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第一章 呉開陽高校艦船動態保存課
第五話 帰投
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「両舷前進微速。面舵」
「両舷前進びそーく。おもかーじ」
艦首ごしに呉の港が見えてきた。その一角にある呉開陽高校練習桟橋に向かって舵を切る。
「敬礼!」
港内でお留守番していた戦艦「金剛」、「比叡」、「榛名」、「霧島」が喇叭を吹き鳴らし、乗員が舷側に立って敬礼をかわす。
「両舷後退!錨鎖準備」
後進をかけて速度を落とし、桟橋と平行になるように艦を操った。
「両舷停止!錨鎖下ろせ!」
艦が完全に停止し、もやい綱が桟橋の地上員に向かって投げられる。舷梯がかけられ、見学者の方々が退艦した。
ボーーーーーーーーーーッ!
後方から聞こえる汽笛。後ろを見ると、今回の対戦相手でもある空母「イントレピッド」率いる機動部隊が入港してくる。
グォォォォォォォォォォォォォォォ
主機の音も高らかにわたしたちの横に滑り込んだ。
「各艦艦長、副長は一旦退艦の後地上の天幕に集合すること」
鳥海からの無線。
「了解しました」
わたしは即座に返すと、永信を伴って陽炎を降りた。
呉の港が宵闇に覆われたころ・・・・・・・・・・・・・
開陽祭は無事に終わり、各艦では打ち上げパーティーが行われている。もちろん、わたしたちの「陽炎」も例外じゃない。
「んじゃ、カンパーイ!」
「かんぱーい!」
わたしの音頭でみんなが手に持っていたグラスを掲げる。
「じゃ、わたしと永信は少し席を外すから、みんなでお願いね」
各艦の館長と副長はもう一つ、アメリカからの来賓との立食パーティーに出席するように通達が出ている。
わたしはみんなに艦を任せると、一旦退艦した。
わたし―アマンダ・サトウは、空母「イントレピッド」を降りると、地上の天幕に足を踏み入れた。
天幕内ではすでに日本側の反省会は終わったらしく、みんな和気あいあいとしている。
わたしは給仕係の生徒からワインをもらうと、昔からの顔なじみの姿を探した。
「あ、いたいた・・・・・・・・・・・・」
特徴的なツインテールと何人かいる女性の中でも低い背丈。その方向に近づくと、彼女の肩を叩いた。
「久しぶりね。実」
実が後ろを振り向く。
「アマンダさん、お久しぶりです」
「こちらこそ。相変わらず背は低いわね」
「なにぃっ!?」
実が顔を真っ赤にする。
「それと、胸も・・・・・・・・・」
わたしの視線の先に何があるか気づいた実はさらに顔を赤くする。
「バカバカ!アマンダさんの馬鹿!」
実が顔を真っ赤にしながらわたしをはたく。でも、わたしとは結構身長に差があるから実がはたいてるのはわたしの胸のあたりだ。
「実!こんなとこにいたの?っていうか何してんのさ!」
人垣の中から一人の男子が出てくる。
「ハーイ!永信、お久しぶりね」
わたしが軽く手を上げると、永信は敬礼で返した。
「アマンダさん!お久しぶりです!実、なんてことしてるのさ」
永信が実の腕をつかんでわたしから引きはがす。
「だって、アマンダさんがぁ・・・・・・・・・・」
実が今度は永信をポコポコ殴る。
「わかったわかった。実が小っちゃくて胸部装甲も貧弱なことは・・・・・・・・・ぐはっ!」
「うるさい!馬鹿!」
慰めようと(?)した永信の腹に実のパンチが叩き込まれる。
「大丈夫?永信?」
「ありがとうございます、アマンダさん」
わたしが抱え起こすと、永信はか細い声でお礼を言った。
「実~、そんなに本気で殴ることないじゃん・・・・・・・・・」
「うるさい!馬鹿永信!馬鹿馬鹿ぁ・・・・・」
実が永信をポコポコ殴る。わたしはその様子を見て、グラスの中に注がれたワインを一口、口に含んだ。
(相変わらず・・・・・・・・)
「・・・・・・・仲のいいことね」
『ファッ!?』
永信と実が同時に振り向く。
「僕がこいつとですか!?ありえないですよ」
「わたしが永信と仲いいなんて、なに考えてるんですか!?」
ギャアギャァ騒いでる。
「ふふふ、どうかしらね」
わたしはそういうと、もう一口、ワインを口に含んだ。
「両舷前進びそーく。おもかーじ」
艦首ごしに呉の港が見えてきた。その一角にある呉開陽高校練習桟橋に向かって舵を切る。
「敬礼!」
港内でお留守番していた戦艦「金剛」、「比叡」、「榛名」、「霧島」が喇叭を吹き鳴らし、乗員が舷側に立って敬礼をかわす。
「両舷後退!錨鎖準備」
後進をかけて速度を落とし、桟橋と平行になるように艦を操った。
「両舷停止!錨鎖下ろせ!」
艦が完全に停止し、もやい綱が桟橋の地上員に向かって投げられる。舷梯がかけられ、見学者の方々が退艦した。
ボーーーーーーーーーーッ!
後方から聞こえる汽笛。後ろを見ると、今回の対戦相手でもある空母「イントレピッド」率いる機動部隊が入港してくる。
グォォォォォォォォォォォォォォォ
主機の音も高らかにわたしたちの横に滑り込んだ。
「各艦艦長、副長は一旦退艦の後地上の天幕に集合すること」
鳥海からの無線。
「了解しました」
わたしは即座に返すと、永信を伴って陽炎を降りた。
呉の港が宵闇に覆われたころ・・・・・・・・・・・・・
開陽祭は無事に終わり、各艦では打ち上げパーティーが行われている。もちろん、わたしたちの「陽炎」も例外じゃない。
「んじゃ、カンパーイ!」
「かんぱーい!」
わたしの音頭でみんなが手に持っていたグラスを掲げる。
「じゃ、わたしと永信は少し席を外すから、みんなでお願いね」
各艦の館長と副長はもう一つ、アメリカからの来賓との立食パーティーに出席するように通達が出ている。
わたしはみんなに艦を任せると、一旦退艦した。
わたし―アマンダ・サトウは、空母「イントレピッド」を降りると、地上の天幕に足を踏み入れた。
天幕内ではすでに日本側の反省会は終わったらしく、みんな和気あいあいとしている。
わたしは給仕係の生徒からワインをもらうと、昔からの顔なじみの姿を探した。
「あ、いたいた・・・・・・・・・・・・」
特徴的なツインテールと何人かいる女性の中でも低い背丈。その方向に近づくと、彼女の肩を叩いた。
「久しぶりね。実」
実が後ろを振り向く。
「アマンダさん、お久しぶりです」
「こちらこそ。相変わらず背は低いわね」
「なにぃっ!?」
実が顔を真っ赤にする。
「それと、胸も・・・・・・・・・」
わたしの視線の先に何があるか気づいた実はさらに顔を赤くする。
「バカバカ!アマンダさんの馬鹿!」
実が顔を真っ赤にしながらわたしをはたく。でも、わたしとは結構身長に差があるから実がはたいてるのはわたしの胸のあたりだ。
「実!こんなとこにいたの?っていうか何してんのさ!」
人垣の中から一人の男子が出てくる。
「ハーイ!永信、お久しぶりね」
わたしが軽く手を上げると、永信は敬礼で返した。
「アマンダさん!お久しぶりです!実、なんてことしてるのさ」
永信が実の腕をつかんでわたしから引きはがす。
「だって、アマンダさんがぁ・・・・・・・・・・」
実が今度は永信をポコポコ殴る。
「わかったわかった。実が小っちゃくて胸部装甲も貧弱なことは・・・・・・・・・ぐはっ!」
「うるさい!馬鹿!」
慰めようと(?)した永信の腹に実のパンチが叩き込まれる。
「大丈夫?永信?」
「ありがとうございます、アマンダさん」
わたしが抱え起こすと、永信はか細い声でお礼を言った。
「実~、そんなに本気で殴ることないじゃん・・・・・・・・・」
「うるさい!馬鹿永信!馬鹿馬鹿ぁ・・・・・」
実が永信をポコポコ殴る。わたしはその様子を見て、グラスの中に注がれたワインを一口、口に含んだ。
(相変わらず・・・・・・・・)
「・・・・・・・仲のいいことね」
『ファッ!?』
永信と実が同時に振り向く。
「僕がこいつとですか!?ありえないですよ」
「わたしが永信と仲いいなんて、なに考えてるんですか!?」
ギャアギャァ騒いでる。
「ふふふ、どうかしらね」
わたしはそういうと、もう一口、ワインを口に含んだ。
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