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第二章
突然の
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「──今日は悪いな。わざわざ俺様の家に来てもらって」
──会って早々そう言葉を口にしたのは、時機《じき》かけるさん。性別は今の世の中では希少な男性。以前の話になるんだが、彼とはモニター越しに対談した事があるんだよ。
そう。感の良い人ならもう気がついたと思う。
彼はAランクの俺様その人だ。
こうして直に会う事になったのは、男性管理局経由でかけるさんが俺に連絡を取ってきた為だ。勿論連絡を取ってきたのには理由があって…
「いえ…」
「まあ、とりあえずそこの席についてくれや」
「はい」
言われた通り席に着く。同時にかけるさんの家で雇われているメイドの女性達がお茶やらジュースやらの飲み物、それにお菓子をテーブルに所狭しと並べていく。すいませんとお礼をメイドさん達に述べ、頭を下げるとメイドの女性達の動きが止まり、驚愕の表情を一瞬浮かべたのがハッキリと視界に入った。そんなに驚く事でも…。いや、コレは今の世の中じゃあ普通の反応だったな。
まあ、その後何事もなかったかのようにその場を彼女達が後にしたのは、流石男性の家に勤める人達だと心からそう思えた。
「…やっぱり…変わってるな、お前は。メイド達にわざわざお礼を述べて、あまつさえ頭を下げるなんてな…」
「ええと…俺にとってはコレが普通なんですけどね」
「それは…記憶を失う前からか?」
「妹の話を聞く限りはそうですね。以前から女性に対して嫌悪感を抱く事もなかったそうなので」
「…そうか。流石は暫定Sランク…だな…」
「………」
ここでその言葉に対してありがとうございますとは言えないんだよな…。何故なら…聞いた話ではかけるさんの現ランクはDまで下がっているんだそうだ。なので…それ以降かけるさんは配信をしてないらしいんだよな。Dランクになったのに、Aランクの俺様という配信名は使えないだろうというのがかけるさんの本音だ。
俺もある意味というか…その件にガッツリ関わっているしな。俺がかけるさんの配信中にコメントしたのがそもそもの発端でこうなっていると言っても過言ではないしな…。
「じゃあ…早速で悪いんだが…」
まあ、そんな事もあって今回はかけるさんからの要望を聞いたというわけだ。その要望というのがランクを元に戻すにはどうすればいいかという事。真っ先にその相談を受けた男性管理局はその件に対して俺に白羽の矢を立てたんだと思う。
「ご教授願えるか?」
「ええと…これから俺が口にする言葉に対して生意気言うなと取らないでもらいたいのですが…」
「…ああ…さっきも言ったがこっちはご教授願う立場だ。だから気にせず口にしてくれると助かる」
口調はアレだが…以前と違いかけるさんにも思う事があったんだと思う。だからこうして聞いてきてるんだろうし、ランクを元に戻したいと思ったんだろうしな。
「では…さきほどメイドの女性達がお茶等を持ってきてくれた際の事なんですけど」
「あ、ああ。お前みたいにお礼を伝えて頭を下げるようにした方がいいという事か?」
「そうですね。してもらった事に対して感謝の心を持ってというか…伝えるというか」
「…それで? ──────」
♢♢♢
「──って、感じにすれば」
「そうか。俺様がしていた事をだいたい真逆にしたような感じだな」
「……はい」
とりあえず俺がしている事やこうした方がいいと思うなど俺が普段している事や思っている事を言葉にしてかけるさんに伝えたんだ。
当然色々話をしていたらあっという間に時間は過ぎて…
「──豊和。時間よ」
キリがいいところで声を掛けてきてくれたのは風華。彼女は当然俺の護衛として付いてきてくれているんだ。どこに行くにも必ず一緒だな。ついでに伝えておくと、今日は男性管理局から派遣された女性の数も多い。一つの場所に男性が集まっているんだからそれと当たり前か。
「なんだ?帰るのか?泊まっていけばいいだろうに…」
「ありがとうございます。ですが、…御言葉だけで。ホテルでみんなが待ってますんで」
「そうか…。なら仕方ないな。もう少し話したり…コラボ配信やらもしてみたかったのだが」
「すいません」
コラボ配信か。してみるのも自分の為にもいいし、なによりそれも楽しそうと思いながら、かけるさんに頭を下げ、その場を後にしようとして──
「──まあ、ゆうて…そんな事せんし、やっぱり俺達男にとって邪魔だよ、お前…」
「「…えっ…?」」
かけるさんの突然のそんな言葉に風華と二人間の抜けた声を洩らしてしまった。
「っ!?ちょっ!?何っ!?まさか局員全員…」
風華のそんな声が響くと同時に俺達は周りを囲まれて…
──会って早々そう言葉を口にしたのは、時機《じき》かけるさん。性別は今の世の中では希少な男性。以前の話になるんだが、彼とはモニター越しに対談した事があるんだよ。
そう。感の良い人ならもう気がついたと思う。
彼はAランクの俺様その人だ。
こうして直に会う事になったのは、男性管理局経由でかけるさんが俺に連絡を取ってきた為だ。勿論連絡を取ってきたのには理由があって…
「いえ…」
「まあ、とりあえずそこの席についてくれや」
「はい」
言われた通り席に着く。同時にかけるさんの家で雇われているメイドの女性達がお茶やらジュースやらの飲み物、それにお菓子をテーブルに所狭しと並べていく。すいませんとお礼をメイドさん達に述べ、頭を下げるとメイドの女性達の動きが止まり、驚愕の表情を一瞬浮かべたのがハッキリと視界に入った。そんなに驚く事でも…。いや、コレは今の世の中じゃあ普通の反応だったな。
まあ、その後何事もなかったかのようにその場を彼女達が後にしたのは、流石男性の家に勤める人達だと心からそう思えた。
「…やっぱり…変わってるな、お前は。メイド達にわざわざお礼を述べて、あまつさえ頭を下げるなんてな…」
「ええと…俺にとってはコレが普通なんですけどね」
「それは…記憶を失う前からか?」
「妹の話を聞く限りはそうですね。以前から女性に対して嫌悪感を抱く事もなかったそうなので」
「…そうか。流石は暫定Sランク…だな…」
「………」
ここでその言葉に対してありがとうございますとは言えないんだよな…。何故なら…聞いた話ではかけるさんの現ランクはDまで下がっているんだそうだ。なので…それ以降かけるさんは配信をしてないらしいんだよな。Dランクになったのに、Aランクの俺様という配信名は使えないだろうというのがかけるさんの本音だ。
俺もある意味というか…その件にガッツリ関わっているしな。俺がかけるさんの配信中にコメントしたのがそもそもの発端でこうなっていると言っても過言ではないしな…。
「じゃあ…早速で悪いんだが…」
まあ、そんな事もあって今回はかけるさんからの要望を聞いたというわけだ。その要望というのがランクを元に戻すにはどうすればいいかという事。真っ先にその相談を受けた男性管理局はその件に対して俺に白羽の矢を立てたんだと思う。
「ご教授願えるか?」
「ええと…これから俺が口にする言葉に対して生意気言うなと取らないでもらいたいのですが…」
「…ああ…さっきも言ったがこっちはご教授願う立場だ。だから気にせず口にしてくれると助かる」
口調はアレだが…以前と違いかけるさんにも思う事があったんだと思う。だからこうして聞いてきてるんだろうし、ランクを元に戻したいと思ったんだろうしな。
「では…さきほどメイドの女性達がお茶等を持ってきてくれた際の事なんですけど」
「あ、ああ。お前みたいにお礼を伝えて頭を下げるようにした方がいいという事か?」
「そうですね。してもらった事に対して感謝の心を持ってというか…伝えるというか」
「…それで? ──────」
♢♢♢
「──って、感じにすれば」
「そうか。俺様がしていた事をだいたい真逆にしたような感じだな」
「……はい」
とりあえず俺がしている事やこうした方がいいと思うなど俺が普段している事や思っている事を言葉にしてかけるさんに伝えたんだ。
当然色々話をしていたらあっという間に時間は過ぎて…
「──豊和。時間よ」
キリがいいところで声を掛けてきてくれたのは風華。彼女は当然俺の護衛として付いてきてくれているんだ。どこに行くにも必ず一緒だな。ついでに伝えておくと、今日は男性管理局から派遣された女性の数も多い。一つの場所に男性が集まっているんだからそれと当たり前か。
「なんだ?帰るのか?泊まっていけばいいだろうに…」
「ありがとうございます。ですが、…御言葉だけで。ホテルでみんなが待ってますんで」
「そうか…。なら仕方ないな。もう少し話したり…コラボ配信やらもしてみたかったのだが」
「すいません」
コラボ配信か。してみるのも自分の為にもいいし、なによりそれも楽しそうと思いながら、かけるさんに頭を下げ、その場を後にしようとして──
「──まあ、ゆうて…そんな事せんし、やっぱり俺達男にとって邪魔だよ、お前…」
「「…えっ…?」」
かけるさんの突然のそんな言葉に風華と二人間の抜けた声を洩らしてしまった。
「っ!?ちょっ!?何っ!?まさか局員全員…」
風華のそんな声が響くと同時に俺達は周りを囲まれて…
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