恋愛経験ゼロの恋愛マスター

あさ

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第3章

三つ巴

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 佐伯 環奈が入部(仮)をしてから二週間が経ったある日の放課後。
 俺達は相談所で悩める少年少女を待っていたのだが……
 「神坂先輩!デート行きましょ!」
 「行かん。」
 「どうしてですか!?こんなに可愛い後輩がデートのお誘いしてるのに!」
 「自己評価高いね。君。そういうの大事だよ。うん。」
 確かに佐伯 環奈は客観的に見て可愛い。
 色白でパッチリ二重、茶色がかった髪は短く整えられ、シャンプーのCMに出てくるモデルのようにストレートで美しい。
 「あー、もう茶化さないでくださいよぉ~」
 「茶化すも何も、俺をデートに誘うこと自体ネタだから。ネタ以外なにものでもないから。」
 「先輩、いつになく卑屈ですね……」
 「いや、いっつもこんなもんだろ。」
 「相談した時はあんなに優しくて頼りになったのに……」
 顔を朱に染めもごもごしゃべるのでよく聞き取れなかった。
 「えっ?」
 「なんでもないです!!」
 少々の怒気が込められていたように感じた。
 そんなやり取りをしていると相談所のドアがノックされ
 「どうぞ。」
 そう俺が言うと、ゆっくりドアが開かれ、顔と体の半分だけをドアから覗かせ
 「登君、私とデートしましょ?」
 慎ましく女性らしく小首をかしげながらデートのお誘いをしてくれたのは川村先生だ。
 「はい!行きましょう!!今すぐに!」
 素直に嬉しかった。
 それに女性からのお誘いに答えられないのは正直全然ダメだと思う。
 「えっ……なんか私の時と反応違うんだけど……」
 ボソッと環奈が呟く。
 「ていうか!女性からの誘いに答えられないのはダメとか言っておいて、私の誘い断ったじゃない!!」 
 怒りのボルテージがマックスになってしまった環奈は俺を責めるように捲し立てる。
 「ん。待って。タメ口なっちゃってますよ?環奈さん。」
 なぜか俺が敬語を使ってしまった。
 「そんなの今は関係ありません!」
 ちゃんと敬語に直したあたり、素直で可愛いと思う。
 「それから、もしかして環奈さん俺の心読めたりする?」
 「女の勘です!」
 「えっ…怖い……」
  そんな会話しているとんんっーーと唸り声がしたので振り向くと
 「二人とも仲が良いんだね……私おいてけぼりだ…」
 「先生……俺達全然仲良くなんかないですよ!な?環奈!」
 「いいえ!先輩と私は仲良しです!」
 「や、やっぱり……」
 川村先生がしゅんとしてしまう。
 「えっ、えーと……」
 俺があたふたしていると
 「じゃあ!三人でどっか行きましょう!」
 と言ったのは、環奈である。
 「いや、俺は先生と二人で出かける。」
 「もう!なんでですか!!」
 そう言いながら俺の胸をポカポカ叩いてくるので
 「あー、もうわかった。先生もそれで良いですか?」
 「うん!」
 やっと笑顔を見せてくれた先生はやはり可愛かった。
 「ねぇ!先輩私は?」
 「知らん。」
 てか、ほんとにこの子俺の心読めるの?
 怖い。
 じゃあ、試しに……
 可愛いよ!
 「「っん!!」」
 なんで二人とも顔赤くしてんの?
 「先輩……」 
 「登君……」
 この時初めて俺は、女性は皆心を読めることを知ったのだった。

                    つづく
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