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3話 従魔が仲間になりました

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「ああ~面倒くせぇ~~~」

 戦闘後、倒したゴブリン共の死体が、丘に散乱していた。ゲームのように消えてアイテムがドロップしてくれれば楽なのに……
 これが現実ってやつなのね。流石に、そのまま放置は不味いと思い、収納魔法に一体また一体と投げ入れていく。
 解体とか汚れるし臭いし無理だ。食べれるわけでもないしな。      
 到着したら登録後、報告と一緒に冒険者ギルドに丸投げしてしまおう。

「キュイキュイ」

「いや、たまたま出食わしただけだよ」

「キュイ?」

「これからあっちにある人の住む街へ行く予定だ」

「キュイキュイ?」

「う~ん、まだ決めてはないが、のんびり旅をしながら世界を回ってみようと思ってるぞ」

 戦闘が終わると、親鳥は巣から出てきて、また俺の肩にとまった。なんだろう。随分と俺に懐いてしまったな……
 ここまで人と話すように、普通に会話が成り立つのも不思議な感じだ。
 先ほどより、鮮明に意思というか、気持ちが伝わってくる。親鳥も、俺の意志を理解している感じだ。前世?でもこんな事出来たら面白かっただろうな。
 そんなことを考えながらダラダラとゴブリンの回収作業をしていると、親鳥は巣へと戻り、何かを両足で掴み戻ってきた。うん?なんだ?卵じゃないぞ?緑の毛玉?

【クエスト達成 報酬 従魔】

 予想はしていたが、やはりテイムクエストだったのか。

「キュイキュイキュイー」

「キュキュキュ」

「えっ?あの戦闘中に雛にかえったのか?あの助けた卵だった子だと?」

「キュイキュイ」

「はぁ?こいつを連れて行けって?」

「キュイキュイキュイ」

「キュキュ」

「いやいや、この子が俺の従魔に成りたがってるからって、早すぎるだろう?まだ生まれたばかりで飛べもしないじゃないか」

 育てる自身がない。成獣になった頃出直したい。

「キュ~~~」

「おいおい、泣くんじゃない。無理なものは無理だって」

「キュイキュイキュイ」

「なんで俺が悪者になるんだよ。わかったよ……しょうがない、引き受けるよ」

多分断れないし、延ばせないんだろうな。しょうがない。受け入れるか。

「キュイ♪」

「ああ、約束だ。所でこの子はどれくらいで巣立つものなんだ?」

「キュイ。キュイキュイ」

「なるほど……一年か……それと先に名付けを?う~ん、その前にお前達を鑑定していいか?」

「キュイ」

「キュ」

「鑑定」

 ウインドファルコン レベル15
 ウインドファルコン(幼体)レベル1

 風属性の鳥型モンスターか……隼……風、空、天空……あっ!

「なら、ホルスってのはどうだ?俺の知ってる鳥の神様の名前なんだが」

「キュキュ♪」

「おお!気に入ってくれたのか」

 すると雛が光り輝き、その光が糸となって俺の右手にくっついた。すると手の甲が熱くなり、緑色の羽のような紋章が現れる。

「なんだこれ?鑑定」

 直ぐに自分の手の甲を鑑定すると、

 従魔の紋章
従魔とパスが繋がった証。
互いの能力に伴い従魔の成長や進化を促進させる。
意思疎通と魔力の共有が出来る。
従魔のレベルが上がれば召喚も可能。

と出た。おお!これが従魔契約ってやつなのか。凄いな!

「とりあえず、懐に入ってくれ」

「キュイ♪」

「キュキュ♪」

「名残惜しいが流石にもう出発しないと。ホルスが大人になったら顔出すよ。元気でな」 

「キュイ~~~」

「キュ~」

 なんとも不思議な出会いだった。そして旅のお供が一羽加わった。

 しかし戦闘のお陰で、新しいステータスでの戦闘にかなり慣れたし色々と試せた。
 ゴブリンジャイアントは、見るも無惨なモノになってしまったが、多いに役に立った。
 これで対人戦になっても多少は手加減出来るだろう。

「危ないから顔出すなよ」

「キュイ」

 俺は、懐に入れ直ぐに眠りについたホルスの体温を腹で感じ取りながら、王都に向かって走り始めた。


◆ ◆ ◆


 どうにか夕方に、王都の入口にたどり着く。列に並び少し経つと門番から話しかけられた。

「冒険者の方ですか?ライセンスの提示をお願いします」

「いえ、旅のものです。これから冒険者ギルドで登録しようかと」

「わかりました。ならば入街料で千B大銅貨一枚頂戴します」

「はい、こちらを」

「どうぞお通りください」

 おお!ゲーム時代は素通りだったのに、入街料とはちゃんとしているな。支払うとあっさり通して貰えて助かった。
 城下町に入って、ゲーム時代の記憶を頼りに、そのまま冒険者ギルドへ向かう。
 良く知る大好きなゲームの世界。冒険者ギルドの場所もわかる。

◆ ◆ ◆

 大通りの商店街を冒険者ギルドに向かって進んでいると、とある商店の前で従業員とエルフが大声で言い争っていた。

「この袋、中身が違うじゃない!」

「いえいえ、お客様が了承されましたので、今更クレームを言われても」

 (うん、詐欺っぽいな)

 二人の話を聞いていると小麦の袋を買ったエルフとそれを売った穀物問屋の店主らしい。
 袋の中を見て確認して買ったエルフ。しかし上辺だけが品質のいい小麦で、下の三分の二は低品質だったらしい。それに気が付き返金、または交換を言いに来たが、店主は頑なに応じない。

「いい加減にしないと憲兵を呼ぶぞ!」

「上等よ。それで困るのはどっちかしらね!」

 うるさい。ホルスが起きてしまう。それにこれは、お互いに引くに引けなくなってるな。お節介だとは思いつつ、ホルスの安眠のためにも俺は二人の間に割って入った。

「まぁまぁまぁまぁまぁ」

「どちら様?」

「何でしょうお客様?」

「こうも大通りで声を荒げて言い争っていたら注目の的だぞ」

「「あっ………………」」

うん、俺が入ったことで少しは冷静になってくれたらしい。周りにいる野次馬達の視線に気づいたようだ。

「まずは店主」

「はい……」

「ここまで騒ぎになったら、穏便に解決しないと店や店主の評判がかなり悪くなるだろうな。余計客が来なくなるぞ」

「はい…………」

「エルフのお姉さんも、ちゃんと中身を全部確認してから買わないと。こんなの商人の常套手段だぞ。今時子供でも騙されない」

「ふん、悪かったわね…………」

「店主、ここは穏便に解決しないか?憲兵が来て彼女が訴えたら、便乗して被害を訴えてくる面倒な奴らも出かねないぞ」

「そうでございますね、わかりました……」

「エルフのお姉さんも、そんなに怒ってたら美人が台無しだ。それで勘弁してやりなよ。目的の品質のいい小麦は手に入るんだからさ」

「美人!?そ、そうね……それなら別にこれ以上事を荒立てなくてもいいわよ、フン」

 話は纏まったな。彼女は小麦の袋を店主に交換してもらい、今度はちゃんと中身を底までチェックしてから、魔法袋に詰め込んだ。

「ところで店主。米、ライスって穀物は扱ってるか?」

「申し訳ございません。ただいま品切れでごさいまして……」

「そうか……また仕入れてくれれば買うから探してくれないか?」

「わかりました。問い合わせてみましょう」

 早速訪ねたが品切れで無かった。これは探さないと。絶対に米は食いたくなるに決まってる。

「たまに顔を出すからよろしく頼む」

「かしこまりました。この度はとんだご迷惑を」

「あんまりやりすぎるなよ。またな」

 さてと、冒険者ギルドに向かうとするか。
 しかしあれ?美女エルフにつけられている?

「良かったな。それで、まだなにか用か?」

「その……あの……ありがとね」
――シュタタタタ

 美女エルフは、恥じらいながらお礼を言ってそのまま去っていった。うん、眼福だ。美女は目の栄養になる。少し時間をくってしまったか。
 日が沈みそうなので、俺は急いで冒険者ギルドに向かった。
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