定年退職後の生活は異世界でした

青山ねこまる

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異世界到着編

冒険者との出会い

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 「よく我慢してくれた、助かったぜ」

 雄介はビクッとしながらも、音を立てない様に注意しつつ後ろを振り返った。

 そこには、三十代ぐらいの男性が雄介と同じ様に腰を低く下ろした状態で、ゴブリンの向かった先を見ている姿があった。
 
 「あなたは?」

 雄介はそっと9ミリ拳銃のフォルスターに手を伸ばしつつ、警戒を含ませた口調で尋ねる。

 「俺はラルフってんだが、ゆっくり自己紹介してる時間がねぇ。悪いがアイツらの巣を見つける方が先決だ。詳しい話は後から来る奴らに聞いてくれ」

 ラルフは一方的に話した後、ゴブリン達の後を音もなく追っていった。

 「・・・・・」

 雄介は、ラルフの後を追うか逡巡したが、踏み止まり、今発生している状況をラノベの知識と訓練による実体験より、頭をフル回転させて理解に努めた。

 (あのラルフって人は多分冒険者か軍属?・・・もし軍属とした場合、大人数がこれから来るのか?ってか、家のある場所って、街とかに近い?・・・)

 思考がとりとめのない方向にいきそうなところで、カサっと何かが擦れる音が聞こえ、雄介は我に返り音の方へ銃を構えた。

 「誰か!」

 雄介は油断なく銃を構えながら音のした方へ向かって誰何する。

 すると、前方からずんぐりむっくりした髭面の親父と、190センチはあるのか巨大なムキマッチョの男、そして手に杖を持った女性が出てきて、

 「・・・お前こそ誰だ?・・・それに、持ってるそれは魔道具か?」と髭もじゃの親父が話しかけてきた。

 「自分は山田雄介と言います。先ほどラルフという方からゴブリンの巣を探していると聞きました。皆さんはラルフさんの仲間ですか?」

 雄介は銃を構えたまま、少し距離を取るように後ろに下がりつつ髭もじゃの親父にラルフの事を聞いてみた。
 
 ラルフの名前が出たことに安心したのか、ムキマッチョと女性は顔を見合わせた後、そうだと頷き、髭もじゃ親父は「そんな事よりも持ってるそれは魔道具か?」と聞きつつ雄介に近付こうとして、「チョット!ダンゴ!初対面の人に失礼でしょ!」と女性に杖で頭を小突かれている。

 そんな姿を見て、雄介の張り詰めていた空気が緩んだタイミングを見計らって、ムキマッチョが自己紹介を始めた。

 「俺たちは冒険者で「深淵の翼」というんだ。んで、俺は戦士兼パーティーリーダーのマシューってんだ、よろしくな!」

 マシューの巨大な手と握手をしながら、他の仲間たちを紹介してくれた。

 「あのさっきからうるさいのは、ドワーフのダンゴな。んで、もう一人が俺の嫁さんで、魔法使いのミリー。で、最後に斥候役のラルフでメンバー全員だ」

 「おい!ミリー!自己紹介終わったそ!」

 スキあらば雄介に詰め寄ろうとしているダンゴを撲殺する勢いで小突いていたミリーが、やれやれといった感じでマシューの横に寄り添ってきた。

 因みに、ダンゴは・・・・見なかった事にしよう。

 「それじゃ、改めて自分は山田雄介と言います。雄介と呼んでください。・・・」

 雄介は先ほど自分が見た状況とラルフとの出会いを簡単に説明し、マシュー達の情報を教えて欲しいと頼んだ。

 マシュー達の話をまとめると、彼らはここ深淵の森を中心に活動していた冒険者であり、今回とある事情でエルフの集落に寄ったところ、ゴブリン達の襲撃で集落は壊滅。女子供はゴブリン達に連れ去られた直後だったらしい。

 そこで、エルフ達を救出するため森の中を移動しているところで、雄介と会ったという事だ。

 「お互いに聞きたいことは沢山あると思うが、先ずはエルフ達を助けることが先決だ。ユースケは戦えるのか?」

 マシューがダンゴを睨みつけつつ、雄介に問いかける。

 「はい、戦えます。自分の武器は弓みたいな中長距離で使用するものです。なので、射線を確保しながら離れた位置で戦います」

 マシューへ自動小銃を見せながら答える。

 「わかった。戦闘が始まったらミリーと一緒にいてくれ。ミリー頼んだぞ」
 
 ミリーが雄介に向かって「よろしくね」と言って挨拶してきたので、お願いしますと雄介も頭を下げる。

 そんな姿をマシューは、ほぉと感心しながら眺めていたところにラルフが戻ってきて、巣の位置が判明したと伝えてきた。

 「よし!時間がないから急いで行くぞ!」

 マシューの声がけにそれぞれが頷き、ラルフを先頭に移動を始める。雄介は「深淵の翼」の後を追う形でついて行った。
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