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前編
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「すまないミネルバ。僕はヴィーナと真の愛に目覚めたんだ。だから、君との婚約を破棄させてもらうよ」
たしかに双方の両親が決めた政略による婚約でした。しかし、この婚約は私のメティス子爵家が望んで結ばれたものではなく、破棄を宣言した貴方、アレウス・ユピタル様ご自身のユピタル伯爵家から懇願して結ばれた婚約であるということをお忘れなのでしょうか?
いえ、お忘れなのでしょうね。見た目と腕っ節だけは同年代で上位に位置しますが、記憶力や学力、知略といった頭脳労働方面に関しては壊滅的に無能なお方でしたから。
『真の愛に目覚めたから』という正気を疑う理由で、私との婚約破棄を宣言した目の前の赤髪碧眼の(見た目だけは)美男子のアレウス・ユピタル様は今日もご自身とその傍らにいるヴイーナ嬢だけは幸せな思考をしているのでしょう。
「アレウス様、先ほど、仰いました私との婚約破棄ですが、ユピタル伯爵様のご了承を得られていらっしゃいますか? 斯様な形で婚約破棄を宣言されたのですから、もう後には戻れませんよ?」
内心で大きなため息をしつつ、手に持った扇で私は口元を隠し、ため息が誤って出てしまう保険としました。
「二言はない! 父上ならばミネルバとの婚約破棄をお許しくださって、僕とヴィーナの真の愛を認めて下さるはずだ!!」
アレウス様はどこに認められる根拠があるのか、凡人の私には到底理解できない自信に満ち溢れたご様子で返答をされました。
「へぇ、なかなか面白い答えだね。アレウス・ユピタル伯爵令息殿。それよりも、君はもっと発言の内容を考えて、ミネルバに伝える場所を選ぶべきだったね。婚約者である私の可愛い妹をエスコートしないで、別の女性の手を取るとは全く以って度し難いね」
グラウお兄様が冷笑を浮かべて、そうアレウス様を窘めました。
本来、この場のパーティー会場には私の婚約者であったアレウス様が私をエスコートするのが常識です。しかし、肝心のご本人が約束した時間に姿を現さなかったため、まだ独り身のグラウお兄様が代理として、私をエスコートしてくださいました。
私をエスコートしてくださっていたグラウお兄様がその凍える様な蒼い瞳で2人を睥睨されていますと、
「よくもまぁ、招待していないのに紛れ込み、私の主催するパーティーが始まる前にふざけた真似をしてくれたな。ユピタル伯爵令息、アプロス男爵令嬢! お迎えが来るまで牢屋でしっかりその湧いた頭を冷やすといい。連れて行け!!」
「「「はっ!!」」」
パーティーの主催者であるトリアス第二王子殿下がお見えになられ、衛兵に命じられ、騒ぎはじめた2人を連行させました。
「お騒がせいたしまして申し訳ございませんでした、トリアス殿下」
私は不本意ではありますが、当事者の1人として殿下に謝罪しました。
「いや、ミネルバ嬢に責はない。悪いのはあの2人だ」
トリアス殿下は笑顔でそう答えて下さり、重苦しかった私の胸も少し軽くなりました。
「ミネルバ、先に父上には通信の魔道具で連絡を入れていたから、すぐに屋敷に戻って先ほどのアレウス達の愚行の詳しい話と今後のことについて話し合いをしてきなさい。殿下、ご招待いただき大変申し訳ありませんが、妹のミネルバは喫緊の用事ができましたので、失礼させていただきます」
「ああ、ミネルバ嬢には折角ここまで来てもらったのに……残念だ」
お兄様と殿下が話を進め、私はパーティー会場に到着して早々にメティス子爵家の邸宅に戻ることになりました。
実家メティス家の邸宅に戻った私は談話室でメティス子爵家の家長であるパラスお父様とユノお母様の3人で、一方的にアレウス・ユピタル伯爵令息に破棄された婚約についてと今後のこと関する話し合いをすることになりました。
たしかに双方の両親が決めた政略による婚約でした。しかし、この婚約は私のメティス子爵家が望んで結ばれたものではなく、破棄を宣言した貴方、アレウス・ユピタル様ご自身のユピタル伯爵家から懇願して結ばれた婚約であるということをお忘れなのでしょうか?
いえ、お忘れなのでしょうね。見た目と腕っ節だけは同年代で上位に位置しますが、記憶力や学力、知略といった頭脳労働方面に関しては壊滅的に無能なお方でしたから。
『真の愛に目覚めたから』という正気を疑う理由で、私との婚約破棄を宣言した目の前の赤髪碧眼の(見た目だけは)美男子のアレウス・ユピタル様は今日もご自身とその傍らにいるヴイーナ嬢だけは幸せな思考をしているのでしょう。
「アレウス様、先ほど、仰いました私との婚約破棄ですが、ユピタル伯爵様のご了承を得られていらっしゃいますか? 斯様な形で婚約破棄を宣言されたのですから、もう後には戻れませんよ?」
内心で大きなため息をしつつ、手に持った扇で私は口元を隠し、ため息が誤って出てしまう保険としました。
「二言はない! 父上ならばミネルバとの婚約破棄をお許しくださって、僕とヴィーナの真の愛を認めて下さるはずだ!!」
アレウス様はどこに認められる根拠があるのか、凡人の私には到底理解できない自信に満ち溢れたご様子で返答をされました。
「へぇ、なかなか面白い答えだね。アレウス・ユピタル伯爵令息殿。それよりも、君はもっと発言の内容を考えて、ミネルバに伝える場所を選ぶべきだったね。婚約者である私の可愛い妹をエスコートしないで、別の女性の手を取るとは全く以って度し難いね」
グラウお兄様が冷笑を浮かべて、そうアレウス様を窘めました。
本来、この場のパーティー会場には私の婚約者であったアレウス様が私をエスコートするのが常識です。しかし、肝心のご本人が約束した時間に姿を現さなかったため、まだ独り身のグラウお兄様が代理として、私をエスコートしてくださいました。
私をエスコートしてくださっていたグラウお兄様がその凍える様な蒼い瞳で2人を睥睨されていますと、
「よくもまぁ、招待していないのに紛れ込み、私の主催するパーティーが始まる前にふざけた真似をしてくれたな。ユピタル伯爵令息、アプロス男爵令嬢! お迎えが来るまで牢屋でしっかりその湧いた頭を冷やすといい。連れて行け!!」
「「「はっ!!」」」
パーティーの主催者であるトリアス第二王子殿下がお見えになられ、衛兵に命じられ、騒ぎはじめた2人を連行させました。
「お騒がせいたしまして申し訳ございませんでした、トリアス殿下」
私は不本意ではありますが、当事者の1人として殿下に謝罪しました。
「いや、ミネルバ嬢に責はない。悪いのはあの2人だ」
トリアス殿下は笑顔でそう答えて下さり、重苦しかった私の胸も少し軽くなりました。
「ミネルバ、先に父上には通信の魔道具で連絡を入れていたから、すぐに屋敷に戻って先ほどのアレウス達の愚行の詳しい話と今後のことについて話し合いをしてきなさい。殿下、ご招待いただき大変申し訳ありませんが、妹のミネルバは喫緊の用事ができましたので、失礼させていただきます」
「ああ、ミネルバ嬢には折角ここまで来てもらったのに……残念だ」
お兄様と殿下が話を進め、私はパーティー会場に到着して早々にメティス子爵家の邸宅に戻ることになりました。
実家メティス家の邸宅に戻った私は談話室でメティス子爵家の家長であるパラスお父様とユノお母様の3人で、一方的にアレウス・ユピタル伯爵令息に破棄された婚約についてと今後のこと関する話し合いをすることになりました。
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