定年退職後の生活は異世界でした

青山ねこまる

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村づくり 初級編

スライムの実験と珍客万来

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 スライムプールにビニール袋を投入して十分近くたったが未だ変化なし。

 スライム達はビニールが邪魔なのか吸収すためか不明だが、もそもそ動きながらビニールの上に移動している。

 ふむ、移動はするが食べている形跡はないか。

 「洋一さん晩ごはんですよ~って何やってんですか?」

 私を呼びに来たアマンダが興味深そうにスライムプールを覗き込んで、うげぇと顔を仰け反らせる。

 「こんなにスライムを獲って来てどうするんですか?」

 アマンダが不気味そうに聞いてきたので、ビニールとペットボトルの廃棄をするためだと説明した。

 「へぇ、これってすごく便利なんですけど、ゴミになると大変なんですねぇ」

 アマンダは腰に吊るしているペットボトルを取り出してしげしげと眺めている。

 「まぁね、スライムで分解が出来ない様ならペットボトルとかの数を減らしていく工夫を考えないとね」

 私は腰を上げてアマンダと一緒に晩ごはんへ向かった。



 
 完全に日が落ちた我が家の前では、投光器で照らされた天井だけの簡易テントの中で、優希が炊き出し用の大鍋で作られた豚汁をお椀にすくい、その隣ではでミリーさんがステーキを焼きながら、お盆を持って並んでいるエルフ娘のお皿に焼きあがったステーキを盛り付けている。

 最近の我が家は総勢23名の大所帯なので、この給食スタイルでの食事が定番となりつつある。

 私はアマンダと一緒に最後尾に並んで順番を待ちながら、みんなの食事風景を眺める。

 テーブルと椅子はキャンプなどで使用する折りたたみ式を使用して、それぞれ五人がけで5セットある状態だ。

  テーブルの中央にはLEDランタンをセットしてそれぞれのテーブルを明るく照らしだし、一組のむさ苦しいオヤジデーブルを除いてみんな華やかなで楽しそうに食事をしている。

 「お!今日は豪勢ですね!」

 私は分厚いステーキをトングを使って焼いているミリーさんにはなしかける。

 「えぇ!アマンダ達がイノシシを狩って来てくれたおかげで、今日は厚めのお肉が食べれますよ」

 ミリーは焼きあがったお肉を私のお皿に乗せながらアマンダにお礼を言っている。

 「いえ、殆どラルフさんのおかげ、私なんかまだまだ・・・」

 アマンダが照れながらも嬉しそうに話している。

 「じゃあ、今日はアマンダ達に感謝しながら頂くことにしよう」

 私もミリーさんに乗っかってアマンダにお礼を言いながら優希の豚汁をもらいテーブルについた。



 
 洋一さんに焼きあがったお肉をお皿に乗せてアマンダと軽く話しながら、これで全員かなと自分のお皿にお肉を乗せようとしたところで、お皿がニュッと突き出された。

 あら、まだいたのねとミリーは出されたお皿にどうぞと言いながらお肉を乗せた。

 「ありがとー」

 「ハイ、どういたしまして」

 ミリーはお肉を持って優希のところへ向かって行く後ろ姿をみて首を傾げるが、優希が豚汁をお盆に乗せている姿を見て、洋一さんか誰かの知り合いかと思い自分と優希の肉を焼き始めた。

 優希は洋一達の後について来た子に疑問を持ちつつも豚汁をお盆に乗せてあげていた。

 「大丈夫?ちゃんと持てる?」

 「うん、大丈夫。ありがとー」

 その子はお盆を持って洋一の後を追っていった。

 優希は首を傾げながらその後ろ姿をみて、洋一が驚いている様子もないことから何処かで知り合ったか、エルフ娘達の友達かと思い、自分とミリーの分の豚汁をよそった。




 私は今非常に混乱している。

 私の隣にはお盆をテーブルに乗せて、器用にフォークを持ってお肉に突き刺している、10歳ぐらいの女の子?が座っている。

 女の子は手の代わりに茶色と黒と白色がマダラになっている翼があり、頭には耳の様にとんがった髪の毛?羽?が飛び出している。

 そう、まるでミミズクの様な女の子だ。

 その子は突き刺した肉に豪快に齧り付き、口の中をパンパンに膨らませながら幸せそうな顔でもぐもぐしている。

 「そのお肉にこのタレを付けるともっと美味しくなるよ?」

 あまりにも幸せそうに食べている姿を見た私は思わず焼肉のタレをお皿に少しだけ入れて薦めてみた。

 女の子は大きな黒目で私を不思議そうに見た後、自分の手に持っている肉と皿のタレを交互に見つめる。

 「そう、そのお肉にちょっとだけ付けて食べてごらん」

 女の子はお肉をタレにちょこんと付けて一口食べると、クワッと目が丸く見開かれ黒目もそれにつられて大きくなり、私をジッと見詰めてる。

 ほんとミミズクに似ている。

 「どう?美味しく無かったかい?」

 私が聞くと、思い出した様に口をもぐもぐしながら首をぶんぶんと横に振った。

 「それは良かった。お肉ばかりじゃなくてこっちの豚汁も食べるんだよ」

 私は女の子に伝えると、自分も食事を始めることにした。

 「あっあの、洋一さん。その子とはお知り合いですか?」

 私の前に座っていたアマンダが驚きながら聞いてきたが、私は首を横に振って否定してルルか他の誰かのお友達なのでは?と答えた。

 「お友達?ですか?」

 アマンダは微妙な顔をしながら、洋一がそう言うのならそうなのだろうを考え自分も食事を始めた。

 ミミズク娘はお肉み満足したのか、今度は豚汁の器を持とうとして手を動かし始めるが、上手く掴めないらしくその度に洋一の顔に羽が当たる。

 私はそっとフォークを置いて、ミミズク娘に向かって「・・・豚汁、食べさせてあげようか?」と訪ねた。

 ミミズク娘は先ほどと同じ様に目をまん丸くして私を見詰めた後、こくんと頷いて口を開けた。

 まさに雛鳥。

 私は豚汁を冷ましながら、ミミズク娘に豚汁を食べさせ始めた。
 
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