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ひらひらと揺れるワンピースの裾を追ってやって来た私の目の前には今、何故か分からないけれど白いとてつもなく綺麗な装飾のされた扉が一つ。

私はそれに対して困惑しつつもゆっくりと扉をノックしてドアノブを回す。

すると、扉の先で私を待っていたのは背中から透明なキラキラとした羽を生やした物凄く綺麗な容姿をした一人の少女。

彼女は私のことを視界に入れるなり嬉しそうな顔をしながらこう言った。

『はじめまして、オリヴィア!』

「は、初めまして……」

私の予想が当たっていればだけれど、この目の前の少女は精霊だとは思う。

けど、私が小説内には書かずとも前世で妄想の中で作り出した精霊はもっとこう小さくてふわふわしているような子達だったのだけどなんでこの目の前の子はこんなにも人間と大差ない大きさをしているのだろうか。

私はそう思いながら目の前で心底嬉しそうにする少女に苦笑を浮かべながら『こっちに来て!』なんて言って、自身の腕をグイグイと引っ張ってくる彼女の言う通りに彼女が腰掛けたソファーの上に腰掛ける。

ていうか、ここって夢の中ですよね?

リュゼがここにいたのはまああの子は夢渡りを使えるからあり得るとして、何故この精霊は私の夢の中にいる?

例え万物に宿っている精霊だとしても夢にだけは干渉出来ないはず。

なのに何故この少女はガッツリとこんなに人の夢の中で好き勝手出来ているのか。

私はじっとこちらを不思議そうに見上げる少女を見詰め、黙り込む。

すると、少女はそんな私を見て何を思ったのか自己紹介を始めた。

『あのね、私はリーム。この世界で夢を司ってる精霊なの』

「夢を……?」

『うん、あのリュゼって子が夢渡りが出来るようにしてるのも私。……あっ、オリヴィアもしたいならさせてあげるけどどう?』

ニコニコとそう言いながら無害そうに笑う彼女。

でも、夢を司る精霊なんてそんな馬鹿げた話……。

とは思ったものの、そう言えば私は前世で精霊の中にも位を作っていたことを思い出した。

例えば、火の精霊の中に王のような存在がいて、水の精霊の中にも王のような精霊がいるということ。

恐らく彼女は私が作ったそれらの王のような立場にある精霊の中の一人なのだろう。

夢を司る精霊なんてものは私自身作った覚えはないが。

私はふうっと小さくと息を吐くと目の前のリームの頭を撫でて『どうする?どうする?』なんて聞いてくる彼女に首を横に振ると、目の前の彼女に軽い質問をする。

「夢渡りはできなくていいわ。それよりも聞きいんだけどリームは精霊の中で上位の位にいる精霊であってる?」

『うん!』

「えっと、あの、よかったらなんだけど貴方以外にもいる上位の位にいる精霊のことって聞ける……?」

『いいよ~。えっとね、私以外にいる上位精霊は炎と水と風と土と緑と雷と光と闇とかいっばいいるよ!どこにいるかは知らないけど!!』

クスクスと笑いながら私の腰元に抱き着きながらそう教えてくれたリーム。

私はそんな彼女の頭を撫でながら感謝の言葉を告げる。

「教えてくれてありがとう」

ていうか、何でこんなにも私は好かれているのか。

そう考えながら私は彼女に「最後に一つ質問」となぜ自身が妖精に好かれているのかと尋ねる。

すると、リームは優しく微笑んだと思うと自身の心臓に手を当てながらこう言う。

『オリヴィアのそばに居るとなんだかとっても落ち着くの。あと一緒にいるとここが暖かくなる……』

そして、彼女は更に『それにね』という言葉に続けてとんでもない発言をしてきた。

『オリヴィア、最近は見えてなかったけど小さい頃は私達のこと見えてたんだよ?』

これに関してはオリヴィアの記憶も一応は保持しているものの全く身に覚えにない。

私は一度昔の記憶を掘り起こすために頭を抱えてみる。

けど全くそんな覚えはなくて、思い出すことを諦めた私は軽く肩を落とす。

同時にリームは何かを思い出したような顔をしたと思うと、こう告げてきた。

『あっ、そう言えばメリーがオリヴィアの記憶消してたや!』

「え、何で?」

『フレイムとアクアが大喧嘩してオリヴィアに怪我させたの。まあ、その時の傷はその場でリングが治してたから傷跡も何も残ってないとは思うけど。でもあの時のオリヴィアはとっても私達を怖がっちゃってね、仕方ないからメリーが私達の記憶を消そうってなったの』

「そっか……」

あんまりしっくりくる話ではないものの私を思っての行動か。

私は取り敢えず色々教えてくれたリームに感謝の言葉を告げると、聞きたいことも色々聞けたのでそのまま「帰ろうかな」と言ってその場から立ち上がる。

すると、リームは私と同じようにその場から立ち上がったと思うと『あれが帰り道ね!』なんて言って青い扉を指さす。

そして最後に私に『また来てね!』と言ってきた。

その時の彼女は一瞬ではあるものの少しだけ悲しそうな顔をしていた。

だから私は無意識に彼女を抱き締めた後にこう告げていた。

「うん、また来る。今度はゆっくりお茶しましょ」

『うん!美味しいお茶とお菓子の用意しとくね!!』

「ふふっ、楽しみだなぁ」

『私も楽しみ!』

私達はお互いにクスクスと笑い合うとそのまま「またね」と言い合って、私は背後でこちらをに手を振るリームに手を振り返しながら青い扉を潜ってゆっくりと自室のベッドの上で目を覚ました。
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