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「メルルさん」
「おはよう」
「おはよう。夜勤明け?」
メルルさんの目元にはうっすらと疲労の後が浮かんでいた。
「そうなの。ドロシーさんはもしかして新しいお仕事が?」
「うん。ポタラさんからの依頼でポポルシェ王国に支援物資をもっていくの」
「出発は?」
「三日後だよ」
「レオ、貴方も行くの?」
「当たり前だろ。卒業したらそのまま冒険者になるんだから、行かない理由がない」
最近は殆どなくなったけど、メルルさんとレオ君は進路のことでよく対立してたから、この手の話になるとまた喧嘩するんじゃないかって、ちょっぴり不安。
「……そう。あっ、ドロシーさん。よかったらだけど、今からお茶しない? 私今週シフトに穴がなくて、今じゃないと時間作れないかもしれないの」
「えっと、それは……うん。私もメルルさんとお話ししたいんだけど……」
一応今はお仕事中でアリリアナ達が働いてる時に私だけゆっくりお茶するってのもどうなのかな? お昼まで持ってもらおうか。あっ、でもメルルさんは夜勤明けなんだよね。……困った。
「馬車のメンテしに来たんだろ? そっちは俺がしておくから姉貴の相手をしてくれよ」
「レオ君……」
ちょっと口が悪いところはあるけれど、心の機微に敏感で、相手を思いやれる彼のこういうところが好きだ。
「ありがとう」
「おう。あっ、でもさ、その、明日なんだけど」
「うん。分かってるよ。でもお昼はオオルバさんとご飯に行くから」
「オオルバさんと……そっか。なら仕方ないな」
レオ君は私がオオルバさんとの約束を優先することについて何も言わない。彼らしいと言えばそうなんだけど、たまに私とオオルバさんの関係を知っているんじゃないかと勘ぐってしまうほどだ。
「それならさ、デートは、その、よ、夜でいいか?」
「うん。いいよ」
「じゃあ決まりで」
「……うん」
「「…………」」
き、気まずい。
最近たまにこんな風になる時がある。付き合いたての頃とはまた違う緊張感。理由は分かってる。交際を開始して一年。遅いくらいだ。別に嫌と言うわけではないんだけど、今日かもしれない。今日かもしれないと思ってたら、今日になってた。私の方が年上なんだし、私から行動するべきなのかな? でも別に焦ることもない気がするし……。
「ふむ。悩める君もまた魅力的だね、私の夜空」
「……ガルドさん、そっと近付くのやめてもらっていいですか?」
「失礼。どうやら仕事のようなのでね。できるならその前にもっと君を見ておきたかったのだよ」
「仕事、ですか?」
そこで裏庭にまた新たな人物が入ってくるのが見えた。レオ君と同じ炎のような髪と瞳を持つ女性、ガルドさんの従者であるリリーナさんだ。
裏庭の端に足を止めたリリーナさんはこちらに向かって小さく頭を下げたけど、ガルドさんを待っているのだろう、ここまでやってくる様子はない。
「それでは私は失礼するよ。ギルドの仕事、応援はするが、くれぐれも無理のないようにね」
そう言ってガルドさんはもう一度私の手の甲にキスをした。レオ君が嫌がるのでやんわり断るつもりだったけど、貴族の挨拶としてはそこまで珍しい事ではないのでやっぱり拒否しにくい。ううん。それよりも今は……。
「あの、気をつけて」
離れていくガルドさんの背中に声を掛けた。彼は笑顔で一度頷くと、そのまま去っていった。
「おはよう」
「おはよう。夜勤明け?」
メルルさんの目元にはうっすらと疲労の後が浮かんでいた。
「そうなの。ドロシーさんはもしかして新しいお仕事が?」
「うん。ポタラさんからの依頼でポポルシェ王国に支援物資をもっていくの」
「出発は?」
「三日後だよ」
「レオ、貴方も行くの?」
「当たり前だろ。卒業したらそのまま冒険者になるんだから、行かない理由がない」
最近は殆どなくなったけど、メルルさんとレオ君は進路のことでよく対立してたから、この手の話になるとまた喧嘩するんじゃないかって、ちょっぴり不安。
「……そう。あっ、ドロシーさん。よかったらだけど、今からお茶しない? 私今週シフトに穴がなくて、今じゃないと時間作れないかもしれないの」
「えっと、それは……うん。私もメルルさんとお話ししたいんだけど……」
一応今はお仕事中でアリリアナ達が働いてる時に私だけゆっくりお茶するってのもどうなのかな? お昼まで持ってもらおうか。あっ、でもメルルさんは夜勤明けなんだよね。……困った。
「馬車のメンテしに来たんだろ? そっちは俺がしておくから姉貴の相手をしてくれよ」
「レオ君……」
ちょっと口が悪いところはあるけれど、心の機微に敏感で、相手を思いやれる彼のこういうところが好きだ。
「ありがとう」
「おう。あっ、でもさ、その、明日なんだけど」
「うん。分かってるよ。でもお昼はオオルバさんとご飯に行くから」
「オオルバさんと……そっか。なら仕方ないな」
レオ君は私がオオルバさんとの約束を優先することについて何も言わない。彼らしいと言えばそうなんだけど、たまに私とオオルバさんの関係を知っているんじゃないかと勘ぐってしまうほどだ。
「それならさ、デートは、その、よ、夜でいいか?」
「うん。いいよ」
「じゃあ決まりで」
「……うん」
「「…………」」
き、気まずい。
最近たまにこんな風になる時がある。付き合いたての頃とはまた違う緊張感。理由は分かってる。交際を開始して一年。遅いくらいだ。別に嫌と言うわけではないんだけど、今日かもしれない。今日かもしれないと思ってたら、今日になってた。私の方が年上なんだし、私から行動するべきなのかな? でも別に焦ることもない気がするし……。
「ふむ。悩める君もまた魅力的だね、私の夜空」
「……ガルドさん、そっと近付くのやめてもらっていいですか?」
「失礼。どうやら仕事のようなのでね。できるならその前にもっと君を見ておきたかったのだよ」
「仕事、ですか?」
そこで裏庭にまた新たな人物が入ってくるのが見えた。レオ君と同じ炎のような髪と瞳を持つ女性、ガルドさんの従者であるリリーナさんだ。
裏庭の端に足を止めたリリーナさんはこちらに向かって小さく頭を下げたけど、ガルドさんを待っているのだろう、ここまでやってくる様子はない。
「それでは私は失礼するよ。ギルドの仕事、応援はするが、くれぐれも無理のないようにね」
そう言ってガルドさんはもう一度私の手の甲にキスをした。レオ君が嫌がるのでやんわり断るつもりだったけど、貴族の挨拶としてはそこまで珍しい事ではないのでやっぱり拒否しにくい。ううん。それよりも今は……。
「あの、気をつけて」
離れていくガルドさんの背中に声を掛けた。彼は笑顔で一度頷くと、そのまま去っていった。
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