家として勉強に来ていたガヴリエルと結ばれた。
 柔らかい物腰の叔父に、いつまでも若者の様に未成熟で気まぐれなガヴ。

 そう、彼らはゲイだ。

 それがあったから幼い僕は彼らと仲良くなり、あちらの話をしてしまったのだ。

 案外陽気にこちらの禁忌tabooを軽く話す彼らに僕は驚いた。
 ガチガチのカトリック教徒かと思えば、父も母も叔父でさえ今はなんか違う。
 なんだか僕のせいでこうなったなら申し訳ないのだけれど、こういう時代の流れとか『運命の恋』には逆らえない!という母などがツワモノだったということだろう。

 叔父とガヴは、僕を支援してくれ、アメリカにて医学を学べるように手配してくれた。
 医学研究者のコリンの父母と知り合えたのも、母とコリンの祖母が連絡を取ってくれたことだったし、案外僕は可愛がられていたことを知った。

 飛行機のチケットと、アパートを一月ほど借りれるくらいの金しか渡してくれなかったが、その方が本気になるだろうと後々言ってくれた。
 確かにそうだが…前世も傅かれ、今もお嬢様育ちの僕には些か辛かった。


「「おやすみなさい!」」


 そうこうするうちに子どもたちは就寝でダイニングを後にする為、僕たちにキスをしておやすみの挨拶をし、早々に去ってしまった。

 ここからは毎年彼らに僕があいつとの思い出を語る時間だ。

 使用人たちも酒やフィンガーフードにお菓子など、なにか摘むものを持ってきて、
 皆が僕を見てゴクリと喉を鳴らした。

 ──「以前、酒呑童子シュテンドウジの話をして、私と夫が【域】で生活を始めた話までしたよね?」

《えぇ、マリーわたくしは早く続きが知りたいわ!運命の恋人…夫婦だったわね。
その歩みを知りたいわ!》

 (夫夫ふうふだけどね…ママ。
 彼女はかなりのロマンチストで恋愛小説などが大好きだ。
 それを知ったのはここ数年でのこと。それ以来、あいつとの話をせがまれて参っている。)

《私は沢山の子供たちの話を聞きたいね。》 
 
 (僕以外に他に子供が欲しかったって何度も言っていたからね、パパは。
 父は温厚で、前世の父様とは全く違うタイプの人だ。
 こんなにも穏やかで優しく、知的な大人の人には初めて出会った。
 あちらは【赤】が多くて脳筋ばかりだ。
 何となくその優しさがあいつを思い出させて、寂しくなることもあり、小さい頃は苦手だった。)

《どんな生活かも気になるね?文化とか芸術とか。》

 (ガヴ、あなたは本当に興味のあることしか気にしなくて無礼だけど、そのへんはαの気質によく似ているよ!
 あちらならあなたは間違いなくαになりそうだね。)

《さぁ、マリー私達に聞かせてくれるかい?
 凄く怖いけれど、とても優しくて百合Lisをとても愛したシュテンの事を。》

 (そして、この集まりを一番最初に設けた叔父様。僕に変わってこのワイナリーの経営をパパとしている。
 ランディが継ぐかはわからないが、叔父様のおかげで僕は好きなことができた。)

 
 うん、それじゃあ…朱点と百合の二番目と三番目の子供のについて話していくよ。
 前にちょっと話したけれど、この話はあの子達・・・・とも深く関わる話だよ…


 
 ───────────
 三章も良ければお付き合いください。
 
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