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たぶん「好き」だと気付いてる
10.「……次、泊まりに誘ったら」
しおりを挟む真っ赤な顔で凄まれて、どうしようかと悩む。
このままだと本当に俺は各務くんのことを蔑ろにしてるというか、いい加減なお付き合いをしている……と思われてしまうかもしれない。
それは嫌だと思った。
なので、とりあえず近くにあった唇に自分の唇を押し当てる。
俺の行動をまったく予想してなかったのか、各務くんの身体が勢いよく離れた。
その態度は、それはそれで傷つくぞ。
各務くんを見つめていれば、こくんと喉が唾を飲みこむのが見えた。
両手が伸びてきて俺の頬をそっとつつむ。
そのまままた顔が近づいてきて、額に頬にそして口にキスしてくる。
くすぐったいし、息を思わず止めていたから苦しい。
思わず口で息をしようとしたらぱくりと唇を塞がれてしまった。
こ、これはもしかして?? ディープキスってやつか???
俺は目を白黒させながら、ぬめっと口の中に入って来た舌をどうしたらいいのかわからず再び硬直する。
咥内を舌が一回りしたら唇が離れた。
これはチャンスと息を吸ったら角度を変えてまた口付けられる。
「ふっ……んんっ!」
二回目は中々離れてくれなくて、唾液が飲み込めなくて口端から流れ出るし、酸素が足りなくて死にそうになったので、抗議のうめきと各務くんの背中のシャツを俺から離れるように引っ張った。
俺の抗議に気付いてくれたのか、口を離す。
「好きだ」
「……っ!?」
「……次、泊まりに誘ったらこれ以上のこともするから」
「うっ……」
「大人なんだからちゃんと考えて、行動して」
耳元で囁かれて、再び身体が硬直する。
心臓が握りつぶされそうなほど、痛い。
真っ赤な顔で睨みながら言う各務くんに、俺はこくこくと赤ペコ人形かってくらい何度もうなずいた。
「旅行、楽しかった。また行きたい」
「……う、うん」
でも泊りは……えっと??
俺も相当真っ赤になっていると思う。
「……帰る。また明日」
「あ、う、うん。バイト頑張って……ね」
お互い真っ赤になって、ちょっと各務くんが理性を取り戻したのか、恥ずかしくなったのか、くるりと踵を返し自分の荷物を持てば帰っていった。
「か……かっこいい……」
俺は思わずつぶやきながら、壁にもたれたままズルズルと床に座り込んだ。
腰が抜けた。
なんだかわからないけどかっこよかった。え、すごくない? 俺絶対あんなことできない。かっこよすぎではないのか? 大学生怖い。
ドキドキして心臓がつぶれるかと思った。
俺は腰を痛めた老人のように這って廊下から部屋に移動すれば、ぱたりと大の字で寝そべる。
これはさすがに、友達同士ではない。
俺は一緒にご飯食べて物事を共有することで満足してたけど、各務くんはそれではもう、物足りないのだろうか。
なんかもう、実はそういうことを考えなくてはいけないのかな。
しかし男同士でキスより先の事ってなんだろう。
ヌキあうとかそういうのだろうか。
ちょっと想像してみようかとも思ったが、脳みそも顔も沸騰しそうだったので止めた。
その日はさっきのかっこよかった各務くんを何度も思い出した。
そのたびにドキドキしながら、フローリングの上をごろごろ転がっていたら、気付いた時には日曜日は終わっていた。
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