旦那様は今日も私を警護中〜聖人君子の裏の顔は愛に一途なヤンデレ系〜

白山小梅

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2 彼の事情

2-2

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「まさかあんな場所で安東くんと会うなんてねぇ」
「そうですよ、あそこは昔殺人事件があって、幽霊が出るって言われている場所ですよ。そんなところに生徒会長みたいに小さくて可愛い女性がいたら、何が起きてもおかしくないんですから」
「えっ、小さくて可愛い⁉︎ やだっ、そんなこと言われたことないよ!」

 すると葉介はキョトンとした顔で莉里架を見つめる。

「元彼氏にも、ですか?」
「ないない! だってあの人は……」

 言いかけて唇を噛んだ。

「あの人、たぶん私のことを好きじゃなかったと思う。友達みたいなノリが楽しくて、その延長で『付き合って』って言ったんじゃないかなぁ。だって付き合ってからは『好き』なんて言われたことなかったもん」

 そう。今思い返せばそうだった。デートだって幸也の好きな場所ばかりで、莉里架は行きたい場所を聞かれたことはほとんどなかった。

 しかも帰りがけには『そろそろいい?』と聞いてきて、莉里架が断ると苦笑してため息をつくのだ。

 初めてだし、準備ができるまで待ってほしいのが本音だったが、不快な思いをさせないようにと、慌てて覚悟を決めるしかなかった。

「……とんでもない野郎ですね。一回しばいときましょうか」
「しばく⁉︎ なんか安東くん、時々物騒なこと言ってるよ⁉︎ それに……告白されて舞い上がっちゃった私もいけなかったの。別に彼のことが好きなわけじゃなかったけど、“初めての彼氏”っていう響きに流されちゃった。付き合っていけば、いずれ好きになるんじゃないかって、勝手に思っていたんだから」
「それで……相手のことを好きになったんですか?」
「……ほんのちょっとね。だから悲しいより、悔しいが大きかったんだと思う」

 少しだけ目頭が熱くなったが、それを見られたくなくて俯いた時、葉介の手が頭を撫でた。チラッと彼を見ると、優しく微笑む彼が目に入る。

「これからきっと、あなたのことが可愛くて仕方ないっていう男性と出会えるはずです。だから、しょうもない男と別れられてラッキーだったって思うようにしましょう」

 一人で気持ちを消化しようと思っていたのに、彼がいてくれて良かったと思えた。

「うん、ありがとう」

 彼に頭を撫でられると、なんだかくすぐったくて、幸也に抱いていた気持ちも浄化されるようだった。
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