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戦の前の平穏~鷹華のものがたり~ 其の二
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「錨鎖下ろせ~!!」
「あと二メーター!」
空母「神鷹」をはじめとしてほとんどの艦船が入出港時に行うのが、この主錨の上げ下ろしだ。
わたし―空母「神鷹」主計科烹炊員、鷹華はその作業を飛行甲板上から見つめていた。
「とうとうサンディエゴか・・・・・・・・・」
烹炊員というのは、朝昼晩、それと夜食の準備をする時以外はいたって暇だ。暇じゃないときは死ぬほど忙しいけど。
チンチンチン!
「よーし、飛行甲板上。はい!押して―!」
鳴り響く艦載機用エレベーターの警戒音と整備員と搭乗員の声。
「おーい、そこにいると危ないぞー!」
整備員さんに言われるままどけると、さっきまでわたしのいたところに一機の艦載機が押されてきた。
「零戦ですか?」
わたしが問うと、整備員さんがうなずきながら車輪に何かをかませた。
精強なことで知られる我が艦戦隊。その主力である零戦は、海軍航空隊員ならだれでも乗りたがるような機体だ。
「コイツは新しめの五二型だな」
整備員さんがボソボソという。搭乗員さんがコックピットにもぐりこんだ。
「エナーシャ回せ!」
搭乗員さんが叫ぶ。
キュンキュンキュンキュン・・・・・・・!
整備員さんが機体に差し込んだクランクを回し始めた。
「コンターック!」
ガコン!バタバタバタバタ!
搭乗員さんが何か手元を動かすと、エンジンの音とともに白煙を吐いてプロペラが回り始める。
「よし!止めていいです!」
整備員さんが合図を送ると、零戦のプロペラが止まった。
「よし、問題はないな・・・・・・・」
搭乗員さんが機体から降りてくる。わたしに視線を向けた。
「ん・・・・・?ああ、主計課か」
どうやらわたしがひじにつけている二等兵曹の徽章と主計科の白桜のマークを見たみたい。
「この後の戦地に向けての備えですか?」
わたしが問うと、搭乗員さんはうなずいた。
「発動機の試験だ。この機体で終わりだな」
この「神鷹」には戦闘機しか搭載していない。なんでかは知らないけどね。
「俺は空母『神鷹』戦闘機隊第三中隊隊長、晴海勇中尉だ。お前は?」
わたしは敬礼して答える。
「わたしは、空母『神鷹』主計課、宮本鷹華二等兵曹です!」
「そうか。いい名前だな」
晴海中尉は空を見上げると、懐から煙草を取り出した。
「お前は、この後の作戦概要は知っているか?」
晴海中尉の問い。わたしはプルプルと首を横に振る。
「そうか・・・・・・・」
晴海中尉はそういうと、懐から灰皿を取り出した。
「それと、戦闘機しか積んでないのも気になります」
わたしが言うと、晴海中尉はハッとしてこっちを見た。
「そこに気づくとは、なかなかいい目をしているな」
え?どういうことですか?わたし何にもわかりませんよ
晴海中尉は、ゆっくりと言う。
「この『神鷹』は、地中海に出たのちに空母『赤城』、『加賀』、『蒼龍』、『飛龍』、『翔鶴』。『瑞鶴』『大鳳』、『信濃』とその護衛艦艇からなる第一航空艦隊と合流して、対海賊作戦に従事する予定だ。戦闘機しか積んでいないのは、艦隊上空の防空は直掩艦隊の俺たち『神鷹』、『瑞鳳』、『祥鳳』、『龍驤』に任せ、大型空母の全機を攻撃に振り向けるためなんだ」
「え・・・・・・・・?」
わたしたちはそんなの聞いてない。船団護衛につくんだとばかり思っていた。
(確かに・・・・・・・・船団護衛の必需品、磁気探査機搭載の攻撃機がいないもんね)
防空専用になるんだったら零戦、しかも最新の五二型や五四型ばかり搭載されているのもうなずける。
「そうなんですか・・・・・・・・それにしても、なぜ作戦に参加する艦の乗員にまで秘密にしたんでしょうか?」
わたしがつぶやいたのを聞いたのか、晴海中尉が答える。
「そりゃあ、敵さんに察知されないためだろう。何しろ、この俺でさえ作戦の全体像は知らない。相手を一気に叩く作戦で、大型空母八隻の全艦載機を使わないといけないほどの難易度。こういうとこから推測はできるがな」
そういうと、晴海中尉は立ち上がった。
「じゃ、俺はこの辺で失礼するぞ」
飛行甲板下のの搭乗員控えに向かって行った。
「大型空母八隻に軽空母四隻・・・・・・かなりの大規模作戦ね・・・・まるで敵の基地に殴り込みをかけるような・・・・・・・」
わたしは少しの不安を感じた。理由はわからないけど、どことなく不安を感じる。
「大丈夫かな・・・本当に・・・・・・・・」
わたしはそういうと、空を見上げた。
「今日の士官用の昼はチキンマカロニ―か・・・・・・・」
春本先輩がいつものごとくつぶやきながら三十センチほどの長さのマカロニを切っていく。
「そうなんですね、美味しそうです」
わたしは今度はジャガイモを切りながら返す。
「絶対手とか切るんじゃないぞ!」
春本先輩が言うけど、わたしはそれほど下手じゃないんですからね!
サクサクとジャガイモを角切りにしては足元のざるに落としていく。単調な作業。
「そういえば、先輩はこの後のさくせ・・・・・・」
先輩に言いかけて、口をつぐむ。
「ん?どうした」
「いえ、何でもありません」
晴海中尉から作戦については極秘だって言われてたんだった。
「そうか」
先輩はそう言いながら切ったマカロニを鍋に放り込むと、菜箸で混ぜ始めた。
「ソースのほう始めますね」
わたしはそういうと、大鍋を火にかけて牛脂を投入する。
「次に・・・・・・」
小麦粉の袋を手に取り、中身を鍋の中にぶちまける。
焦げ付かないようヘラでかき混ぜていると、小麦粉がだんだん色づいてきた。
「きつね色になったら・・・・・・・・」
トマトソースを少しずつ、ほんとに少―しずつ加えて小麦粉をのばしていく。さらに前日のうちに作ってあったスープストックも投入。
「先輩。マカロニの方はどうですか?」
「もう少しってとこだな」
(よし・・・・・・予定通り)
わたしは心の中でガッツポーズすると、あらかじめ切っておいた鶏肉と野菜類を鍋に放り込んだ。
三十分後・・・・・
「ちょっと確認・・・・・・・」
ジャガイモを一つ取り出す。菜箸を突き立てると、すんなり刺さった。
「よし・・・・・と」
そのジャガイモを鍋に戻し、先輩がゆでてくれたマカロニを鍋に流し込む。
「塩コショウで味を調えて・・・・・」
塩と胡椒をパラパラとふると、へらでかき混ぜた。
「お、できたか?」
先輩がそう言いながら近づいてくると、小皿に少し中身をとった。口に含む。
「おぉ!美味しいじゃないか!腕を上げたな」
笑顔でわたしの肩を叩く。
「ありがとうございます!毎日練習した甲斐がありました!」
わたしも自然と笑顔になると、先輩に頭を下げた。
「じゃ、給仕の方も頼んだぞ!」
先輩がニコニコしながら言う。
「はい!」
わたしも笑うと、エプロンを外し始めた。
「ふう・・・・・・・・」
俺―晴海勇は本日の仕事を終えると、士官用食堂に入った。
「今日の飯は何かな・・・・・・・」
そう言いながら、帽子をとって手元に置いた。周りには、俺と同じく真っ白な士官用第二種軍装を着た士官たちが着席する。
ガチャッ
「お待たせいたしました」
扉が開いて、給仕の主計兵が皿を持って入ってくる。
「おっ・・・・!」
その顔には見覚えがある。昨日の午後に飛行甲板で話した主計兵だ。
「確か、宮本鷹華二曹。だったか」
鷹華二曹はお盆に乗せた皿を各士官に配っていく。
「どうぞ」
俺のところにも皿が置かれる。
「おっ、今日はチキンマカロニ―か」
「はい、そうです」
俺が声をかけると、鷹華二曹は嬉しそうに目を細めた。
「それでは、失礼します」
鷹華二曹は頭を下げると、烹炊所のほうに歩いて行った。
ボーーーーーーーーーーッ!
上甲板の方から、汽笛の音が聞こえてくる。
グン・・・・・・
少しの衝撃とともに、艦が動き出す感覚が伝わってきた。
二〇三二年九月二〇日十二時三十分。軽空母「神鷹」はアメリカ海軍サンディエゴ基地を出港。作戦行動に入った。
「あと二メーター!」
空母「神鷹」をはじめとしてほとんどの艦船が入出港時に行うのが、この主錨の上げ下ろしだ。
わたし―空母「神鷹」主計科烹炊員、鷹華はその作業を飛行甲板上から見つめていた。
「とうとうサンディエゴか・・・・・・・・・」
烹炊員というのは、朝昼晩、それと夜食の準備をする時以外はいたって暇だ。暇じゃないときは死ぬほど忙しいけど。
チンチンチン!
「よーし、飛行甲板上。はい!押して―!」
鳴り響く艦載機用エレベーターの警戒音と整備員と搭乗員の声。
「おーい、そこにいると危ないぞー!」
整備員さんに言われるままどけると、さっきまでわたしのいたところに一機の艦載機が押されてきた。
「零戦ですか?」
わたしが問うと、整備員さんがうなずきながら車輪に何かをかませた。
精強なことで知られる我が艦戦隊。その主力である零戦は、海軍航空隊員ならだれでも乗りたがるような機体だ。
「コイツは新しめの五二型だな」
整備員さんがボソボソという。搭乗員さんがコックピットにもぐりこんだ。
「エナーシャ回せ!」
搭乗員さんが叫ぶ。
キュンキュンキュンキュン・・・・・・・!
整備員さんが機体に差し込んだクランクを回し始めた。
「コンターック!」
ガコン!バタバタバタバタ!
搭乗員さんが何か手元を動かすと、エンジンの音とともに白煙を吐いてプロペラが回り始める。
「よし!止めていいです!」
整備員さんが合図を送ると、零戦のプロペラが止まった。
「よし、問題はないな・・・・・・・」
搭乗員さんが機体から降りてくる。わたしに視線を向けた。
「ん・・・・・?ああ、主計課か」
どうやらわたしがひじにつけている二等兵曹の徽章と主計科の白桜のマークを見たみたい。
「この後の戦地に向けての備えですか?」
わたしが問うと、搭乗員さんはうなずいた。
「発動機の試験だ。この機体で終わりだな」
この「神鷹」には戦闘機しか搭載していない。なんでかは知らないけどね。
「俺は空母『神鷹』戦闘機隊第三中隊隊長、晴海勇中尉だ。お前は?」
わたしは敬礼して答える。
「わたしは、空母『神鷹』主計課、宮本鷹華二等兵曹です!」
「そうか。いい名前だな」
晴海中尉は空を見上げると、懐から煙草を取り出した。
「お前は、この後の作戦概要は知っているか?」
晴海中尉の問い。わたしはプルプルと首を横に振る。
「そうか・・・・・・・」
晴海中尉はそういうと、懐から灰皿を取り出した。
「それと、戦闘機しか積んでないのも気になります」
わたしが言うと、晴海中尉はハッとしてこっちを見た。
「そこに気づくとは、なかなかいい目をしているな」
え?どういうことですか?わたし何にもわかりませんよ
晴海中尉は、ゆっくりと言う。
「この『神鷹』は、地中海に出たのちに空母『赤城』、『加賀』、『蒼龍』、『飛龍』、『翔鶴』。『瑞鶴』『大鳳』、『信濃』とその護衛艦艇からなる第一航空艦隊と合流して、対海賊作戦に従事する予定だ。戦闘機しか積んでいないのは、艦隊上空の防空は直掩艦隊の俺たち『神鷹』、『瑞鳳』、『祥鳳』、『龍驤』に任せ、大型空母の全機を攻撃に振り向けるためなんだ」
「え・・・・・・・・?」
わたしたちはそんなの聞いてない。船団護衛につくんだとばかり思っていた。
(確かに・・・・・・・・船団護衛の必需品、磁気探査機搭載の攻撃機がいないもんね)
防空専用になるんだったら零戦、しかも最新の五二型や五四型ばかり搭載されているのもうなずける。
「そうなんですか・・・・・・・・それにしても、なぜ作戦に参加する艦の乗員にまで秘密にしたんでしょうか?」
わたしがつぶやいたのを聞いたのか、晴海中尉が答える。
「そりゃあ、敵さんに察知されないためだろう。何しろ、この俺でさえ作戦の全体像は知らない。相手を一気に叩く作戦で、大型空母八隻の全艦載機を使わないといけないほどの難易度。こういうとこから推測はできるがな」
そういうと、晴海中尉は立ち上がった。
「じゃ、俺はこの辺で失礼するぞ」
飛行甲板下のの搭乗員控えに向かって行った。
「大型空母八隻に軽空母四隻・・・・・・かなりの大規模作戦ね・・・・まるで敵の基地に殴り込みをかけるような・・・・・・・」
わたしは少しの不安を感じた。理由はわからないけど、どことなく不安を感じる。
「大丈夫かな・・・本当に・・・・・・・・」
わたしはそういうと、空を見上げた。
「今日の士官用の昼はチキンマカロニ―か・・・・・・・」
春本先輩がいつものごとくつぶやきながら三十センチほどの長さのマカロニを切っていく。
「そうなんですね、美味しそうです」
わたしは今度はジャガイモを切りながら返す。
「絶対手とか切るんじゃないぞ!」
春本先輩が言うけど、わたしはそれほど下手じゃないんですからね!
サクサクとジャガイモを角切りにしては足元のざるに落としていく。単調な作業。
「そういえば、先輩はこの後のさくせ・・・・・・」
先輩に言いかけて、口をつぐむ。
「ん?どうした」
「いえ、何でもありません」
晴海中尉から作戦については極秘だって言われてたんだった。
「そうか」
先輩はそう言いながら切ったマカロニを鍋に放り込むと、菜箸で混ぜ始めた。
「ソースのほう始めますね」
わたしはそういうと、大鍋を火にかけて牛脂を投入する。
「次に・・・・・・」
小麦粉の袋を手に取り、中身を鍋の中にぶちまける。
焦げ付かないようヘラでかき混ぜていると、小麦粉がだんだん色づいてきた。
「きつね色になったら・・・・・・・・」
トマトソースを少しずつ、ほんとに少―しずつ加えて小麦粉をのばしていく。さらに前日のうちに作ってあったスープストックも投入。
「先輩。マカロニの方はどうですか?」
「もう少しってとこだな」
(よし・・・・・・予定通り)
わたしは心の中でガッツポーズすると、あらかじめ切っておいた鶏肉と野菜類を鍋に放り込んだ。
三十分後・・・・・
「ちょっと確認・・・・・・・」
ジャガイモを一つ取り出す。菜箸を突き立てると、すんなり刺さった。
「よし・・・・・と」
そのジャガイモを鍋に戻し、先輩がゆでてくれたマカロニを鍋に流し込む。
「塩コショウで味を調えて・・・・・」
塩と胡椒をパラパラとふると、へらでかき混ぜた。
「お、できたか?」
先輩がそう言いながら近づいてくると、小皿に少し中身をとった。口に含む。
「おぉ!美味しいじゃないか!腕を上げたな」
笑顔でわたしの肩を叩く。
「ありがとうございます!毎日練習した甲斐がありました!」
わたしも自然と笑顔になると、先輩に頭を下げた。
「じゃ、給仕の方も頼んだぞ!」
先輩がニコニコしながら言う。
「はい!」
わたしも笑うと、エプロンを外し始めた。
「ふう・・・・・・・・」
俺―晴海勇は本日の仕事を終えると、士官用食堂に入った。
「今日の飯は何かな・・・・・・・」
そう言いながら、帽子をとって手元に置いた。周りには、俺と同じく真っ白な士官用第二種軍装を着た士官たちが着席する。
ガチャッ
「お待たせいたしました」
扉が開いて、給仕の主計兵が皿を持って入ってくる。
「おっ・・・・!」
その顔には見覚えがある。昨日の午後に飛行甲板で話した主計兵だ。
「確か、宮本鷹華二曹。だったか」
鷹華二曹はお盆に乗せた皿を各士官に配っていく。
「どうぞ」
俺のところにも皿が置かれる。
「おっ、今日はチキンマカロニ―か」
「はい、そうです」
俺が声をかけると、鷹華二曹は嬉しそうに目を細めた。
「それでは、失礼します」
鷹華二曹は頭を下げると、烹炊所のほうに歩いて行った。
ボーーーーーーーーーーッ!
上甲板の方から、汽笛の音が聞こえてくる。
グン・・・・・・
少しの衝撃とともに、艦が動き出す感覚が伝わってきた。
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