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第3章
新ヒロイン?
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「明日、告白しようか迷ってるの……」
そう言って絞り出すように紡ぎだした言葉はあまりに切実で俺だけではとても受け止めきれない。
そう思ってしまった ──────────────
もう何人目ともわからなくなってしまったが、今日も悩める少女がこの相談所にやってきた。
「神坂先輩、どうしたらいいんでしょうか?」
うつむきながら俺に問いかけてきたのは、俺の後輩つまり一年生の佐伯 環奈(さえき かんな)だ。
どうやらこの子は同じクラスの彼女持ちの人のことを好きになってしまったらしい。
「告白するわけにもいかないか……」
今回は結構深刻かもしれない。
「私、ダメな子なんです。好きになっちゃいけないって分かってるのに。」
油断したら泣き出してしまいそうなそんな顔で自分を否定する彼女。
だから
「全然ダメなんかじゃない。本当にダメなのは自分の気持ちと向き合わないことだ。君はちゃんと向き合ってる、だから君は偉いよ。」
俺は肯定する。
「うっ でも私……」
肯定されたことに虚を衝かれたのか彼女は目に涙を滲ませた。
「大丈夫。環奈さんが泣く必要なんかないよ。」
「あり…………がと……ござ……」
言葉にならない言葉が紡ぎだされる。
少し時間が経つと環奈さんも落ち着いてきて。
「あの、ホントありがとうございます。神坂先輩に話したらすごく気持ちが楽になりました!」
「うん。良かった。またなんかあったらいつでも来て!」
はい!と力強く返事をして部屋を出ていく彼女の背中はあまりに頼もしくてきっとここにはもう来ないのだろうとこの時の俺は心底思っていた……
一週間後
コンコン
相談所のドアがノックされたので俺がどうぞと言う前に既にドアは開かれ
「神坂先輩、お疲れ様です!!」
開口一番元気良く挨拶をしてくれたのは一週間前涙を流しながら俺に助けを乞いてきた佐伯 環奈である。
「また、君か……」
「またってなんですか!またって!」
「いや、だってここ一週間毎日来てるじゃない。」
「だ・か・ら私!この部活に入部したんですってば!」
「これ部活じゃないし。」
「屁理屈言う先輩は嫌いです。」
「嫌われても別に構わないけど。」
「なんなんですか!あの時はあんなに優しくしてくれたのに……飽きたらポイですか?そうなんですか?」
「あーー、もうわかったから静かにしてくれ。」
こんなやり取りをもう一週間もしている。
だが新しい部員(仮)が女性だから今まで相談できなかった女子達が気軽に相談できるんではないか。
そんな期待を俺は環奈にはしている。
「なにボーッとしてるんですか?先輩。」
「ちょっと考え事を。」
「また、私の事考えてたんですか?」
「全然全く、これぽっちも考えてない。」
「そんなに否定しなくても……」
そんなしょんぼりしなくても……
まあ、こうして元気に俺と絡んでる分にはもう大丈夫か。
彼女が相談所にやってきた時はどうなるかと思ったが無事一見落着だよね。
よし。
つづく
そう言って絞り出すように紡ぎだした言葉はあまりに切実で俺だけではとても受け止めきれない。
そう思ってしまった ──────────────
もう何人目ともわからなくなってしまったが、今日も悩める少女がこの相談所にやってきた。
「神坂先輩、どうしたらいいんでしょうか?」
うつむきながら俺に問いかけてきたのは、俺の後輩つまり一年生の佐伯 環奈(さえき かんな)だ。
どうやらこの子は同じクラスの彼女持ちの人のことを好きになってしまったらしい。
「告白するわけにもいかないか……」
今回は結構深刻かもしれない。
「私、ダメな子なんです。好きになっちゃいけないって分かってるのに。」
油断したら泣き出してしまいそうなそんな顔で自分を否定する彼女。
だから
「全然ダメなんかじゃない。本当にダメなのは自分の気持ちと向き合わないことだ。君はちゃんと向き合ってる、だから君は偉いよ。」
俺は肯定する。
「うっ でも私……」
肯定されたことに虚を衝かれたのか彼女は目に涙を滲ませた。
「大丈夫。環奈さんが泣く必要なんかないよ。」
「あり…………がと……ござ……」
言葉にならない言葉が紡ぎだされる。
少し時間が経つと環奈さんも落ち着いてきて。
「あの、ホントありがとうございます。神坂先輩に話したらすごく気持ちが楽になりました!」
「うん。良かった。またなんかあったらいつでも来て!」
はい!と力強く返事をして部屋を出ていく彼女の背中はあまりに頼もしくてきっとここにはもう来ないのだろうとこの時の俺は心底思っていた……
一週間後
コンコン
相談所のドアがノックされたので俺がどうぞと言う前に既にドアは開かれ
「神坂先輩、お疲れ様です!!」
開口一番元気良く挨拶をしてくれたのは一週間前涙を流しながら俺に助けを乞いてきた佐伯 環奈である。
「また、君か……」
「またってなんですか!またって!」
「いや、だってここ一週間毎日来てるじゃない。」
「だ・か・ら私!この部活に入部したんですってば!」
「これ部活じゃないし。」
「屁理屈言う先輩は嫌いです。」
「嫌われても別に構わないけど。」
「なんなんですか!あの時はあんなに優しくしてくれたのに……飽きたらポイですか?そうなんですか?」
「あーー、もうわかったから静かにしてくれ。」
こんなやり取りをもう一週間もしている。
だが新しい部員(仮)が女性だから今まで相談できなかった女子達が気軽に相談できるんではないか。
そんな期待を俺は環奈にはしている。
「なにボーッとしてるんですか?先輩。」
「ちょっと考え事を。」
「また、私の事考えてたんですか?」
「全然全く、これぽっちも考えてない。」
「そんなに否定しなくても……」
そんなしょんぼりしなくても……
まあ、こうして元気に俺と絡んでる分にはもう大丈夫か。
彼女が相談所にやってきた時はどうなるかと思ったが無事一見落着だよね。
よし。
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