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第一章 呉開陽高校艦船動態保存課
第三話 戦闘始め!
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瀬戸内海を出た艦隊は、会敵予想地点の徳島県沖にさしかかった。
今回のデモ航海では、まずは急降下爆撃機と戦闘機、攻撃機相手の対空戦闘。そこからしばらく行った後に相手との砲雷撃戦が待っている。
わたしと永信の間に、またポワンとした光が出現した。今度は、二人出てくる。
「ただいま戻りました~!」
片方は、いつものごとく陽炎。もう一人、帝国海軍の軍服に身を包んだ女の子がいた。
「・・・・・失礼します。」
小さいけど、はっきりとよくとおる声で言うと、海軍式の敬礼をした。丸っこい目は、しっかりとわたしを見ている。
わたしが「楽にしていいよ。」と手で合図すると、うなずいて手を下した。ヘアゴムでツインテールに束ねられた肩ぐらいまで伸ばした髪がうなずくたびに後ろでぴょこぴょことはねる。
この子が大淀型一番艦「大淀」艦魂の大淀だ。普段は物静かだけど、いざというときにはできる子。頼りになるもと連合艦隊旗艦だ。
観覧者の皆さんが艦橋から出ていく。これから始まる対空戦闘を甲板から間近で見ようということらしい。
艦橋の中には、わたしたち乗組員と、艦魂である陽炎、大淀が残された。
「・・・・・・・実と・・・・・・永信は、つきあってるの?」
「えっ!?なに!?そんなんじゃないよ!何言ってるの、大淀。」
「え!?僕がこいつと!?ありえないあり得ない!」
わたしと永信は速攻で否定する。
「だって…・・仲いいから・・・・・」
大淀がこっちに近寄ってくる。
「本当に、何にもないの?」
『何もない何もない』
プルプルと首を横に振る。
その時、見張りのクラスメートの声が響いた。
「敵機発見!数およそ五十!十一時の方角!」
即座に全員に指令を出す。
「総員配置!対空戦闘用意!機銃、主砲、撃ち方用意!」
みんなが艦内を走り回り、それぞれの持ち場についた。主砲がうなりを上げて旋回する。
敵機はアメリカ製の艦爆「ダグラスSBDドーントレス」と「TBFアヴェンジャー」。護衛として、「チャンス・ヴォートF4Uコルセア」がついているようだ。
グオォォォォォォン!
「敵機直上!」
見張り員が叫ぶ。ドーントレスが降下に向けてエレベータとエルロンを切り、ダイブブレーキを展開したのが分かった。
「急降下!」
「主砲、対空機銃、撃ち方はじめっ!」
敵機が模擬爆弾を抱いて急降下する。艦すれすれまで来たところで、爆弾を切り離そうとした。そのタイミングで、操舵手に指示を出す。
「取り舵いっぱぁい!」
陽炎が思いっきり左に曲がる。爆弾は目標を失って海中に没した。
(森下のおっちゃんの教えがこんなところで役立つとはね。)
わたしは、とあるおじいさんの顔を思い出していた。
わたしは、みんなから「今の一年で一番操艦がうまいやつ」と言われているらしい。「ヤバい位操艦がうまいヤツがいる」と先輩の間で噂されていることも永信から聞いた。
この私に軍艦の操り方を教えてくれたのは、近所に住んでいたおじいさんだった。わたしと永信は普通に家にお邪魔してお話を聞いていたけれど、知る人ぞ知る名艦長で、あの戦艦「大和」の艦長をしていたこともあったらしい。
今も目を閉じれば、あの森下のおっちゃんの家の居間が目に浮かんでくる。あの煙草の煙の臭いも、訪ねるたびに飲ませてくれたラムネの味も・・・・・・・・
その人の名前は、森下信衛。わたしと永信の操艦の師匠であり、戦史研究家でその名を知らぬ者はいないというほどの名艦長だ。
「簡単なこと、相手が爆弾を離した瞬間転舵すれば必ず外れる!」
これが、森下のおっちゃんから教わった爆弾回避法だ!
「敵艦攻、接近!魚雷投下!」
「面舵いっぱぁーい!」
今度は右に転舵して、魚雷をかわす。魚雷は船の右側を通り抜けた。
タタタタタタタタタタタタタタタタタ!
対空機銃は上空の敵機に向けてペイント弾を発射し続け、敵機の一部は大量のペイント弾を受けて撃墜判定となる。
ヴァラララララララララ・・・・・・・・・!
飛行機たちが引き上げていった。甲板上の観覧客から拍手が上がる。
各艦それぞれが反撃を終え、また元の単縦列陣に戻った。
「いいとこ見せられてよかったね。」
永信がこっちを向いて笑いかけてきた。
その笑顔に、不覚にも胸がドキッとする。
「フン!別にわたしはそんなこと考えてなかったし!それより、この後の砲雷撃戦のほうが見せ場なんだからっ!これくらいでニヤニヤするんじゃない!」
ツンとそっぽを向いて永信に返す。だって、今永信のほうを見たら、顔が真っ赤なのがわかっちゃうじゃん・・・・・・・・・・・
僕―神崎永信は、そっと隣にいる初霜実の顔を見た。
(あんまり意識しなかったけど、結構かわいいんだよな、実って・・・・・・・・・)
形のいい鼻に大きいアーモンド形の目。その瞳の色は、きれいなとび色だ。真っ白なセーラー服の呉開陽高校制服がよく似合っていた。
性格は、ちょっとツンツンしているけど、同学年の間では「ツンデレでかわいい」とか言われている・・・・・・・幼馴染の僕からしたらただの「ツン」でしかないと思うけど。
(・・・・・・・そんなこと言ったら、実に吹っ飛ばされるな。)
つまり、結構たくさんの男たちがこいつを狙ってるってことだ。こいつのことだから、全員ふってるみたいだけど・・・・・・・・
(実って、やっぱりかわいいな・・・・・・・・彼氏とかいるのかな・・・・)
僕は目をそらすと、目の前の見張りに専念した。
空襲から一時間後・・・・・・・・・・
「敵艦隊発見!数およそ十!空母一、軽巡、重巡合わせて六駆逐艦三!こちらには気づいていない様子!」
見張り担当の美月が叫ぶ。
先頭を行く鳥海のマストにZ旗が揚がった。
「皇国の興廃此の一戦にあり、各員一層奮励努力せよ。だね。艦長、指示を」
永信が言う。
「総員配置!砲雷撃戦用意!主砲、撃ち方用意!」
鳥海からの無線が入る。
《各艦砲雷撃戦用意!狙うは空母だ!》
北上先生の声が聞こえてくる。
「こちらは陽炎、艦長初霜実。了解しました!」
無線装置のマイクに向かって叫ぶ。
その時、艦内電話が鳴った。
「こちら砲術科。主砲発射準備完了しました」
さらにもう一つ。
「こちら水雷科。魚雷装填完了。いつでも撃てます」
「了解!指示があるまで待機!」
指示を返して先方に向き直る。
敵艦を主砲の射程距離内に収めた。でも、どんどん近づいていく。
《こちら鳥海、各艦攻撃を開始せよ!》
待ってました!
鳥海からの無線指示、わたしは永信に指示を出した。
「主砲、撃ち方用意!大物を狙いなさい!できれば空母!」
グィィィィィィィィィィィィィン!
主砲が旋回を始めた。
「まずは周りの重巡と駆逐を蹴散らして!」
「了解!」
主砲の旋回が終わり、照準が済んだところで射撃が始まる。
ドーン!
主砲から火炎が吐き出された。砲身が水平に戻り、また仰角を付けて発射される。
「弾―っ着!」
永信が双眼鏡をのぞき込んでストップウォッチを操作した。
「命中弾なし!」
「敵は回避運動を取っている模様!艦載機の発艦準備も進んでおります!」
監視員が叫ぶ。
「対空戦闘用意!早く目標に照準を合わせて!艦載機を発艦させるな!」
わたしが号令をかける。
「飛行甲板に照準を合わせて!空母は飛行甲板さえ破壊すればただのフネよ!」
「了解!」
インカムから聞こえてくる砲術長の声。
「砲門開け!目標は敵空母飛行甲板!」
「了解!」
グオォォォォォォン!
主砲が敵空母に向かって旋回を始める。さらに仰角がつき、完全に敵空母に照準があった。もちろん、敵もこっちも動いてる。
「まずは砲戦で弱らせて、最期に魚雷でとどめを刺す・・・・・・・・・!」
わたしはつぶやくと、砲術長の返答を待った。
「了解・・・・・・」
わたし―「陽炎」砲術長永野美月は射撃装置のファインダーを両目でのぞき込むと、用心金に指をかけた。
「照準完了!第一砲塔準備よし!」
「第二砲塔同じく!」
「第三砲塔も準備完了!」
わたしが声をかけると、他の砲術士たちの声も帰ってくる。今回は、引き金を引けば連装砲塔の二門すべてが発車されるようにしてある。
ピッ!
インカムが鳴り、実ちゃんからの指示が来る。
《こちら初霜実!撃ち方始め!》
「撃ち―方―始め―!」
復唱すると、引き金を引いた。
カチッ・・・・・・・・・・・・
ドォォォォォォォォォォォォォン!
引き金を引くと同時に大音響が響き渡る。
ドォォォォォォォォォォォォォン!ドォォォォォォォォォォォォォン!
ほかの二基も主砲を発射した。
《装填完了!》
「撃――――――ッ!」
カチッ!
ドォォォォォォォォォォォォォン!
砲塔からの連絡と同時に再び引き金を引いて発射!陽炎型は毎分十発の連射能力を持っている。
「絶対に、空母を沈める!」
わたしは照準ファインダーに写る敵空母を見据えると、言い放った。
「ふぅん、なかなかやるじゃない・・・・・・」
米海軍動態保存空母「イントレピッド」艦橋。
わたし―「イントレピッド」艦長のアマンダ・サトウ中佐は攻撃をかけてくる日本艦隊を見ながらつぶやく。
「でも、そうやすやすとは沈まないわよ・・・・・・」
右手を上げると、一気に振り下ろした。
「全機発艦!敵艦隊を叩きなさい!」
「了解しました!艦長!」
ヴァラララララララララ・・・・・・・・・!
エンジンを響かせて艦載機が発艦していく。
「やってくれるわね・・・・・・・・初霜実!」
わたしは最も果敢に攻撃をかけているであろう駆逐艦を見据えると、言い放った。
「護衛駆逐艦『サミュエル・B・ロバーツ』に『陽炎』の迎撃を命じなさい!」
今回のデモ航海では、まずは急降下爆撃機と戦闘機、攻撃機相手の対空戦闘。そこからしばらく行った後に相手との砲雷撃戦が待っている。
わたしと永信の間に、またポワンとした光が出現した。今度は、二人出てくる。
「ただいま戻りました~!」
片方は、いつものごとく陽炎。もう一人、帝国海軍の軍服に身を包んだ女の子がいた。
「・・・・・失礼します。」
小さいけど、はっきりとよくとおる声で言うと、海軍式の敬礼をした。丸っこい目は、しっかりとわたしを見ている。
わたしが「楽にしていいよ。」と手で合図すると、うなずいて手を下した。ヘアゴムでツインテールに束ねられた肩ぐらいまで伸ばした髪がうなずくたびに後ろでぴょこぴょことはねる。
この子が大淀型一番艦「大淀」艦魂の大淀だ。普段は物静かだけど、いざというときにはできる子。頼りになるもと連合艦隊旗艦だ。
観覧者の皆さんが艦橋から出ていく。これから始まる対空戦闘を甲板から間近で見ようということらしい。
艦橋の中には、わたしたち乗組員と、艦魂である陽炎、大淀が残された。
「・・・・・・・実と・・・・・・永信は、つきあってるの?」
「えっ!?なに!?そんなんじゃないよ!何言ってるの、大淀。」
「え!?僕がこいつと!?ありえないあり得ない!」
わたしと永信は速攻で否定する。
「だって…・・仲いいから・・・・・」
大淀がこっちに近寄ってくる。
「本当に、何にもないの?」
『何もない何もない』
プルプルと首を横に振る。
その時、見張りのクラスメートの声が響いた。
「敵機発見!数およそ五十!十一時の方角!」
即座に全員に指令を出す。
「総員配置!対空戦闘用意!機銃、主砲、撃ち方用意!」
みんなが艦内を走り回り、それぞれの持ち場についた。主砲がうなりを上げて旋回する。
敵機はアメリカ製の艦爆「ダグラスSBDドーントレス」と「TBFアヴェンジャー」。護衛として、「チャンス・ヴォートF4Uコルセア」がついているようだ。
グオォォォォォォン!
「敵機直上!」
見張り員が叫ぶ。ドーントレスが降下に向けてエレベータとエルロンを切り、ダイブブレーキを展開したのが分かった。
「急降下!」
「主砲、対空機銃、撃ち方はじめっ!」
敵機が模擬爆弾を抱いて急降下する。艦すれすれまで来たところで、爆弾を切り離そうとした。そのタイミングで、操舵手に指示を出す。
「取り舵いっぱぁい!」
陽炎が思いっきり左に曲がる。爆弾は目標を失って海中に没した。
(森下のおっちゃんの教えがこんなところで役立つとはね。)
わたしは、とあるおじいさんの顔を思い出していた。
わたしは、みんなから「今の一年で一番操艦がうまいやつ」と言われているらしい。「ヤバい位操艦がうまいヤツがいる」と先輩の間で噂されていることも永信から聞いた。
この私に軍艦の操り方を教えてくれたのは、近所に住んでいたおじいさんだった。わたしと永信は普通に家にお邪魔してお話を聞いていたけれど、知る人ぞ知る名艦長で、あの戦艦「大和」の艦長をしていたこともあったらしい。
今も目を閉じれば、あの森下のおっちゃんの家の居間が目に浮かんでくる。あの煙草の煙の臭いも、訪ねるたびに飲ませてくれたラムネの味も・・・・・・・・
その人の名前は、森下信衛。わたしと永信の操艦の師匠であり、戦史研究家でその名を知らぬ者はいないというほどの名艦長だ。
「簡単なこと、相手が爆弾を離した瞬間転舵すれば必ず外れる!」
これが、森下のおっちゃんから教わった爆弾回避法だ!
「敵艦攻、接近!魚雷投下!」
「面舵いっぱぁーい!」
今度は右に転舵して、魚雷をかわす。魚雷は船の右側を通り抜けた。
タタタタタタタタタタタタタタタタタ!
対空機銃は上空の敵機に向けてペイント弾を発射し続け、敵機の一部は大量のペイント弾を受けて撃墜判定となる。
ヴァラララララララララ・・・・・・・・・!
飛行機たちが引き上げていった。甲板上の観覧客から拍手が上がる。
各艦それぞれが反撃を終え、また元の単縦列陣に戻った。
「いいとこ見せられてよかったね。」
永信がこっちを向いて笑いかけてきた。
その笑顔に、不覚にも胸がドキッとする。
「フン!別にわたしはそんなこと考えてなかったし!それより、この後の砲雷撃戦のほうが見せ場なんだからっ!これくらいでニヤニヤするんじゃない!」
ツンとそっぽを向いて永信に返す。だって、今永信のほうを見たら、顔が真っ赤なのがわかっちゃうじゃん・・・・・・・・・・・
僕―神崎永信は、そっと隣にいる初霜実の顔を見た。
(あんまり意識しなかったけど、結構かわいいんだよな、実って・・・・・・・・・)
形のいい鼻に大きいアーモンド形の目。その瞳の色は、きれいなとび色だ。真っ白なセーラー服の呉開陽高校制服がよく似合っていた。
性格は、ちょっとツンツンしているけど、同学年の間では「ツンデレでかわいい」とか言われている・・・・・・・幼馴染の僕からしたらただの「ツン」でしかないと思うけど。
(・・・・・・・そんなこと言ったら、実に吹っ飛ばされるな。)
つまり、結構たくさんの男たちがこいつを狙ってるってことだ。こいつのことだから、全員ふってるみたいだけど・・・・・・・・
(実って、やっぱりかわいいな・・・・・・・・彼氏とかいるのかな・・・・)
僕は目をそらすと、目の前の見張りに専念した。
空襲から一時間後・・・・・・・・・・
「敵艦隊発見!数およそ十!空母一、軽巡、重巡合わせて六駆逐艦三!こちらには気づいていない様子!」
見張り担当の美月が叫ぶ。
先頭を行く鳥海のマストにZ旗が揚がった。
「皇国の興廃此の一戦にあり、各員一層奮励努力せよ。だね。艦長、指示を」
永信が言う。
「総員配置!砲雷撃戦用意!主砲、撃ち方用意!」
鳥海からの無線が入る。
《各艦砲雷撃戦用意!狙うは空母だ!》
北上先生の声が聞こえてくる。
「こちらは陽炎、艦長初霜実。了解しました!」
無線装置のマイクに向かって叫ぶ。
その時、艦内電話が鳴った。
「こちら砲術科。主砲発射準備完了しました」
さらにもう一つ。
「こちら水雷科。魚雷装填完了。いつでも撃てます」
「了解!指示があるまで待機!」
指示を返して先方に向き直る。
敵艦を主砲の射程距離内に収めた。でも、どんどん近づいていく。
《こちら鳥海、各艦攻撃を開始せよ!》
待ってました!
鳥海からの無線指示、わたしは永信に指示を出した。
「主砲、撃ち方用意!大物を狙いなさい!できれば空母!」
グィィィィィィィィィィィィィン!
主砲が旋回を始めた。
「まずは周りの重巡と駆逐を蹴散らして!」
「了解!」
主砲の旋回が終わり、照準が済んだところで射撃が始まる。
ドーン!
主砲から火炎が吐き出された。砲身が水平に戻り、また仰角を付けて発射される。
「弾―っ着!」
永信が双眼鏡をのぞき込んでストップウォッチを操作した。
「命中弾なし!」
「敵は回避運動を取っている模様!艦載機の発艦準備も進んでおります!」
監視員が叫ぶ。
「対空戦闘用意!早く目標に照準を合わせて!艦載機を発艦させるな!」
わたしが号令をかける。
「飛行甲板に照準を合わせて!空母は飛行甲板さえ破壊すればただのフネよ!」
「了解!」
インカムから聞こえてくる砲術長の声。
「砲門開け!目標は敵空母飛行甲板!」
「了解!」
グオォォォォォォン!
主砲が敵空母に向かって旋回を始める。さらに仰角がつき、完全に敵空母に照準があった。もちろん、敵もこっちも動いてる。
「まずは砲戦で弱らせて、最期に魚雷でとどめを刺す・・・・・・・・・!」
わたしはつぶやくと、砲術長の返答を待った。
「了解・・・・・・」
わたし―「陽炎」砲術長永野美月は射撃装置のファインダーを両目でのぞき込むと、用心金に指をかけた。
「照準完了!第一砲塔準備よし!」
「第二砲塔同じく!」
「第三砲塔も準備完了!」
わたしが声をかけると、他の砲術士たちの声も帰ってくる。今回は、引き金を引けば連装砲塔の二門すべてが発車されるようにしてある。
ピッ!
インカムが鳴り、実ちゃんからの指示が来る。
《こちら初霜実!撃ち方始め!》
「撃ち―方―始め―!」
復唱すると、引き金を引いた。
カチッ・・・・・・・・・・・・
ドォォォォォォォォォォォォォン!
引き金を引くと同時に大音響が響き渡る。
ドォォォォォォォォォォォォォン!ドォォォォォォォォォォォォォン!
ほかの二基も主砲を発射した。
《装填完了!》
「撃――――――ッ!」
カチッ!
ドォォォォォォォォォォォォォン!
砲塔からの連絡と同時に再び引き金を引いて発射!陽炎型は毎分十発の連射能力を持っている。
「絶対に、空母を沈める!」
わたしは照準ファインダーに写る敵空母を見据えると、言い放った。
「ふぅん、なかなかやるじゃない・・・・・・」
米海軍動態保存空母「イントレピッド」艦橋。
わたし―「イントレピッド」艦長のアマンダ・サトウ中佐は攻撃をかけてくる日本艦隊を見ながらつぶやく。
「でも、そうやすやすとは沈まないわよ・・・・・・」
右手を上げると、一気に振り下ろした。
「全機発艦!敵艦隊を叩きなさい!」
「了解しました!艦長!」
ヴァラララララララララ・・・・・・・・・!
エンジンを響かせて艦載機が発艦していく。
「やってくれるわね・・・・・・・・初霜実!」
わたしは最も果敢に攻撃をかけているであろう駆逐艦を見据えると、言い放った。
「護衛駆逐艦『サミュエル・B・ロバーツ』に『陽炎』の迎撃を命じなさい!」
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