定年退職後の生活は異世界でした

青山ねこまる

文字の大きさ
4 / 71
プロローグ

開拓村の村長をする事になりました。その2

しおりを挟む
 「そうですね!失礼しました。先ほど説明した通り、文明の停滞を少しでも改善したくて、地球の神様達に相談した結果、こちらにある『ベリニア開拓村支援センター』を設立したのです。」

 そう言って、宙に浮いている看板?を指差しながら、「なんでも、地球の特に日本人の方は、他の異世界へ呼ばれて活躍される方が多いそうで、他の創造神達からも人気があるんですよ」

 ニエル様は嬉しそうに話しているが、私と優希は、余りにも荒唐無稽な話で「はぁ」と間抜けな返答をし、雄介だけは嬉しそうにウンウンと頷いている。

 「それで、私達は何で呼ばれたのでしょうか?」

 「はい、山田さんご夫婦は、田舎でのんびりした生活を希望されているとの事ですので、私の世界へご招待し村長として悠悠自適な生活を過ごされては如何かと、お誘いさせていただきました。」

 その話を聞いて、私と優希は顔を見合わせる。

 確かに田舎でのスローライフを望んでいるが、それが異世界?食文化もはっきりって低い、そうなると衛生面や生活環境が現代日本には到底及ばないのは、ハッキリしている。下手すれば、江戸時代より低いかもしれない。

 「折角のお誘いですが、私達に・・・「ちょっと待った!」」

 私が断ろうとしたところを、雄介が被せるように私達に話しかけてきた。

 「オヤジ!これはチャンスだ!俺は異世界に行きたい!」

 「はぁ⁉︎ お前、何言っているの?異世界だよ?仕事はどうするんだよ?」

 「仕事は辞める!小さい頃からファンタジー小説やゲームにハマっている俺にはこれから行く異世界は正に天国だよ!」

 「おっおうっ」

 物凄い勢いでグイグイ迫ってくる息子にドン引きしながら優希に助けを求めると、息子と同じように目を爛々と輝かせ、息子と一緒に迫ってきた。

 「あなた!行きましょう!これはチャンスよ!!」

 「えぇ⁉︎」

 まさか、ブルータス状態になろうとは・・・、思わず言葉を失ってしまう。

 「お二人とも来ていただけるようで嬉しいです」

 直ぐにでも連れて行きそうな感じで、ニエル様が嬉しそうに話しかけてきた。

 「ちょっ、ちょっと待ってください!」

 私は迫り来る二人をドウドウと抑えつつ、ニエル様に気になる事を聞いてみた。

 Q 日本には帰れますか。
 A 帰れません。

 Q 日本のお金や資産はどうなりますか。
 A 現金は、転送するマレル大陸で使用できる通貨に換金します。
  不動産などの換金はできません。

 Q 異世界へ行った後の日本での私たちの扱いはどうなるのでしょう。
 A 事故死扱いとなります。

 Q 異世界へ移住した場合、衣食住の補助はありますか。
 A 開拓村の村長として移転しますので、住居の提供はあります。

 と、私が思いつく限りの質問をしたところで、雄介から質問があった。

 Q ニエル様の世界はレベル制ですか、スキル制ですか。
 A レベル制です。

 Q 魔法使いになれますか。
 A 努力次第でなれます。

 Q チートになれますか。
 A なれません。世界を崩壊しないでください。

 Q 魔王のような敵がいますか。
 A 居ません。魔物はいますが、知性ある魔物は基本平和主義です。

 Q エルフやドワーフ、獣人は居ますか。
 A 居ます。王道は押さえました。

 この質問に、もふもふ~!!と優希が狂喜乱舞している。

 最後の質問に異世界へ行くまでに準備ができるか聞いたところ、問題ないとの回答を得た。

 そして熟考の末、私は結論を出した。

 「異世界で村長をやります」
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。

かの
ファンタジー
 孫の雷人(14歳)からテレパシーを受け取った光江(ばぁば64歳)。誘拐されたと思っていた雷人は異世界に召喚されていた。康夫(じぃじ66歳)と柏木(探偵534歳)⁈ をお供に従え、異世界へ転移。料理自慢のばぁばのスキルは胃袋を掴む事だけ。そしてじぃじのスキルは有り余る財力だけ。そんなばぁばとじぃじが、異世界で繰り広げるほのぼのスローライフ。  ばぁばとじぃじは無事異世界で孫の雷人に会えるのか⁈

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
ファンタジー
 毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 連載時、HOT 1位ありがとうございました! その他、多数投稿しています。 こちらもよろしくお願いします! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

精霊さんと一緒にスローライフ ~異世界でも現代知識とチートな精霊さんがいれば安心です~

ファンタジー
かわいい精霊さんと送る、スローライフ。 異世界に送り込まれたおっさんは、精霊さんと手を取り、スローライフをおくる。 夢は優しい国づくり。 『くに、つくりますか?』 『あめのぬぼこ、ぐるぐる』 『みぎまわりか、ひだりまわりか。それがもんだいなの』 いや、それはもう過ぎてますから。

処理中です...