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2 彼の事情
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その時、先ほどシャワーを浴びながら考えていたことを思い出す。葉介が聞き上手だからか、つい自分の話ばかりしてしまったが、彼にも悩みがあるのなら聞いてあげたいと思った。
「ねぇ、安東くん」
「はい」
「あの、今日はどうしてあそこにいたの? 私もだけど、あそこって幽霊が出るって言われてるし、空を見上げていたけど、月を見ているようには見えなかったというか……。いっぱい聞いてもらったし、私だって話を聞くよ」
莉里架が言うと、葉介は驚いたように目を見開いてから、困ったように苦笑する。
「そうですね……。ただ俺の話、ちょっとハードですけど、それでも構いませんか?」
「ハード……?」
「はい。実は俺、ここ半年くらい、全く勃たないんですよ。なんだかそういう気分になれないというか、このまま男としての自分は終わりなのかなぁって、ぼんやり覚悟してたというか」
タタナイ? 目を瞬きながら、言葉の意味を探ろうとする。足は、ちゃんと立っていた。部屋にあるものだって、脚が折れているようなものはない。それ以外でタツものといえばーー莉里架の顔が真っ赤に染まっていく。
「……えっ、ま、まさか……」
思わず彼の股間に目が行ってしまった莉里架を、葉介は楽しそうに見つめながら、自分のモノを指で突いた。
「理由はわかってるんですけどね」
「……聞いていいの?」
「むしろ聞いてほしいくらいです。俺、特定の彼女とかは作らないんです。なんか付き合うとか面倒くさくて。だから体の関係だけで割り切ってくれる子と軽く遊んでたんですけど、その子に陰口を言われているのを偶然聞いてしまって」
「陰口?」
彼が眉間に皺を寄せて悲しそうに俯いたので、相当傷ついたという事実が伝わってくる。
「『葉介って早漏じゃない? 前戯はめちゃくちゃいいんだけど、いつもこっちがイク前に終わっちゃって、ちょっと拍子抜け。気持ちいい演技しないといけないから、結構気を遣うんだよね』って」
今度は莉里架の方が眉間に皺を寄せた。そんな話題になるとは思わず、気まずくて目を伏せてしまう。
「ハ、ハード過ぎる……。こっちはつい最近初体験したばかりなのに……」
「だから言ったじゃないですか。もうやめておきましょうか」
葉介は背もたれに倒れ、缶チューハイを握りしめた。そんな彼をこのままにしておけないと思った莉里架は、葉介の方に勢いよく向き直った。
「ねぇ、安東くん」
「はい」
「あの、今日はどうしてあそこにいたの? 私もだけど、あそこって幽霊が出るって言われてるし、空を見上げていたけど、月を見ているようには見えなかったというか……。いっぱい聞いてもらったし、私だって話を聞くよ」
莉里架が言うと、葉介は驚いたように目を見開いてから、困ったように苦笑する。
「そうですね……。ただ俺の話、ちょっとハードですけど、それでも構いませんか?」
「ハード……?」
「はい。実は俺、ここ半年くらい、全く勃たないんですよ。なんだかそういう気分になれないというか、このまま男としての自分は終わりなのかなぁって、ぼんやり覚悟してたというか」
タタナイ? 目を瞬きながら、言葉の意味を探ろうとする。足は、ちゃんと立っていた。部屋にあるものだって、脚が折れているようなものはない。それ以外でタツものといえばーー莉里架の顔が真っ赤に染まっていく。
「……えっ、ま、まさか……」
思わず彼の股間に目が行ってしまった莉里架を、葉介は楽しそうに見つめながら、自分のモノを指で突いた。
「理由はわかってるんですけどね」
「……聞いていいの?」
「むしろ聞いてほしいくらいです。俺、特定の彼女とかは作らないんです。なんか付き合うとか面倒くさくて。だから体の関係だけで割り切ってくれる子と軽く遊んでたんですけど、その子に陰口を言われているのを偶然聞いてしまって」
「陰口?」
彼が眉間に皺を寄せて悲しそうに俯いたので、相当傷ついたという事実が伝わってくる。
「『葉介って早漏じゃない? 前戯はめちゃくちゃいいんだけど、いつもこっちがイク前に終わっちゃって、ちょっと拍子抜け。気持ちいい演技しないといけないから、結構気を遣うんだよね』って」
今度は莉里架の方が眉間に皺を寄せた。そんな話題になるとは思わず、気まずくて目を伏せてしまう。
「ハ、ハード過ぎる……。こっちはつい最近初体験したばかりなのに……」
「だから言ったじゃないですか。もうやめておきましょうか」
葉介は背もたれに倒れ、缶チューハイを握りしめた。そんな彼をこのままにしておけないと思った莉里架は、葉介の方に勢いよく向き直った。
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