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「それでは我々アリリアナ組の初クエストに向けて打ち合わせを始めますわ。……あら、アリリアナさん、どうされたんですの?」
貴族街に最も近い一般区画にイリーナさんの家はあった。庭付きの二階建て。平民の中では大きい部類の建物ではあるけれど、大貴族であるグラドール家の者としてはかなり慎ましい住宅だ。
騎士の多くはその能力を活かして国軍に入るのが普通だけど、彼女は冒険者の道を選んでここにいる。実家とはどんな関係なんだろ?
「あ~。気にしないで。ちょっとお昼食べ過ぎた感じなだけだから」
「想像以上に美味しかったからな」
お腹を押さえて机に突っ伏すアリリアナと、その横で出された茶碗に口をつけるセンカさん。
メルルさんと分かれた私達は午前に決めた通りギルド街にある魔物寿司というお店に行った。初めはどんな料理が出てくるのか凄く不安だったけど、食材として出て来たお魚は品種改良された魔力種で、生のお肉が苦手な私が食べても美味しいと思えた。
「確か最近できた魔物寿司というところに言ったんですわよね。そんなに美味しかったんですの?」
「もうサイコ~」
「貴族であるイリーナ殿がどう感じるかは分かりませんが、少なくとも私はおいしいと思いました」
「でもお高いんでしょ?」
人のことは言えないけど、イリーナさんが国でも指折りの貴族とは思えないことを言う。
「海からの輸入は魔物や魚の鮮度の問題など、かかるコストが多く、基本的にお寿司は貴族の食べ物とされてます。ですが魔物寿司で出される魚は養殖されたもので、輸入の経費がかからないぶん、かなり良心的な価格でした」
「それは素晴らしですわ。ロロルド、さっそくこの後いきますわよ」
「畏まりました。お嬢様」
みんなが椅子に腰掛ける中お嬢様の執事だからと、頑なに着席を断ったロロルドさんが腰を折る。ちなみにドルドさんは前回好評だったからか、幼女の姿でイリーナさんの隣にちょこんと腰掛けていた。
「近頃は魔物被害が多発し、国外からの輸入品が減少傾向にあると聞きますわ。魚に限らず養殖技術にはもっと力を入れるべきですわよね」
「言いたいことは分かるけどさぁ、それで解決するのは一部じゃん。輸入に頼ってたお店が全て自己生産で賄うなんて出来るわけないし。……あ、そうだ。探索クエストが受けられるようになるまで、私らのクランは輸送クエストを中心に受ける感じでいかない? それなら探索クエストと同じで、色んなところを見れて楽しい上に人の役に立てるし」
「構いませんが、その場合もっと大きな馬車が必要ですわよ。今の馬車ですと、冒険するだけならともかく、輸送クエスト専門でいくには不安がありますわ」
「そこはほら、今回馬車に使うはずだった費用がまるまる残ってるから、購入自体は問題ない感じ」
イリーナさんの視線が一瞬こちらを向く。恐らくだけど彼女も私と似たような境遇のはずだ。結果としてだけど、お父様の支援を受けた私のことをどう思ってるんだろ?
「アリリアナさんの意向については分かりましたわ。馬車の購入費用が問題ないことも。ですが今は最初のクエストに集中しましょう」
「それなんだが、クランメンバーでない私まで話し合いに参加して良いのか?」
小さく手を上げたセンカさんが、今更な質問をする。
イリーナさん達との打ち合わせは本来明日の予定だった。でもギルド街でたまたま会えたので、話の流れでイリーナさんの家にお邪魔することになったのだ。
「アリリアナさんやドロシーさんの友人でしたら構いませんわ。そもそも聞かれて困る話があるわけでもないですしね」
「そうか。……すまない」
どうしたんだろ? センカさん、お昼を食べるまではアリリアナと一緒ですごいテンション高かったのに、今は何だかちょっと暗い気がする。
「それでは打ち合わせを始めますわ。まずーー」
今回の目的地はその気になれば走って行ける距離と言うこともあって、話し合いはそれほど長くは掛からなかった。
「以上ですわね。誰か、他に何かありますか?」
「ん~。特になしな感じかな」
「私もありません」
「一応答えると私もだ」
「何かというのは何なのか。もっとぐたいーーむぐっ!?」
いつもの調子で喋り出そうとしていたドルドさんの口にイリーナさんが指を当てる。ロロルドさんは何も言わずに空となったカップの片付けを始めた。
「それでは三日後の出発に向けて各自準備を怠らないように。それとこの場にいないレオさんへの連絡は、アリリアナさんに任せてよろしいですわね?」
「あ~。それなんだけどさ……」
アリリアナと目が合う。ここは言い出しっぺの私から話すべきだよね。
「レオ君は今回のクエスト誘わないつもりなの。だから花を取りに行くのはここにいるメンバーで全員。あっ、勿論センカさんは除くけど」
「あら。それは構いませんけど、どうして彼を外しますの?」
「レオ君まだ学生だし、冒険者を目指している訳でもないのに、最近私達の活動に沢山の時間を使わせちゃったから。今回は二泊の予定だけど危険も少ないし、付き合わせるのは悪いかなって」
本来は二泊も必要ないけど、長距離を移動する時を想定して、外でのキャンプを計画中だ。
「そうなんですの。彼がクランのメンバーとして活動してくれれば頼もしい限りなのですが、こればかりは仕方ありませんわね」
「うん。そう……だね」
レオ君が冒険者として活動すれば多分私なんかよりもずっと凄い人になると思う。でも私はーー
貴族街に最も近い一般区画にイリーナさんの家はあった。庭付きの二階建て。平民の中では大きい部類の建物ではあるけれど、大貴族であるグラドール家の者としてはかなり慎ましい住宅だ。
騎士の多くはその能力を活かして国軍に入るのが普通だけど、彼女は冒険者の道を選んでここにいる。実家とはどんな関係なんだろ?
「あ~。気にしないで。ちょっとお昼食べ過ぎた感じなだけだから」
「想像以上に美味しかったからな」
お腹を押さえて机に突っ伏すアリリアナと、その横で出された茶碗に口をつけるセンカさん。
メルルさんと分かれた私達は午前に決めた通りギルド街にある魔物寿司というお店に行った。初めはどんな料理が出てくるのか凄く不安だったけど、食材として出て来たお魚は品種改良された魔力種で、生のお肉が苦手な私が食べても美味しいと思えた。
「確か最近できた魔物寿司というところに言ったんですわよね。そんなに美味しかったんですの?」
「もうサイコ~」
「貴族であるイリーナ殿がどう感じるかは分かりませんが、少なくとも私はおいしいと思いました」
「でもお高いんでしょ?」
人のことは言えないけど、イリーナさんが国でも指折りの貴族とは思えないことを言う。
「海からの輸入は魔物や魚の鮮度の問題など、かかるコストが多く、基本的にお寿司は貴族の食べ物とされてます。ですが魔物寿司で出される魚は養殖されたもので、輸入の経費がかからないぶん、かなり良心的な価格でした」
「それは素晴らしですわ。ロロルド、さっそくこの後いきますわよ」
「畏まりました。お嬢様」
みんなが椅子に腰掛ける中お嬢様の執事だからと、頑なに着席を断ったロロルドさんが腰を折る。ちなみにドルドさんは前回好評だったからか、幼女の姿でイリーナさんの隣にちょこんと腰掛けていた。
「近頃は魔物被害が多発し、国外からの輸入品が減少傾向にあると聞きますわ。魚に限らず養殖技術にはもっと力を入れるべきですわよね」
「言いたいことは分かるけどさぁ、それで解決するのは一部じゃん。輸入に頼ってたお店が全て自己生産で賄うなんて出来るわけないし。……あ、そうだ。探索クエストが受けられるようになるまで、私らのクランは輸送クエストを中心に受ける感じでいかない? それなら探索クエストと同じで、色んなところを見れて楽しい上に人の役に立てるし」
「構いませんが、その場合もっと大きな馬車が必要ですわよ。今の馬車ですと、冒険するだけならともかく、輸送クエスト専門でいくには不安がありますわ」
「そこはほら、今回馬車に使うはずだった費用がまるまる残ってるから、購入自体は問題ない感じ」
イリーナさんの視線が一瞬こちらを向く。恐らくだけど彼女も私と似たような境遇のはずだ。結果としてだけど、お父様の支援を受けた私のことをどう思ってるんだろ?
「アリリアナさんの意向については分かりましたわ。馬車の購入費用が問題ないことも。ですが今は最初のクエストに集中しましょう」
「それなんだが、クランメンバーでない私まで話し合いに参加して良いのか?」
小さく手を上げたセンカさんが、今更な質問をする。
イリーナさん達との打ち合わせは本来明日の予定だった。でもギルド街でたまたま会えたので、話の流れでイリーナさんの家にお邪魔することになったのだ。
「アリリアナさんやドロシーさんの友人でしたら構いませんわ。そもそも聞かれて困る話があるわけでもないですしね」
「そうか。……すまない」
どうしたんだろ? センカさん、お昼を食べるまではアリリアナと一緒ですごいテンション高かったのに、今は何だかちょっと暗い気がする。
「それでは打ち合わせを始めますわ。まずーー」
今回の目的地はその気になれば走って行ける距離と言うこともあって、話し合いはそれほど長くは掛からなかった。
「以上ですわね。誰か、他に何かありますか?」
「ん~。特になしな感じかな」
「私もありません」
「一応答えると私もだ」
「何かというのは何なのか。もっとぐたいーーむぐっ!?」
いつもの調子で喋り出そうとしていたドルドさんの口にイリーナさんが指を当てる。ロロルドさんは何も言わずに空となったカップの片付けを始めた。
「それでは三日後の出発に向けて各自準備を怠らないように。それとこの場にいないレオさんへの連絡は、アリリアナさんに任せてよろしいですわね?」
「あ~。それなんだけどさ……」
アリリアナと目が合う。ここは言い出しっぺの私から話すべきだよね。
「レオ君は今回のクエスト誘わないつもりなの。だから花を取りに行くのはここにいるメンバーで全員。あっ、勿論センカさんは除くけど」
「あら。それは構いませんけど、どうして彼を外しますの?」
「レオ君まだ学生だし、冒険者を目指している訳でもないのに、最近私達の活動に沢山の時間を使わせちゃったから。今回は二泊の予定だけど危険も少ないし、付き合わせるのは悪いかなって」
本来は二泊も必要ないけど、長距離を移動する時を想定して、外でのキャンプを計画中だ。
「そうなんですの。彼がクランのメンバーとして活動してくれれば頼もしい限りなのですが、こればかりは仕方ありませんわね」
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