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第4章 自由連合同盟都市国家メルキオール 首都メルキオール~北方封鎖地編
第98話 鎧袖一触よりも酷いことになった件
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作戦はシンプルにルシィが壁となる重戦士と剣士を通過して、相手の後衛の女魔術士と女狩人を近接戦闘で撃破。
その間、俺が重戦士と剣士と戦っている間に後衛を撃破。
俺が2人に苦戦する様だったら、ルシィは反転して俺と挟撃というものだ。
しかし、俺は少々ルシィの能力を過少評価、相手のステータスを過大評価して見誤っていた様だ。
『参ります』
俺が与えた指輪のアイテムボックスから普段使い用の魔銀槍を取り出したルシィが駆け出すと同時に爆音が発生して、ルシィの足元の地面が彼女の踏み込みで爆ぜていた。
「え?」
「!?」
『お覚悟』
突然目の前に現れた魔銀槍を持ったメイド少女の姿に呆然とした後衛の2人は額、両目、鼻、口、喉、両肩、心臓をほぼ同時に貫かれて何もしないうちに光の粒子となって退場。
ルシィは見事な残心を行なって、戦闘状態を維持している。
開始早々退場した2人はオーバーキルされたため、控え室に転移したのだろう。
あまりの唐突な展開に予め打ち合わせていた俺以外は完全にルシィに注意が向いた。
「お前ら巫山戯ているのか?」
普段なら絶対にしない奇襲時の声かけを敢えて行うも、残った阿呆2人は俺の動きに反応できていなかった。
いつも模擬戦している飛鳥相手だったら、一方的にボコられる隙だらけ状態だ。
俺は重戦士の男を体術スキルの【鎧通し】で腹パンし、吹き飛ばして壁にめり込ませたら、奴は退場した。
それに気づいて、更に動きを止めるド阿呆な剣士はアッパーで顎骨を砕いて、車田飛びさせた。
最後の愚か者はドシャアッという音と共に、頭から地面に落下し、粒子となって、模擬戦場から退場した。
「そ、それまで!」
とっつぁんの困惑した声が音の消えた模擬戦場内に響くと、ルシィは魔銀槍を指輪に戻し、観客にカーテシーをした。絵になる。
俺は念のため開始前に索敵のため配備した使い魔にルシィの試合中の勇姿を記録させているので、当然この姿も様々なアングルで保存した。
模擬戦の時間は10分に満たなかったが、俺も武器を使っていれば、更に時間を短縮できたかもしれない。
『お疲れ様です、主さま。どうぞ』
俺が1人、今の戦闘を振り返っていると、ルシィが笑顔を浮かべて駆け寄り、俺にタオルと水分補給用に【共有収納】に大量にストックしている塩ポ○リを取り出してくれた。
「ありがとう。ルシィもお疲れ様。はい、ルシィも大して動いていないかもしれないけれどね」
そう言って、俺はルシィのために飛鳥お手製の汗拭き用のタオルと塩ポ○リを出して渡した。
『いえ、ありがとうございます』
そう言ってルシィは受け取ってくれてはにかんだ。可愛い。
「お疲れさん、2人共。それにしても、はぁ、見事に相手にならなかったなぁ……」
とっつぁんが絞り出した様なため息と共にそう言ってしまうのも仕方ないレベルの模擬戦だった。
「あの冒険者パーティーの処遇はどうなのですか?」
俺達に敵対的な接触を禁じる冒険者ギルドの決定を無視したから、相応のペナルティがなければ示しがつかない。ルシィが俺が訊く前にとっつぁんに訊いた。
「ああ、あいつらは冒険者パーティーランクと個人の冒険者ランクをそれぞれ1つ降格処分だ。
もっとも、この件で折れて冒険者を辞めるのもいるかもしれないな」
「そうですか」
「……お前、なにか思うことはないのか?」
とっつぁんが気のない返事を返した俺に問いかけてきたが、
「別段なにも。俺達の平穏を脅かす害虫が減ったという位?」
俺の返答を聞いて、とっつぁんがなにやらため息を吐いている。解せぬ。
「向こうは明確な敵対行為をしてきたから、模擬戦でなければ、俺は確実に殺っているところなんですがね。逆恨みでこの後追加でお仲間連れて襲撃してきたら……新【魔術】のいい実験台が増えるな」
「おいい、今、最後の方でなんて言った?」
聞こえない様に後半は小声で言ったはずだが、
とっつぁんにはしっかり聞こえてしまったらしい。
『主さま、姉様達が冒険者ギルドに到着されました』
タイミングよくルシィが飛鳥達の来訪を教えてくれた。
「と言う訳で、とっつぁん、報酬の件、頼みますよ」
「……ああ、わかった。アスカ達もだったな。じゃあ、受付で合流して行くぞ……各自解散! お前等、暇だったら受付で依頼を受けて働け!」
観覧席に残って雑談していた冒険者達に怒声を浴びせたことで、残っていた冒険者達は蜘蛛の子を散らす様に退散していった。
「ったく、おお、そう言えばベルシグナスの得物は槍だったな。誰に槍を習ったんだ?」
バルガスのとっつぁんも同じ槍を主武器にしていたので、やはり気になった様だ。
『はい、ギルド総長のヘリオス様にお教えいただきました。ですので、バルガス様はわたしの兄弟子になります』
ルシィが笑顔でそう言ったので、
「そうか、あのヘリオスさんが教えたのか……。
今日は無理だが、いづれここで俺と1対1で戦ってくれないか?」
とっつぁんがそう言うと、ルシィは困った様に俺の方を向いた。
「ルシィ、殺りたければ受けて構わないし、嫌だったら断って構わないからな」
『いえ、主さまのお許しがいただけるのでありましたら、不肖、ベルシグナス、そのお話を受けさせていただきたいと思います』
俺の言葉を聞いたルシィは嬉しそうに力強くそう告げた。
「まぁ、今すぐはどのみち無理だな。俺達はモフモバニー討伐受けたから、少なくとも生息地の関係上、2週間以内は無理だ。まぁ、冬は長いからその間に折を見てだな」
「それで構わんさ」
『はい』
俺の言葉にとっつぁんとルシィが応えたところで、
『おお、ご主人、ルシィとバルガスはここにおったか』
ルシィの勇姿を使い魔を通して視聴していた喜色満面のクロエが先頭になって飛鳥とベルを引き連れてやってきた。
その間、俺が重戦士と剣士と戦っている間に後衛を撃破。
俺が2人に苦戦する様だったら、ルシィは反転して俺と挟撃というものだ。
しかし、俺は少々ルシィの能力を過少評価、相手のステータスを過大評価して見誤っていた様だ。
『参ります』
俺が与えた指輪のアイテムボックスから普段使い用の魔銀槍を取り出したルシィが駆け出すと同時に爆音が発生して、ルシィの足元の地面が彼女の踏み込みで爆ぜていた。
「え?」
「!?」
『お覚悟』
突然目の前に現れた魔銀槍を持ったメイド少女の姿に呆然とした後衛の2人は額、両目、鼻、口、喉、両肩、心臓をほぼ同時に貫かれて何もしないうちに光の粒子となって退場。
ルシィは見事な残心を行なって、戦闘状態を維持している。
開始早々退場した2人はオーバーキルされたため、控え室に転移したのだろう。
あまりの唐突な展開に予め打ち合わせていた俺以外は完全にルシィに注意が向いた。
「お前ら巫山戯ているのか?」
普段なら絶対にしない奇襲時の声かけを敢えて行うも、残った阿呆2人は俺の動きに反応できていなかった。
いつも模擬戦している飛鳥相手だったら、一方的にボコられる隙だらけ状態だ。
俺は重戦士の男を体術スキルの【鎧通し】で腹パンし、吹き飛ばして壁にめり込ませたら、奴は退場した。
それに気づいて、更に動きを止めるド阿呆な剣士はアッパーで顎骨を砕いて、車田飛びさせた。
最後の愚か者はドシャアッという音と共に、頭から地面に落下し、粒子となって、模擬戦場から退場した。
「そ、それまで!」
とっつぁんの困惑した声が音の消えた模擬戦場内に響くと、ルシィは魔銀槍を指輪に戻し、観客にカーテシーをした。絵になる。
俺は念のため開始前に索敵のため配備した使い魔にルシィの試合中の勇姿を記録させているので、当然この姿も様々なアングルで保存した。
模擬戦の時間は10分に満たなかったが、俺も武器を使っていれば、更に時間を短縮できたかもしれない。
『お疲れ様です、主さま。どうぞ』
俺が1人、今の戦闘を振り返っていると、ルシィが笑顔を浮かべて駆け寄り、俺にタオルと水分補給用に【共有収納】に大量にストックしている塩ポ○リを取り出してくれた。
「ありがとう。ルシィもお疲れ様。はい、ルシィも大して動いていないかもしれないけれどね」
そう言って、俺はルシィのために飛鳥お手製の汗拭き用のタオルと塩ポ○リを出して渡した。
『いえ、ありがとうございます』
そう言ってルシィは受け取ってくれてはにかんだ。可愛い。
「お疲れさん、2人共。それにしても、はぁ、見事に相手にならなかったなぁ……」
とっつぁんが絞り出した様なため息と共にそう言ってしまうのも仕方ないレベルの模擬戦だった。
「あの冒険者パーティーの処遇はどうなのですか?」
俺達に敵対的な接触を禁じる冒険者ギルドの決定を無視したから、相応のペナルティがなければ示しがつかない。ルシィが俺が訊く前にとっつぁんに訊いた。
「ああ、あいつらは冒険者パーティーランクと個人の冒険者ランクをそれぞれ1つ降格処分だ。
もっとも、この件で折れて冒険者を辞めるのもいるかもしれないな」
「そうですか」
「……お前、なにか思うことはないのか?」
とっつぁんが気のない返事を返した俺に問いかけてきたが、
「別段なにも。俺達の平穏を脅かす害虫が減ったという位?」
俺の返答を聞いて、とっつぁんがなにやらため息を吐いている。解せぬ。
「向こうは明確な敵対行為をしてきたから、模擬戦でなければ、俺は確実に殺っているところなんですがね。逆恨みでこの後追加でお仲間連れて襲撃してきたら……新【魔術】のいい実験台が増えるな」
「おいい、今、最後の方でなんて言った?」
聞こえない様に後半は小声で言ったはずだが、
とっつぁんにはしっかり聞こえてしまったらしい。
『主さま、姉様達が冒険者ギルドに到着されました』
タイミングよくルシィが飛鳥達の来訪を教えてくれた。
「と言う訳で、とっつぁん、報酬の件、頼みますよ」
「……ああ、わかった。アスカ達もだったな。じゃあ、受付で合流して行くぞ……各自解散! お前等、暇だったら受付で依頼を受けて働け!」
観覧席に残って雑談していた冒険者達に怒声を浴びせたことで、残っていた冒険者達は蜘蛛の子を散らす様に退散していった。
「ったく、おお、そう言えばベルシグナスの得物は槍だったな。誰に槍を習ったんだ?」
バルガスのとっつぁんも同じ槍を主武器にしていたので、やはり気になった様だ。
『はい、ギルド総長のヘリオス様にお教えいただきました。ですので、バルガス様はわたしの兄弟子になります』
ルシィが笑顔でそう言ったので、
「そうか、あのヘリオスさんが教えたのか……。
今日は無理だが、いづれここで俺と1対1で戦ってくれないか?」
とっつぁんがそう言うと、ルシィは困った様に俺の方を向いた。
「ルシィ、殺りたければ受けて構わないし、嫌だったら断って構わないからな」
『いえ、主さまのお許しがいただけるのでありましたら、不肖、ベルシグナス、そのお話を受けさせていただきたいと思います』
俺の言葉を聞いたルシィは嬉しそうに力強くそう告げた。
「まぁ、今すぐはどのみち無理だな。俺達はモフモバニー討伐受けたから、少なくとも生息地の関係上、2週間以内は無理だ。まぁ、冬は長いからその間に折を見てだな」
「それで構わんさ」
『はい』
俺の言葉にとっつぁんとルシィが応えたところで、
『おお、ご主人、ルシィとバルガスはここにおったか』
ルシィの勇姿を使い魔を通して視聴していた喜色満面のクロエが先頭になって飛鳥とベルを引き連れてやってきた。
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