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二人が部屋を出て行って数分が経ったものの、外の様子を見に行った精霊いわくまだ二人の会話は続いているらしい。

私は机の上で頬杖を付きながら精霊達が教えてくれる二人がしている会話に軽く耳を傾ける。

『あのね、あのね!レイモンドとアルバートは今オリヴィアのお話をしてるよ!!』

 ここでふと頭に浮かんだのはアルバート王子が部屋を出る前に私に告げた内容の中の一部。

『「一体本日はどのようなご要件で我が屋敷に来られたのでしょうか?もしや姉のあの件を嗅ぎ付けた訳では無いですよね?」』

この際、レイモンドが知ってることといえばついこの前にリーフが姿を現したことぐらい。

それ以外は今まで通りに過ごしていたはずだ。

となると、レイモンドが言っていたあの件とはリーフの事なのでは……?

そこまで考えると、私は慌ててその場から立ち上がって部屋の扉に手を掛ける。

『オリヴィア、どうしたの~?』

「ちょっとあの二人に用事ができたのよ!」

『え~なら僕達も行くぅ~!』

『オリヴィア、二人はこっちだよぉ~』

私は精霊達からの案内通りに人通りの少ない廊下までやって来ると、二人から見えない位置から二人の話へ耳を傾ける。

「レイモンド、君がさっき言っていたオリヴィアのあの件というのは一体なんなんだ?」

「知らないならそれでいいいです。僕は何を言われても言いませんよ」

「ふーん、君ってオリヴィアのことが嫌いなんじゃなかったのかい?」

「……だからなんですか?それを言うなら貴方だってそうでしょう。それなのに今日はわざわざあの人に会いに来た。その理由はなんですか?」

「ははっ、それこそ君に教える必要はなくないかい?」

「ならもう話は終わりでいいでしょう」

「僕は彼女の婚約者として彼女の事が知りたくてね」

「ご自分で調べればいいのでは?」

明らかに機嫌が悪くなっていくレインの声と、そんなもどうでもいいと言わんばかりの声色で笑っているアルバート王子。

そして、私の目の前には二人から自分達が見えないのをいいことに物陰から姿を現して『ケンカだぁー!』や『レイモンド頑張れー!』とケラケラと笑う精霊達。

流石にこんな中でいきなり二人に声を掛けるなんてできる訳がなく、私は精霊達に「取り敢えず帰るわよ」と告げてその場から歩き出す。

あの話を聞いている限りレイモンドがアルバート王子に何かを言う訳ではなさそうだ。

ならもう放っておいてもいいだろう。

「部屋でみんなでクッキーでも食べましょう」

『わーい!食べる!!』

『クッキー大好きぃー!!』

『さっきのジャムは食べれる~?』

「ジャムは流石に無理ね。またそれは彼が帰ってからにしましょ」

『分かった!』

私はそのまま自分の周りをクルクルと上機嫌に飛び回る彼らに苦笑いを浮かべながら、そのまま自室へと帰ったのだった。


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