【完結】その令嬢、キリングマシーンにつき

黒幸

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正義は我にあり

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 第一の障害は思いのほか、呆気なく排除できました。
 これも私の日頃の行いがいいからでしょうか。
 あまりに呆気なかったのが気になりますが……。
 それよりも排除すべきを除かなければ、いけません。

 ジェルメーヌ・アエロリット。
 アエロリット侯爵家の三女で年齢より、幼く見える愛らしさを武器に社交界の妖精と称される令嬢です。
 しかし、私は知っています。
 表向き、清廉潔白を売り物にしているアエロリット家の裏の顔を……。
 彼らは禁止されている奴隷売買を牛耳るブローカーなのです。
 絶対に許されません。
 そのような者が汚い目で殿下を見ることを許されるでしょうか。
 いいえ、許されません。

 のこのこと一人で現れた愚かなジェルメーヌ。
 一人になった貴女が悪いのです。

「さぁ、コンダネ(断罪)。やりますよ」

 何も無いところから、私だけの刃――短剣コンダネを取り出し、勢いよく投げつけます。
 投げナイフは得意です。
 それこそ百発百中で目標に的中させる自信があります。

「ぎゃっ」

 見事にヒットしました。
 致命傷となる肝臓の位置に深々とコンダネが刺さっています。
 でも、即死しない程度に手加減しているので安心してください。
 そう簡単に殺しません。
 奴隷にされ、虐げられた者達の恨みを少しでも晴らしてあげようとおもうのです。

 コンダネを回収し、元ある場所に戻してから、蹲り苦しんでいるジェルメーヌの首に手を掛けました。
 ぎりぎりと徐々に力を強めると抵抗にもならない抵抗をしてきますが、無駄です。
 容赦なく、さらに締め上げると骨の軋む音が聞こえました。
 あぁ、何といい音なのでしょう。

 もっと、もっとです。
 もっと苦しんでから、死んでください。
 それが罪を犯した貴女の受けるべき、罰なのですから。

 あら、いけません。
 力を入れ過ぎたのでしょうか。
 思わず、骨を砕いて折ってしまったようです。
 一思いに殺すつもりはなかったのですが、仕方ありません。

 これでまた、殿下の暗雲が払われました。
 世はなべてこともなし。
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